無車検(車検切れ)の罰則は?公道での運転、交通事故を起こした場合ついて弁護士が解説

2023年8月30日 10:00

監修者ベストロイヤーズ法律事務所

弁護士 大隅愛友

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車を所有している方なら、車検は避けて通れない重要な手続きであることは、ご存じだと思います。

しかし、「車検が切れてしまった」「車検を受けずに公道を走ってしまった」というケースは意外にも少なくありません。

このような無車検運転」は、法律で厳しい罰則が定められています。

そこで本記事では、交通事故問題に特化した弁護士の視点から、無車検運転がどのような罰則を伴うのか、交通事故を起こした場合のリスクは何か、といった疑問点について詳しく解説します。

1 無車検(車検切れ)とは?

無車検とは

1-1 車検とは

車検とは、正式には「自動車検査登録制度」のことを指しています。

この制度は道路運送車両法に基づいて、自動車に不具合がなく、安全で環境に配慮した状態にあるかどうかを確認するためのものです。

そのため、排気ガスの状態やブレーキの性能など、多くの項目がチェックされています。

小型特殊自動車や排気量が250cc以下の自動二輪車は除外されていますが、それ以外のすべての自動車に車検が必要になっています。

もし車検で基準に満たなかった場合、整備を施して再度検査を受けなければなりません。無車検では、公道を走ることはできないからです。

また、車検には有効期限があり、期限が過ぎた車を運転した場合には、罰金や懲役刑などの罰則が科されることになります。

つまり、車検はただの車両点検ではなく、我々が安全かつ快適に自動車を利用するための非常に重要な制度であることがわかります。

1-2 無車検だとどうなる

車検には有効期限があり、新車で初めて車検証の交付を受ける場合、その有効期限は3年で、それ以降は、通常の自家用自動車であれば2年間の有効期限が与えられます。

有効期限満了日の1か月前から、新たな車検を受けることが可能です。有効期限を過ぎてしまうと、自動車は無車検状態になり、公道を走行することはできません。

無車検の状態で公道を走行すると、罰金や懲役刑といった罰則が科されます。

さらに、車検が切れている車は、多くの場合で自賠責保険も切れているケースが多くあります。

自賠責保険がない状態で事故を起こした場合、その責任は全て運転者が負わなければならず、さらに罰則も重くなります。

無車検の車を公道で運転した場合、無車検の車で交通事故を起こした場合の罰則については詳しく後述いたします。

1-3 無車検の車で再び車検を受けるには

車検の有効期限が切れてしまったら、「無車検」の状態になってしまいますが、再度車検を受けること自体は可能です。

しかし、無車検の車をそのまま運転して車検場やディーラーに持ち込むことはできません。公道を走行することが法律で禁じられているからです。

そのため、一般的な手段としては市町村の役所で「仮ナンバー」を申請し、それを取得する必要があります。

仮ナンバーには有効期限があり、その期限内に車検を受けなければなりません。

また、仮ナンバーで走行できる経路も限られているので、その点もしっかりと確認しておく必要があります。

手続きが煩雑であれば、車検を行う専門業者に依頼する方法もあります。多くの業者は、無車検の車でも引き取りに来てくれ、車検を代行してくれるサービスを提供しています。

2 無車検の車を公道で運転した場合の罰則

無車検の車を行動で運転した場合の罰則

2-1 無車検運転の罰則

無車検の状態で車を公道で運転することは、道路運送車両法に基づいて厳しく罰せられます。

具体的には、道路運送車両法第58条に違反する行為とされ、同法第108条に基づく処罰が科せられることになります。

罰則の内容は、以下のように定められています。

  • 違反点数:6点
  • 罰則と罰金:6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金
  • 行政処分:免許停止(前歴がない場合は30日)

無車検運転をした場合には行政処分もあり、「免許停止」となります。

罰則は非常に重いものであり、違反した場合の影響は計り知れません。

特に違反点数が6点というのは、一度の違反で免許が停止となるものです。

更に、30万円以下の罰金または懲役刑が科せられることから、経済的なダメージもかなり大きいです。

2-2 自賠責保険切れ運転の罰則

自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)は、交通事故で人が負傷した場合に、その医療費や慰謝料などを支払う保険です。

自動車損害賠償保障法に基づき、車を所有するすべての人に加入が義務づけられています。

自賠責保険は車検と同様、一定の期限があります。

多くのケースでは、車検の期限が切れる1ヵ月後に自賠責保険の期限も切れるように設定されているため、車検を更新しないと、自賠責保険も自動的に期限切れとなることが多いのです。

もし自賠責保険が切れた状態で運転すると、自動車損害賠償保障法第5条の違反となります。

具体的な罰則は、同法第86条の3の1号により、以下のように定められています。

  • 違反点数:6点
  • 罰則と罰金:1年以下の懲役または50万円以下の罰金
  • 行政処分:免許停止(前歴がない場合は30日)

このように車検と自賠責保険は密接な関係にあり、交通安全を確保するための非常に重要な制度であると言えます。

2-3 無車検運転・自賠責保険切れ運転の両方に違反した場合

無車検運転と自賠責保険切れ運転、この二つの違反行為を同時に犯した場合、罰則はさらに厳しくなります。

上記でもお伝えした通り、無車検の場合、自賠責保険も切れているケースがほとんどです。車検が切れると、その1ヶ月後には自賠責保険も切れるように設定されているためです。

道路交通法施行令によれば、2つ以上の違反行為をした場合、高い違反点数が適用されるとされています。同じ点数の場合、その点数が付加されることになっています。

具体的な罰則は、以下のように定められています。

  • 違反点数:6点
  • 罰則と罰金:1年6ヵ月以下の懲役または80万円以下の罰金
  • 行政処分:免許停止(90日)

無車検運行と自賠責保険切れ運転の両方に違反した場合、違反点数は6点です。違反点数の高い違反(このケースでは6点)のみが適用されることになります。

刑事責任は併合罪になるため、法定刑は「1年6ヵ月以下の懲役または80万円以下の罰金」となり、免許停止期間は90日となります。

このようなことから、車を運転する際には、車検と自賠責保険の期限をしっかり確認し、更新を怠らないようにすることが大切です。

3 無車検の車で交通事故を起こした場合の罰則

無車検の車で交通事故を起こした場合の罰則

3-1 免許停止処分・免許取り消し処分

車検が切れた車や無保険の車で交通事故を起こした場合、道路交通法による別の罰則が加わる可能性も高く、さらに厳しくなります。

車検切れや無保険車で運転し、事故を起こした場合、その罰則として免許停止処分が下されることがあり、この免許停止期間が長くなる可能性が高いです。

さらに、重大な違反や繰り返しの場合は、免許取り消し処分となり、一定期間免許を取得できない「欠格期間」が発生します。

車検切れに関しては、道路運送車両法による罰則があります。事故を起こした場合は、この法律に加えて、道路交通法による処分も適用されることになります。

つまり、一つの事故で二つの法律に触れる形になるため、罰則が重くなる可能性が高いのです。

物損事故であっても、例えば一時停止違反信号無視が絡んでいる場合、罰則はさらに厳しくなります

人身事故の場合には、その怪我の重さや自分の過失の度合いによって、更に「自動車運転死傷行為処罰法」による罰則が加わる可能性があります。

このように、車検切れや無保険車で事故を起こした場合、複数の法律が絡むことで罰則が加重され、免許停止期間が長くなることや、最悪の場合は免許が取り消される可能性も考慮しなければなりません。

物損事故や人身事故に関わる違反が加わると、さらに厳しい罰則が待っています。

3-2 懲役刑・罰金

無車検で交通事故を起こした場合、「道路運送車両法」や「自動車損害賠償責任保険法」に基づく罰則が科されるだけではありません。

事故によって人が傷ついた、あるいは亡くなった場合には、『危険運転致死傷罪』や『過失運転致死傷罪』に問われる可能性が高まります。

危険運転致死傷罪の場合、人身事故であれば最高で15年以下の懲役刑が科されます。もし、事故で人を死亡させた場合には、1年以上の有期懲役が定められています。

過失運転致死傷罪では、7年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金が科される可能性があります。

つまり、単なる罰金による罰則だけでなく、懲役刑が科される可能性があるわけです。

3-3 損害額の自己負担

無車検の状態で運転している場合、多くの場合で自賠責保険も切れている可能性が高いです。このような状態で交通事故を起こした場合、経済的な負担は非常に大きくなります。

一般的に、自賠責保険が適用される場合、人身事故に対する賠償は、傷害部分について最大で120万円、後遺障害部分については75万円から4,000万円などと決められています。

しかし、自賠責保険が切れている場合、これらの金額はすべて自己負担となります。

任意保険についても注意が必要です。

任意保険は自賠責保険が有効でない状態でも一部適用されるケースがありますが、多くの場合、自賠責保険が有効でなければ保険金は支払われません。

その結果、任意保険がカバーしてくれるはずの部分も、自己負担しなければならない状況が生じます。

3-4 相手が無車検運転・自賠責保険切れだった場合

交通事故にあった際、相手が無車検かつ自賠責保険切れであった場合、『政府保障事業』が利用できる場合があります。

政府保障事業とは、自動車損害賠償保障法に基づいて行われる事業であり、ひき逃げ事故や無保険事故(無車検・自賠責保険切れも含む)の被害者を救済する制度です。

この制度を利用することで、被害者は一定の救済を受けることができます

政府保障事業で補償される損害の範囲は、自賠責保険と基本的には同様です。

万全な状態で運転をすることはもちろん大切ですが、このような制度についても知っておくことは重要であると言えるでしょう。

4 まとめ

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今回の記事では、無車検による罰則について、無車検運行、自賠責保険切れ、さらには交通事故を引き起こしたケースを踏まえ、詳しく解説しました。

無車検での運転は法律で禁止されており、罰則も厳しく定められています。さらに交通事故を起こした場合には、さまざまな法的リスクが増大します。

交通事故に関する問題は複雑であり、専門的な知識が必要です。もし交通事故に遭遇した場合、特に無車検や自賠責保険切れが関わるような状況であれば、交通事故問題に精通した弁護士に相談することを強くおすすめします。

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代表弁護士 大隅愛友

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