後遺障害14級に認定されるために必要な3つのことと慰謝料について

2023年2月25日 10:00

監修者ベストロイヤーズ法律事務所

弁護士 大隅愛友

交通事故の被害者側の救済に特化した弁護士。

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この記事でわかること

  • 交通事故の後遺障害14級と該当する症状
  • 後遺障害14級の認定を受けるためにできる3つのこと
  • 後遺障害診断書の記載の注意点
  • 後遺障害14級を受けると慰謝料と逸失利益が大きく加算される

交通事故でむち打ちになり、治療を続けてきて、医師から後遺障害14級の認定を受けられるかもしれないと言われたが、実際慰謝料はいくらくらいもらえるの?

後遺障害14級に認定されるにはどうすればいいの?

こんなことで悩んでいませんか。

交通事故にあって、多くの人が発症するむち打ちの症状ですが、治療をしても痛みやしびれが治らず後遺症が残ってしまう人も多いと思います。医師からは後遺障害申請について説明を受けても、後遺障害についてあまりよく知らないという人も多いですよね。

むち打ちの症状の場合は後遺障害14級か12級が認定されます。

この記事では、むち打ちの中でも一番認定を受けやすい14級の症状の内容や、認定を受けられるか判断する方法ついてわかりやすく解説していきます。

1 後遺障害14級とは?該当する症状

後遺障害14級は、全部で1号~9号までの9つの等級があります

(出典:自動車損害賠償保障法施行令 別表第2)。

その中でも最も認定を多く受けるのはむち打ちで認定を受ける「14級9号」になります。

1つずつ詳しく説明していきます。

後遺障害14級の号数と内容

1-1 14級1号

「一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの」

具体的にいうと、片目について
・まぶたを欠損したことで、目を閉じても眼球の一部が出てしまう
・まぶたで眼球全てを覆うことはできるが、まつげが半分以上無くなり生えてこない
状態です。

1-2 14級2号

「三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの」

具体的にいうと、
・歯が3本なくなった
・歯は残っているものの歯茎以上の露出部分が4分の3以上かけてしまった
状態です。

1-3 14級3号

「一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの」

具体的な片耳の平均純音聴力レベルが、40デシベル以上70デシベル未満になった状態です。

小鳥のさえずりが約20デシベル、日常会話が50デシベル程度です。電話の音が70デシベル程度です

1-4 14級4号

「上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの」

具体的にいうと、肩から手の先までのどこかに手のひら(指の部分は含みません)大のキズが残った状態です。

1-5 14級5号

「下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの」

具体的にいうと、足の付け根からつま先まで(「下肢」)の両足のどこかに手のひら(指の部分は含みません)大のキズが残った場合です。

1-6 14級6号

「一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの」

具体的にいうと、
・片手の親指以外の指の骨を一部失った
・指の骨を骨折してうまく癒合しなかった
状態です

1-7 14級7号

「一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの」

具体的にいうと、親指以外の指の第一関節を曲げたり延ばしたりできなくなった状態です。

1-8 14級8号

「一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの」

具体的にいうと、足の中指、薬指、小指について
・第一関節から第二関節の間の骨、または第二関節から第三関節の間の骨を切断した
・第一関節または第二関節を離断した
・第二関節または第三関節の可動域が2分の1以下になった
状態です。

1-9 14級9号

「局部に神経症状を残すもの」

具体的にいうと、痛みや痺れ、疼痛、灼熱感などの感覚障害や、うまく手足が動かないなどの状態です。

交通事故によるむち打ちの後遺障害がこれにあたります。

画像診断(レントゲン・CT・MRIなど)では異常が発見できず、症状の残存について医学的に証明することが難しくても、通院や治療状況などにより、神経症状を医学的に説明できる場合に14級9号に認定されます。

2 後遺障害14級の認定を受けるためにできる3つのこと

後遺障害の認定率はわずか5%前後と言われており、認定されるのはとてもハードルが高いです。それでも認定率を上げるためにできることは3つあります。

2-1 後遺障害診断書の内容を正確に記載してもらう

後遺障害診断書やカルテの内容として下記の内容が記載されていることが重要です。

2-2 通院期間6か月以上、通院頻度100日程度以上は病院に通院しましょう

むち打ちで後遺障害の認定を受けるには、通院期間6か月以上、通院頻度は100日程度以上は必要と言われています。

整骨院は病院ではないので、整形外科に通院していることが必要です。整骨院に通院している方も、整形外科を合わせて定期的に通院する必要があります。治療期間中に1か月以上通院が途絶えた場合も認定されにくくなります。

なお、むち打ち以外の後遺障害では通院期間などが重要でない場合もあります。

【関連記事】交通事故の「治療費の打ち切り」とは?不払いへの3つの対応方法を弁護士が解説

2-3 後遺障害申請は「被害者請求」で弁護士に依頼する

後遺障害申請をする方法は、「被害者請求」と「事前認定」の2つがあります。

「事前認定」は、加害者の任意保険会社を通して手続きする方法です。

加害者の任意保険会社ですべて書類をそろえてもらえますので、手続き自体は簡単です。しかし、加害者の任意保険会社が申請の際に提出した書類の内容を確認することができず、認定に必要な書類が提出されていない可能性もあります。

「被害者請求」は、自分で後遺障害申請をする方法です。

必要書類を全て自分でそろえる必要がありますので、手続きとしては大変ですが、認定に必要な診断書や画像を必ず提出することができます。後遺障害の認定を受けるためには、「被害者請求」での申請が有利と言えます。

被害者請求の場合は、弁護士に依頼することによって、大変な手続きを全てお任せすることができます。

弁護士費用が発生しますが、

ということにより、依頼した方が結果的にプラスになるケースが多いです。

【関連記事はこちら】

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後遺障害12級の認定基準とは?後遺障害12級の認定を受けるために必要なこと

3 後遺障害診断書の記載をしてもらう際にすべきこと

治療が終了し、「症状固定(治療をしてもこれ以上良くならない状態)」と診断された場合、医師に後遺障害申請をする旨を伝え、後遺障害診断書を記載してもらいます。

書式は加害者の任意保険会社から送ってもらうか、インターネット上からダウンロードすることもできます。

医師が診察した上で医学的知見に基づいて記載するものですので、患者がその記載に意見を言うことはできませんが、後遺障害14級の認定を受けるために、自分でできるポイントがいくつかあります。

 

3-1 自覚症状についてメモなどに記載して渡す

自覚症状は、患者の申告をもとに医師が記載するものです。できるだけ詳しく、正確に記載してもらうために、メモなどに記載して渡すなどすると伝えやすいでしょう。

3-2 他覚症状の記載があるか確認する

他覚症状は、医師が検査結果や医学的知識に基づき、症状の有無を記載するものです。神経学的検査(ジャクソンテスト、スパーリングテスト)の結果が記載されます。患者が医師に、記載してほしい内容を意見することはできませんが、記載がない場合や、記載の内容がわからない場合に医師に確認しましょう。

3-2 見通しの記載があるか確認する

後遺障害の症状の今後の見通しについて、医師が医学的知見から判断し、記載するものです。記載がない場合などは医師に確認してみましょう。

4 後遺障害14級の認定を受けた場合の示談金の額

後遺障害14級の認定を受けた場合は、通常、示談金としてもらえる「入通院慰謝料」に加えて、「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」が加算されます。

4-1 入通院慰謝料

入通院慰謝料は、入通院期間とケガの程度に応じて支払われるものです。後遺障害の認定を受けていてもいなくても金額に違いがありません。通常、任意保険会社は自賠責基準や自社の基準に基づいて示談金の額を提示してきますが、弁護士に依頼したり、裁判することによって裁判基準に近い額を獲得できます。

入通院慰謝料の目安(自賠責基準と裁判基準)

【関連記事】交通事故で慰謝料を最大限獲得するために知っておきたい知識を弁護士が徹底解説

4-2 後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、認定を受けた後遺障害の等級によって支払われる慰謝料になります。後遺障害慰謝料の基準は2つありますが、通常、任意保険会社は自賠責基準や自社の基準に基づいて提示してきます。弁護士に依頼した際や、裁判をすることによって、裁判基準で請求することができます。

 

後遺障害慰謝料(自賠責基準と裁判基準)

4-3 逸失利益

後遺障害が残った場合、事故前と同じように働くことが困難になります。「後遺障害のために将来の労働能力が何パーセントか落ちる」と考え、この後遺障害が無ければ得られたであろう収入が後遺障害による逸失利益です。下記の通り計算します。

逸失利益の計算式

(計算例)①年収600万円、②14級は5%、③むち打ちの場合は5年(4.580)

600万円×5%×4.580=137万4000円

①「年収」は事故の前年度の年収をもとに計算します。

※主婦・主婦の場合、学生の場合は賃金センサス(毎年実施されている政府の「賃金構造基本統計調査」の結果に基づき、労働者の性別、年齢、学歴等の別に、その平均収入をまとめた資料)をもとに請求することができます。

②「労働損失率」は後遺障害の等級によって決まっています。

14級の場合は「5%」です。

後遺障害等級と労働能力喪失率

③「労働能力損失期間」とは事故によって残存した後遺症による労働能力の低下が影響する期間のことです。症状固定になってから67歳までの年数です。その中間利息を控除したものを「ライプニッツ係数」といいます。

ただし、神経障害である14級9号の場合、労働損失期間が5年程度に縮減される場合が多いです。一般に神経症状は、時間の経過とともに改善していくと考えられているため、労働能力喪失期間も制限的に考えられています。

労働能力喪失期間とライプニッツ係数

(例)もらえる示談金

年収600万円 むちうち 治療6か月の場合の入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、逸失利益

5 まとめ

後遺障害14級の症状や、認定されるためにできること、また認定を受けた際にもらえる示談金について解説させていただきました。後遺障害14級の認定を受けるためにはどのようなことが必要であるかの参考にしていただければと思います。

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