後遺障害12級の認定基準とは?後遺障害12級の認定を受けるために必要なこと

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交通事故にあって、多くの人が発症するむち打ちの症状ですが、治療をしても痛みやしびれが治らず後遺症が残ってしまう人も多いと思います。後遺症が残ってしまった際は後遺障害等級認定を受けましょう。

むち打ちの症状の場合は後遺障害12級か14級が認定されます。

この記事では、交通事故で1000件以上の相談実績を有する大隅愛友弁護士が、むち打ちの症状の中でも、より重いとされる12級について、認定基準、認定を受けた際にもらえる慰謝料等を徹底解説していきます。

1 後遺障害12級とは?該当する症状

後遺障害12級は、具体的な症状に応じて1号~14号に分かれています。

12級1号

片目のピントが合わず、物がぼやけて見えたり、目を動かす範囲が狭まってしまった状態です。
具体的に言うと、片方の眼のピント調節機能が1/2以下になるか、頭を固定した状態で目を動かして見える範囲が1/2以下になる状態です。

ただし、
・年齢が55歳以上の場合 → ピント調節機能の低下は年齢のため
・けがをしていない方の眼のピント調節力も低い場合 → もともと調節力が弱かったため
として認定されない場合もあります。

12級2号

片目のまぶたが開かなくなったり、完全に閉じた状態です。
具体的に言うと、片方の眼のまぶたが十分に開かずに瞳孔(黒目の中心)が隠れたままの状態になることや、まぶたを閉じた時に瞳孔や角膜(黒目)を完全に隠すことができない状態です。

12級3号

7本以上の歯が入れ歯や差し歯になってしまった状態です。治療により抜いたものも含まれます。

12級4号

片耳が半分以上無くなってしまった状態です。

12級5号

上半身の胴体か骨盤を骨折し、治療後も見た目にわかる変形が残った状態です。
具体的に言うと、鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨、骨盤骨に、裸体になったときに明らかに分かる程度の変形が残った状態です。画像上だけでなく見た目にも明らかに変形がわかることが必要です。

12級6号

片方の腕、肩、肘、手首が動きにくくなった状態です。
具体的に言うと、片方の上肢(肩関節、肘関節、手首)の関節のうち1つの可動域が、健康な方と比べて3/4以下になった状態です。

12級7号

片方の足の股関節、膝、足首が動きにくくなった状態です。
具体的に言うと、片方の下肢(足の付け根から足首まで)の股関節・膝関節・足首のうち、1つの関節の可動域が3/4以下になった状態です。

12級8号

腕や足の大きな骨が無くなってしまったり、変形してしまった状態です。
具体的に言うと、長管骨(腕や足の大きな骨)が無くなってしまったり、変形してしまった状態です。

12級9号

片手の小指が無くなった状態です。第一関節から先が無くなった場合は含まれません。

12級10号

片手の人差し指か中指かくすり指が短くなってしまったり、動きにくくなったり、感覚が無くなってしまった状態です。
具体的に言うと、片手の人差し指か中指かくすり指の指の長さが半分になってしまったり、第二関節より先の可動域が1/2以下になったり、感覚が無くなってしまった状態です。

12級11号

・片足の人差し指が根元から無い状態
・片足の人差し指を含んだ2本の指が根元から無い状態
・片脚の中指、薬指、小指の3本の指が根元から無い状態
上記のいずれにあてはまる状態です。

12級12号

・片足の親指第一関節から1/2がなくなった状態
・親指以外の4本の指が第一関節までで切断された状態
・親指以外の4本の指の第二関節の可動域が1/2になった状態
上記のいずれかにあてはまる状態です。

12級13号

体の一部に痺れが残ったり、頭痛やめまい、耳鳴りなどが起こることを医学的に証明できる状態です。
交通事故のむち打ちの後遺障害がこれに該当します。
自覚症状だけでなくレントゲンやMRIの結果から症状が証明できる必要があります。

12級14号

顔や首など日常的に露出していている部位に大きな傷跡が残った状態です。
具体的に言うと、
・頭や首にニワトリの卵より大きい傷跡が残った
・顔に10円玉より大きい瘢痕が残ったり、長さ3cm以上の線状痕が残った
上記のいずれかに該当する状態です。

2 むち打ちで後遺障害12級に認定されるケース

交通事故の後遺障害等級認定されるのは全体の約5%と言われています。12級に認定されたのはその中でも約16%です。後遺障害12級の認定率はとても低いといえます。

交通事故の後遺障害として一番多いむち打ちは、後遺障害14級か12級が認定されます。14級と12級の認定の一番の違いは画像や見た目から見てわかるかどうかです。

MRIやレントゲンの画像からわかることが12級認定のために重要

MRIやレントゲンの画像を見て、神経にダメージがあることや、骨がずれていることがわかれば、神経症状を客観的に証明できるため、12級13号が認定される可能性が高くなります。

画像では症状を証明できないものの、自覚症状があり、神経学的な検査で異常が認められた場合は14級9号となります。

通院期間と通院頻度

そもそも、むち打ちで後遺障害の認定を受けるには、通院期間で6か月以上、通院頻度で100日程度以上は必要と言われています。整骨院は病院ではないので、整骨院だけでなく整形外科を定期的に通院していることが重要です。

3 むち打ちで後遺障害12級の認定を受けるために必要なこと

通院期間6か月以上、通院頻度100日程度以上は病院に通院しましょう

むち打ちで後遺障害の認定を受けるには、通院期間6か月以上、通院頻度は100日程度以上は必要と言われています。
整骨院は病院ではないので、整形外科に通院していることが必要です。整骨院に通院している方も、整形外科を合わせて定期的に通院する必要があります。

治療期間中に1か月以上通院が途絶えた場合も認定されにくくなります。

レントゲンやMRIの検査をする

後遺障害12級に認定されるためには、レントゲンやMRIの画像により、神経にダメージがあることがわかることが必要です。そのために、必ずレントゲンやMRIの検査をしましょう。

後遺障害申請は「被害者請求」で申請する

後遺障害申請をする方法は、「被害者請求」と「事前認定」の2つがあります。

「事前認定」は、加害者の任意保険会社ですべて書類をそろえてもらえますので、手続き自体は簡単です。しかし、加害者の任意保険会社が申請の際に提出した書類の内容を確認することができず、認定に必要な書類が提出されていない可能性もあります。

「被害者請求」は、必要書類を全て自分でそろえる必要がありますので、手続きとしては大変ですが、認定に必要な診断書や画像を必ず提出することができます。

後遺障害の認定を受けるためには、「被害者請求」での申請が有利と言えます。

後遺障害診断書の記載をしてもらう際にすべきこと

治療が終了し、「症状固定(治療をしてもこれ以上良くならない状態)」と診断された場合、医師に後遺障害申請をする旨を伝え、後遺障害診断書を記載してもらいます。

書式は加害者の任意保険会社から送ってもらうか、インターネット上からダウンロードすることもできます。
医師が診察した上で記載するものですので、患者がその記載に意見を言うことはできませんが、後遺障害12級の認定を受けるために、自分でできるポイントがいくつかあります。

①自覚症状
自覚症状は、患者の申告をもとに医師が記載するものです。できるだけ詳しく記載してもらうために、メモなどに記載して渡すなどすると伝えやすいでしょう。

②他覚症状
他覚症状は、医師が検査結果や医学的知識に基づき、症状の有無を記載するものです。後遺障害12級を受けるためにはこの欄で、後遺障害の症状があることが重要です。患者が医師に、記載してほしい内容を意見することはできませんが、記載がない場合や、記載の内容がわからない場合に医師に確認するのはいいでしょう。

③見通し
後遺障害の症状の今後の見通しについて、医師が医学的知見から判断し、記載するものです。記載がない場合などは医師に確認してみましょう。

4 後遺障害12級の認定を受けた場合の示談金の額

後遺障害12級の認定を受けた場合は、通常、示談金としてもらえる「入通院慰謝料」に加えて、「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」が加算されます。

入通院慰謝料

入通院慰謝料は、入通院期間とケガの程度に応じて支払われるものです。後遺障害の認定を受けていてもいなくても金額に違いがありません。通常、任意保険会社は自賠責基準や自社の基準に基づいて示談金の額を提示してきますが、弁護士に依頼したり、裁判することによって裁判基準に近い額を獲得できます。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、認定を受けた後遺障害の等級によって支払われる慰謝料になります。後遺障害慰謝料の基準は2つありますが、通常、任意保険会社は自賠責基準や自社の基準に基づいて提示してきます。弁護士に依頼した際や、裁判をすることによって、「裁判基準」で請求することができます。どちらの基準も14級と12級では3倍近く違いがあります。

逸失利益

後遺障害が残った場合、事故前と同じように働くことが困難になります。「後遺障害のために将来の労働能力が何パーセントか落ちる」と考え、この後遺障害が無ければ得られたであろう収入が後遺障害による逸失利益です。

逸失利益=①年収×②労働損失率×③労働損失期間の係数(ライプニッツ係数)

①年収
事故の前年度の年収をもとに計算します

②労働損失率
後遺障害の等級によって決まっており、12級の場合は14%、14級の場合は5%です。

③労働能力喪失期間
事故によって残存した後遺症による労働能力の低下が影響する期間のことです。その中間利息を控除したものをライプニッツ係数といいます。基本的には、症状固定日を始期として、就労可能年数の67歳までの期間を労働能力喪失期間とします。ただし、むち打ちの場合、12級の労働損失期間は10年程度(ライプニッツ係数は8.530)、14級は5年程度(ライプニッツ係数は4.580)が認められることが多いです。


5 まとめ

後遺障害12級の症状や、認定されるための基準、また認定を受けた際にもらえる示談金について解説させていただきました。後遺障害12級の認定を受けるためにはどのようなことが必要であるかの参考にしていただければと思います。

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