後遺障害の異議申立で認定されやすい3つのパターンと手続きの流れ

2023年2月25日 10:00

監修者ベストロイヤーズ法律事務所

弁護士 大隅愛友

交通事故の被害者側の救済に特化した弁護士。

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「後遺障害認定の申請結果が非該当だったが、後遺障害でつらい思いをしているのに納得できない」と思っても、どうすればいいかよくわからないですよね。

後遺障害の申請をしたが、結果が非該当だったり想定していた等級より低い等級だったりした場合、等級の認定結果に対して異議申立てをすることができます。

しかし、結果に納得がいかないだけで異議申立て手続きを行っても、結果が変わらないままで終わってしまうことのほうが多いです。

この記事では、異議申立をすべきかどうかの確認方法、異議申し立ての申請の仕方を解説します。

 

異議申し立ての判断基準

1 後遺障害の異議申立をして認定されやすい3つのパターン

異議申立をして成功する確率は約15%程度と言われています。

調査機関は提出された診断書や画像等の内容から、後遺障害に該当する基準を満たしているか、医学的な側面から審査をしています。

結果に納得がいかないからといって異議申立て手続きを行っても、結果が変わらないままで終わってしまうことのほうが多いです。

ですからまず、自分は異議申立をして成功するのかどうかを確認しましょう。

1-1 後遺障害診断書の内容に不備があった

交通事故における等級認定は、提出された後遺障害診断書等の書類や画像のみで審査されます。

提出した後遺障害診断書が正確に記載されていなかった場合は、正確な審査がされていない可能性があります。

むちうちの場合の後遺障害診断書

この場合、医師に確認してもらい追記してもらうことや、再度後遺障害診断書を記載してもらうことなどで結果が覆る可能性があります。

1-2 提出した資料が不足していた

後遺障害申請の手続きには「事前認定」と「被害者請求」があります。

「事前認定」は加害者の任意保険会社が全て手続きします。加害者の任意保険会社が手続きをしますので、手続きは簡単ですが、認定に有利な医証が提出されているか確認できません。

例えば、「高次脳機能障害」の後遺障害の場合、診察だけではわからない日常生活上の実態を明らかにすることが重要となります。

日常生活上の実態を明らかにする書類として

・医師が作成する「意見書」
・家族が作成する「日常生活報告書」
・通学先が作成する「学校生活の状況報告書」

上記の書類が提出されてない場合は、書類を追加で提出することにより結果が覆る可能性があります。

1-3 必要な検査が実施されていなかった

後遺障害の等級認定において必要な検査が実施されていないケースがあります。

このような場合には、再度きちんと検査を実施したうえで、検査結果が認定基準を満たしていれば、等級認定がなされる可能性があります。

むち打ちの場合はレントゲンやCTの検査や神経学的検査(スパーリングテストやジャクソンテスト)などが必要です。

2 後遺障害異議申立の手続きの流れ

異議申し立ての手続きの流れは次の通りです。

異議申立手の手続きの流れ

異議申立の手続きは「事前認定」と「被害者請求」の2つがあります。

異議申し立ての手続きの種類

「事前認定」は異議申立書を加害者の任意保険会社へ提出すれば、申請手続きは全て保険会社がしてくれます。ただし、加害者の任意保険会社が等級認定されるために、積極的にアドバイスしてくれたり、書類の不備や検査の必要性を指摘してくれることはあまりないように思います。

「被害者請求」は異議申立書と認定に必要な書類を全て自分で揃えて自分で申請する必要があります。必要な書類や検査の結果などを必ず提出することができるので、「被害者請求」の方が有利といえます。

2-1 異議申立の手続きを「被害者請求」で自分で申請する

被害者請求は、自分で追加書類の取得や手続きをする必要があります。認定されなかった理由を自分で検討して、追加の資料を自分で取得することは、かなり専門的な知識が必要となります。

2-2 異議申立の手続きを「被害者請求」で弁護士に依頼する

実際に必要な書類を揃えたり、書類に不備がないか確認するのは専門的な知識が必要です。「被害者請求」の場合は、弁護士に依頼することによって、異議申立書の作成や、大変な手続きを全て任せることができます。

異議申し立てを弁護士に依頼するメリット

弁護士費用が発生しますが、それでも弁護士に依頼した方が結果的にプラスになるケースが多いです。

・自分の任意保険に「弁護士特約」がついていれば、保険会社が弁護士費用を支払ってくれる

・示談交渉までしてもらえるので、支払う弁護士費用より増える示談金のほうが大きい

【関連記事はこちら】

後遺障害認定を受けてもデメリットなし。後遺障害認定について知っておこう!

3 後遺障害異議申立の3つのステップ

3-1 ステップ① 後遺障害認定されなかった理由を検討する

後遺障害認定の結果とともに「認定理由書」が送付されますので、その内容をもとに、初回の申請で何が不足していたか(後遺障害診断書に大事な情報が記載されていなかった、その他症状経過や治療状況を伝えるための書類が不足していた等)を検討することが大切です。

3-2 ステップ② 必要な検査、書類等の準備

前回の審査で具体的に何が伝わらなかったのかを分析し、それを踏まえたうえで足りなかった検査等を行い、CTやMRIの検査結果などの画像所見・診断書・医師の意見書・カルテなどを準備しましょう。

3-3 ステップ③ 異議申立書の作成

異議申立書には特に決まった書式がありません。

記載例をご紹介します。

異議申し立て書の記載例

①提出する保険会社名を記載する
 事前認定⇒加害者の任意保険会社
 被害者請求⇒加害者の自賠責保険会社
②被害者の住所・氏名・連絡先
③交通事故に関する情報
④認定を求める等級を記載する
⑤前回認定理由に対して新たな添付資料等をもとに、異議申立の理由を記載する

4 まとめ

後遺障害の異議申し立てについて、成功するかどうかを確認する方法や異議申立の仕方について解説しました。調査機関において、十分に検討して出された後遺障害等級の結果を覆すことは簡単ではありません。

後遺障害認定に関する知識や、医学的知識も必要となりますので、異議申立に迷われている方は、後遺障害に詳しい弁護士等に相談することもお勧めします。

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