骨盤骨折で認定される後遺症!5つの障害と認定されるための方法

2023年2月25日 10:00

監修者ベストロイヤーズ法律事務所

弁護士 大隅愛友

交通事故の被害者側の救済に特化した弁護士。

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この記事でわかること

  • 個通事故の骨盤骨折で認定される可能性のある後遺障害
  • 骨盤骨折で後遺障害認定を受けるためにできること
  • 骨盤骨折の後遺障害の認定によって慰謝料、逸失利益が大きく加算される

「交通事故で骨盤骨折になったけれど、後遺症が残ったらどうすればいいの?」

「骨盤骨折で後遺障害の認定をされたら慰謝料っていったいいくらくらいもらえるの?」

と悩んでいませんか。

交通事故で発生する体幹の大きな外傷のひとつに骨盤骨折があります。骨盤骨折は大きな外力によって受傷することが多く、後遺症を残しやすい外傷です。

骨盤骨折では残存する可能性のある後遺症が多岐に渡ります。

ここでは骨盤骨折の後遺症が認定される基準や認定を受けるために必要なこと、認定されたらもらえる慰謝料について解説していきます。

1 骨盤骨折で認定される可能性のある後遺障害

骨盤骨折で考えられる後遺障害は、以下の5つです。

 ・運動障害
 ・変形障害
 ・神経障害
 ・下肢の短縮障害
 ・正常分娩困難

また、その程度によって認定される等級が分かれていきます。それぞれの症状について詳しく解説していきます。

(出典:自動車損害賠償保障法施行令 別表第2

骨盤骨折の後遺障害の等級と内容

1-1 運動障害

骨盤骨折によって股関節の可動域が狭くなってしまった後遺障害です。可動域の制限された程度によって等級が変わります。

具体的な数字は下記のとおりです。

運動障害の後遺症の等級と内容

1-2 変形障害

具体的にいうと、骨盤骨折によって骨が元の状態でつながらず、変形が残った後遺障害です。

裸になった状態でその変形が明らかにわかるものです(レントゲン等でわかるだけではダメ)。

1-3 神経障害

骨盤骨折によって神経が圧迫されることにより、痛みやしびれが残った後遺障害です。

神経症がの等級と内容

1-4 下肢の短縮障害

骨盤骨折によって骨盤骨がゆがんでしまい、一方の足の長さが変わってしまった後遺障害です。短くなった長さによって認定される等級が変わります。

樫の短縮障害の等級と内容

1-5 正常分娩困難等

骨盤骨折によって、出産等に影響が出てしまった後遺障害です。

正常分娩困難等の障害の等級と内容

2 骨盤骨折で後遺障害認定を受けるためにできる3つのこと

骨盤骨折で後遺障害を受けるために、できることは3つあります。

2-1 医師が後遺障害診断書を正しく記載しているか確認しよう

骨盤骨折の後遺障害診断書の記載内容のポイント

後遺障害診断書は、医師が検査や診察をした上で記載するものですので、患者がその記載に関して意見を言うことはできませんが、

後遺障害診断書の記載のポイント2

を確認することは重要です。必要な検査がされていない場合や、検査結果が記載されていないと思ったら医師に質問しましょう。

2-2 後遺障害の自覚症状を正しく伝える

また、神経障害の後遺障害については自覚症状の記載が重要となります。

自覚症状は医師が患者から症状を聞き取り、聞き取った内容や医学的知識をもとに記載していくものになりますので、自覚症状の伝え方がとても大事です。メモなどに記載して渡すと伝えやすいです

後遺障害診断書の自覚症状の記載のポイント

2-3 後遺障害申請は「被害者請求」で弁護士に依頼する

後遺障害の申請方法は「被害者請求」と「事前認定」があります。

後遺障害申請の手続き|被害者請求と事前認定

「事前認定」は、加害者の任意保険会社が手続きをする方法です。

加害者の任意保険会社ですべて書類をそろえてもらえますので、手続き自体は簡単です。しかし、加害者の任意保険会社が申請の際に提出した書類の内容を確認することができず、認定に必要な書類が提出されていない可能性もあります。

「被害者請求」は、自分で申請する方法です。必要書類を全て自分でそろえる必要がありますので、手続きとしては大変ですが、認定に必要な診断書や画像を必ず提出することができます。

後遺障害の認定を受けるためには、「被害者請求」での申請が有利と言えます。

被害者請求の場合は、弁護士に依頼することによって、大変な手続きを全てお任せすることができます。弁護士費用が発生しますが、

交通事故の弁護士特約

ということにより、依頼した方が結果的にプラスになるケースが多いです。

【関連記事はこちら】

後遺障害認定を受けてもデメリットなし。後遺障害は迷わず被害者申請

3 骨盤骨折の後遺障害の認定で慰謝料、逸失利益が大きく加算される

交通事故などにあってもらえる慰謝料には、治療期間やけがの程度に応じて支払われる「入通院慰謝料」がありますが、後遺障害の認定を受けると、それに加えて「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」を受け取ることができます。

3-1 後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、認定された等級に応じで金額が決まっています。

後遺障害慰謝料には「裁判基準」と「自賠責基準」の2つがあります。

保険会社は通常、自賠責基準か会社独自の基準の額を後遺障害慰謝料として提示してくることが多いですが、弁護士に依頼することによって裁判基準に近い額まで交渉することができます。

後遺障害慰謝料の金額(自賠責基準、裁判基準)

また、複数の後遺障害が認定され場合は、等級が上がることがあります。

後遺障害の等級の繰り上げ

(例)10級と11級が認定された場合は、重いほうの10級の等級が1つ上がって9級になります。

3-2 逸失利益

後遺障害が残った場合、事故前と同じように働くことが困難になります。「後遺障害のために将来の労働能力が何パーセントか落ちる」と考え、この後遺障害が無ければ得られたであろう収入が後遺障害による逸失利益です。下記の通り計算します。

逸失利益の計算式

(例)年収600万円、12級、年齢40歳の場合

①600万円×②14%×③8.327=1539万4680円

①「年収」は事故の前年度の年収をもとに計算します。
※主婦・主婦の場合、学生の場合は賃金センサス(毎年実施されている政府の「賃金構造基本統計調査」の結果に基づき、労働者の性別、年齢、学歴等の別に、その平均収入をまとめた資料)をもとに請求することができます。

②「労働損失率」は後遺障害の等級によって決まっています。

後遺障害の労働能力喪失率

③「労働能力損失期間」とは事故によって残存した後遺症による労働能力の低下が影響する期間のことです。症状固定になってから67歳までの年数です。その中間利息を控除したものを「ライプニッツ係数」といいます。

後遺障害のライプニッツ係数

(例)40歳で症状固定になった場合は、労働損失期間は67歳-40歳=27年になり、対応するライプニッツ係数は「18.327」になります。

※症状固定になった年齢によって多少例外があります。
・18歳未満の場合 18歳から67歳までの年数
・大学生 大学を卒業する時点から67歳までの年数
・67歳までの期間が短い高齢者 67歳までの年数と平均余命の2分の1のうち長い方の年数
・67歳を越える高齢者 平均余命の2分の1

※神経障害である14級9号、12級13号の場合、労働損失期間が5年~10年に縮減される場合が多いです。一般に神経症状は、時間の経過とともに改善していくと考えられているため、労働能力喪失期間も制限的に考えられています。

3-3 入通院慰謝料

入通院慰謝料は、入通院期間とケガの程度に応じて支払われるものです。後遺障害の認定を受けていてもいなくても金額に違いがありません。通常、任意保険会社は自賠責基準や自社の基準に基づいて示談金の額を提示してきますが、弁護士に依頼したり、裁判することによって裁判基準に近い額を獲得できます。

交通事故の入通院慰謝料

(獲得できる賠償金の例)

4 まとめ

本記事では、骨盤骨折によって認定を受ける後遺障害の内容、認定基準と慰謝料について解説しました。

自身のケースでは後遺障害の認定を受けることができるかどうか、参考にしてみてください。

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