交通事故の弁護士特約は使うべき4つの理由|軽度事故でも問題なし
監修者ベストロイヤーズ法律事務所
弁護士 大隅愛友
監修者ベストロイヤーズ法律事務所
弁護士 大隅愛友
慰謝料の増額、後遺障害認定のサポートを中心に、死亡事故から後遺障害、休業損害の請求に取り組んでいます。
交通事故の被害者救済のために、積極的に法律・裁判情報の発信を行っています。
全国からご相談を頂いております。ご希望の方はお電話またはwebでの無料相談をお気軽にご利用ください。
この記事でわかること
- 交通事故の弁護士特約の概要
- 弁護士特約のメリット
- 弁護士特約には限度額がある
- 弁護士特約の利用がおすすめのケース
- 交通事故で弁護士特約を利用する流れ
交通事故の弁護士特約って何だろう?」
「交通事故に遭ってしまい弁護士に相談したいけど、費用が気になる…」
このようにお考えではないですか?
交通事故で1000件以上の相談実績を有する大隅愛友弁護士が交通事故の弁護士特約について徹底解説します。
交通事故の弁護士特約とは任意加入する保険のオプションで、弁護士への相談料や弁護士費用などを保険会社が負担してくれる特約のことです。
ご自身の加入している保険で弁護士特約のオプションに加入していれば、交通事故でのほとんどの場合で利用が可能です。重症を負ったり、大きな事故になってしまったりした場合はもちろんのこと、むちうち症など症状が軽い場合にも弁護士に相談し、相応の慰謝料を受け取れる可能性があります。
弁護士特約を活用するメリットは以下の通りです。
弁護士特約を利用したい場合、まずは自分が弁護士特約のオプションに加入しているか確認しましょう。実は、弁護士特約を利用できるのにその事を知らない方も多いため注意が必要です。
弁護士特約に加入していることが分かったら、まずは利用できるかどうか保険会社に問合せてみることをおすすめします。
この記事では弁護士特約の基本的な情報から利用の流れなど、以下の内容を詳しく解説します。
この記事をお読みいただくことで、交通事故での弁護士特約の概要を把握できると思います。ぜひこの記事を参考にしていただき、弁護士への相談を検討していただければ幸いです。
1.交通事故の弁護士特約の概要
この章では、交通事故での弁護士特約の概要として以下の内容を詳しく解説します。
それぞれ、見ていきましょう。
1-1.弁護士特約は弁護士への相談料等を保険会社が負担してくれる制度
弁護士特約とは、加入していれば交通事故の際の弁護士への相談料などを保険会社が負担してくれる制度のことです。
交通事故に遭ってしまった際に、被害者側は加害者側に損害賠償金を請求することができます。そうした際に弁護士への相談は大きな助けとなります。
しかし弁護士費用がかかってしまうことを考えて相談を躊躇する方も多いでしょう。弁護士特約は、そうした方が気軽に弁護士へ相談するための制度です。
弁護士特約を利用することで、相談料や着手金、弁護士費用をすべて保険会社が支払ってくれます。
1-2.弁護士特約はこんな場合でも使える
弁護士特約はほとんどのケースの交通事故で利用が可能です。例えば以下の状況でも利用できます。
それぞれ見ていきましょう。
1-2-1.むちうち等軽い症状で慰謝料を請求したい場合
弁護士特約は、むちうち等の軽い症状で慰謝料を請求したい場合でも利用が可能です。
むちうち症の多くの場合は弁護士に依頼することなく示談されてしまう方が多いのですが、実はむちうちは治療に時間がかかったり、後遺症が残ったりしてしまうことも少なくありません。
弁護士特約を利用することで、むちうち症での慰謝料の請求などの依頼を無料で行えます。「軽い症状だから…」と諦めるのではなく、積極的に弁護士特約を利用しましょう。
1-2-2.自分に過失がある交通事故
弁護士特約は、自分に過失がある場合でも利用することが可能です。
慰謝料請求などを行う際に重要となるのが、過失割合を決定することです。過失割合とは、交通事故の過失が被害者と加害者でどの程度の割合になるのかを決めることです。
例えば被害者に3割、加害者に7割といった割合を決めたうえで、その過失割合をもとに慰謝料や損害賠償金が計算されます。
問題なのは、過失割合は本人同士(正確には、被害者側と加害者側の保険会社)で相談して決められる点です。
自分に過失がある場合でも、なるべく自分に有利に過失割合を決定するという意味で弁護士への相談が有効です。もちろん、その際も弁護士特約が利用できます。
1-3.弁護士特約を利用できないケース
ほとんどの場合で弁護士特約は利用可能ですが、一部利用できないケースもあります。ここでは弁護士特約を利用できないケースについて解説します。
それぞれ見ていきましょう。
1-3-1.故意または重大な過失による事故
故意または重大な過失による事故で事故を起こしてしまった場合は、弁護士特約を利用できません。重大な過失とは例えば以下のようなケースです。
-
飲酒運転
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無免許運転
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あおり運転などの危険行為
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制御不能なほど高速度での運転
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犯罪や闘争行為 など
このような、いわゆる「危険運転」により事故を起こしてしまった場合には弁護士特約は利用できません。
1-3-2.自転車事故
自動車保険会社の弁護士特約は、自動車にしか適用されません。よって、自転車同士の事故に関しては適用されないので注意しましょう。
また自転車だけでなく、バイクやスクーター、原動機付の二輪車同士の事故でも利用できません。
1-3-3.自然災害での事故
弁護士特約は、自然災害によっての損害に対しては利用できません。
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台風
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津波
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地震
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噴火
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高潮
など、自然災害では利用できないため注意が必要です。
2.弁護士特約のメリット
それではここで、弁護士特約のメリットについて見ていきましょう。
それぞれ解説していきます。
2-1.弁護士費用を負担しなくてもいい
弁護士特約の最大のメリットは、弁護士に依頼する際にかかる費用を自分で負担しなくてもいいという点です。
「1-1.弁護士特約に加入していれば弁護士への相談料等を保険会社が負担してくれる制度」でも解説した通り、弁護士特約に加入していれば本来払うべき費用を保険会社が支払ってくれます。
例えば大きな事故などで賠償金が高額になる場合はもちろんのこと、賠償金よりも弁護士費用の方が高くなってしまうような交通事故のケースでも利用できるのは大きなメリットといえるでしょう。
ちなみに、交通事故での一般的な弁護士費用の相場は以下の通りです。
これらすべての費用を保険会社が支払ってくれるということです。
報酬金は最終的に回収できた利益の大きさによって異なります。一般的には、利益が300万円以下の場合は15%程度で、利益が大きくなればなるほどパーセンテージは下がります。例えば利益が3,000万円を超えると6%程度となることも多いです。
弁護士特約には上限300万円の限度額が設定されていますが、交通事故は多くのケースで利益が300万円以下となるため、上限を超えることはほぼないと言えるでしょう。
弁護士特約の限度額に関して、詳しくは「3.弁護士特約には限度額がある」でも解説していますので参考にしてみてください。
2-2.賠償額が増える可能性が高い
弁護士特約を利用して弁護士に依頼することで、賠償額が増える可能性が高くなります。
例えば加害者側に慰謝料を請求する際、金額を決めるのには大きく分けて以下の3種類があります。
自賠責基準は、法令で決められた最低限の補償を行うための基準です。自賠責基準で慰謝料を計算する場合は最低限の金額になります。
任意保険基準は、加入している自動車保険会社が独自に設けている基準です。自賠責基準よりは高い金額が設定されていることが一般的ではありますが、次に説明する弁護士基準に比べると低くなります。
弁護士基準は、弁護士や裁判所が過去の判例などを参考にして設定した慰謝料の基準です。他の2つの基準に比べて高く、状況にもよりますが自賠責基準と比べると1.5~2倍の慰謝料を受け取れる可能性があります。
また、弁護士に依頼することで過失割合を適切に決めることができます。不当に過失割合が高くなってしまうと賠償額が減ることもありますが、弁護士が交渉する場合は適切にすすめられるため有利になる可能性が高まります。
2-3.保険の等級が下がらず利用できる
弁護士特約を使ったからといって、保険の等級が下がることはありません。
自動車保険は事故を起こしてしまい車両保険を利用すると等級が下がり、翌年度の保険料が上がってしまうといったことがあります。弁護士特約を使った場合にも同じように等級が下がってしまうことを懸念される方もいるかもしれません。
しかし、弁護士特約の場合、等級は下がらずに利用可能です。
※ただし、弁護士特約を利用する際のルールは保険会社によって異なることもあります。利用の際は事前に規約を確認しておきましょう。
2-4.依頼したい弁護士は自分で選べる
弁護士特約を利用する際は、弁護士を自分で選ぶことも可能です。
特約の利用を保険会社に伝えると、保険会社が弁護士を紹介してくれることもありますが、この弁護士に必ずしも頼まなければいけないわけではありません。自分で安心して頼める弁護士がいるのであれば、保険会社に伝えれば問題ありません。
保険会社が紹介してくれる弁護士でなくても弁護士特約は問題なく使えますので、安心して納得のいく弁護士に依頼してください。
3.弁護士特約には限度額がある
弁護士特約には基本的にデメリットはありませんが、弁護士特約で利用できる弁護士費用には上限があります。
ここでいう300万円はひとつの事故で被害を受けた一人毎に対して支払われます。例えば4人家族で交通事故の被害に遭った場合は4人分となり、最大で1,200万円まで支払いができます。
ちなみに、上限額300万円を超えるケースとしては請求額が高額になった場合です。報酬の割合にもよりますが、請求金額や獲得金額が2,000万円に近くなると弁護士費用も300万円を超えることがあります。しかしこの場合は獲得金額で弁護士費用を十分まかなえる為、弁護士への依頼をすることが一般的です。
状況によっても異なりますが、重い後遺障害が残ってしまった事例などでは損害額が1,000万円後半となることもあります。むちうち症など軽い症状の場合で、このような高額になることはほとんどありません。
4.弁護士特約の利用がおすすめのケース
それではここで、弁護士特約の利用をおすすめしたいケースについて解説します。
もちろん、被害が大きい場合や後遺障害が残ってしまった場合など、あらゆる状況において弁護士特約の利用はおすすめです。この章では特に、弁護士特約を利用した方がいいのか判断が難しい場合について解説します。
4-1.むちうちなど被害が小さい事故
むちうちなど被害が小さい事故の場合にも、弁護士特約の利用がおすすめです。むちうちでも被害を受けた場合には適切な損害賠償金を請求できます。むちうちの場合は完治までに時間がかかることも多く、場合によっては完治せずに後遺障害が残る場合があります。
そうした様々な状況において適切な損害賠償金を請求するために、弁護士への依頼が最も有効です。
特にむちうちの場合は一般的に、被害者の過失が「0%」であることも多いのが特徴です。その場合には自分が加入している被害者に対人対物賠償責任保険が適用されないため、基本的に保険会社が示談交渉に応じてくれません。
つまり、加害者側との示談交渉を被害者が自分で行わなければなりません。専門的知識がない被害者が有利に示談を進めることは極めて難しいでしょう。
そのような場合は弁護士特約を活用し、弁護士への依頼を行うことをおすすめします。
4-2.過失割合の決め方で揉めている場合
過失割合の決め方で揉めている場合にも弁護士特約の利用がおすすめです。
交通事故が起こった場合に、どちらにどの程度の過失があるのかを決めるのが過失割合です。過失割合を決めたうえで、実際にどちらがどの程度の賠償金を支払うのかを決定します。
この過失割合は原則として被害者側と加害者側の保険会社が行います。ただし、どちらの保険会社も自分の有利にすすめたいため、揉めてしまうこともあります。
そのような際には専門家である弁護士に相談することがおすすめです。
4-3.物損事故を起こした場合
物損事故を起こした場合にも弁護士特約がおすすめです。
弁護士特約は人身事故の場合のみに適用されると考えている方も多いですが、実は物損事故の場合でも利用が可能です。
物損事故は人身被害のないもののため、損害額が少額になります。弁護士特約を使わずに依頼する場合には弁護士費用の方が高くついてしまう可能性がありますが、弁護士特約を使えば足が出ることは少ないと言えるでしょう。
5.交通事故で弁護士特約を利用する流れ
この章では、交通事故で弁護士特約を利用する際の流れについてみていきましょう。具体的には、以下の3つのステップで利用を行います。
5-1.弁護士特約を使えるか確認
まずは、自分が加入している保険会社で弁護士特約を利用できるか確認してみましょう。保険会社以外にも、クレジットカード会社や火災保険で弁護士特約が付帯されていることもありますので、それぞれ確認してみます。
保険会社に直接問い合わせるのが一番早くて確実です。
また、弁護士特約は本人以外にも家族や同乗者のものを利用できる可能性がありますので、広く調べてみることをおすすめします。
5-2.弁護士を探す
弁護士特約の利用ができる事が分かったら、依頼する弁護士を探しましょう。保険会社から弁護士の紹介があることもありますが、紹介された弁護士と合わせてご自身で弁護士を探すこともおすすめです。
弁護士を探す効果的な方法としては、交通事故を専門にしている法律事務所のホームぺージから問い合わせを行うことが最も一般的です。
弁護士特約で法律相談料が10万円まで負担してもらえるため、まずは気になった法律事務所に問い合わせをしてみましょう。
5-3.特約を利用する旨を保険会社に伝える
弁護士が決まったら、保険会社に弁護士特約を利用する旨を伝えます。
その際に保険会社に伝えることとしては、
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依頼する弁護士の名前
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依頼する弁護士の法律事務所名
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法律事務所の電話番号
以上を伝えておきましょう。
6.交通事故の弁護士特約を使うならご相談ください。
交通事故で弁護士特約を使って弁護士に依頼を考えているのであれば、ぜひベストロイヤーズ法律事務所にご相談ください。ベストロイヤーズ法律事務所は、お客様の状況に最適なサービスを提供いたします。
交通事故に遭ってしまった際は、例えば被害が小さい場合でも適切な賠償金を受け取る権利があります。例えばむちうち症など被害が小さい場合はそうした交渉を行わずに任意保険基準など低い基準で慰謝料を受け取ってしまうケースは多くあります。これは、大変もったいないことです。
ベストロイヤーズ法律事務所なら、そのようなお客様のお悩みに親身になってお応えし、適切な慰謝料を受けとるためのお手伝いをいたします。
7.まとめ
以上この記事では、弁護士特約の基本的な情報から利用の流れなど、以下の内容を詳しく解説してきました。
この記事をお読みいただいたことで、交通事故での弁護士特約の概要を把握できたかと思います。ぜひこの記事を参考にしていただき、弁護士への相談を検討していただければ幸いです。
慰謝料の増額、後遺障害認定のサポートを中心に、死亡事故から後遺障害、休業損害の請求に取り組んでいます。
交通事故の被害者救済のために、積極的に法律・裁判情報の発信を行っています。
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