物損事故で警察を呼ばなかったら?リスクや知っておくべきポイントを弁護士が解説!

監修者ベストロイヤーズ法律事務所

弁護士 大隅愛友

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物損事故で警察を呼ばなかったら?リスクや知っておくべきポイントを弁護士が解説!

交通事故は「人身事故」「物損事故」に分けることができますが、物損事故の中には『目立ったキズがない』『ケガ人がいない』といった軽微な事故も少なくありません。

ただし、交通事故を起こした場合には、事故の程度にかかわらず、警察への報告義務が課せられています。もし警察に届け出なかった場合には、道路交通法の違反となるだけではなく、さまざまなリスクがありますので注意が必要です。

本記事では、交通事故問題に詳しい弁護士が、物損事故で警察を呼ばなかった場合のリスクや、物損事故で知っておくべきポイントについて解説します。

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1 物損事故で警察を呼ばなかったら?6つのリスクについて

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物損事故が起こったにもかかわらず、負傷者がいないことや軽微な事故という理由で警察を呼ばないと、加害者だけではなく、被害者にもリスクが生じます

ここでは、物損事故で実際に警察を呼ばなかった場合、どのようなリスクがあるのか、6つのポイントにまとめましたのでご紹介いたします。

1-1 道路交通法違反で罰せられる可能性が

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物損事故が発生した場合、警察に報告する義務があります。そのため、警察に連絡しなかった場合、道路交通法の違反で3か月以下の懲役または5万円以下の罰金が科される可能性があります。

この義務は、物損事故を起こした加害者だけではなく、被害者にも課されている義務であるため、被害者が義務違反に問われる可能性もありますので十分注意が必要です。

そのため、交通事故が発生した場合には、当事者同士の話し合いだけで済まそうとするのではなく、まずは警察に通報し、事故の状況を報告しておかねばなりません。

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1-2 自損事故でも当て逃げとして扱われることが

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自損事故であっても警察に状況を報告しなかった場合には、当て逃げとして扱われる可能性があります。

自損事故は、相手のいない単独で起こした事故であることから、警察への報告は不要だと考える方も少なくありません。ただ、自損事故も交通事故である以上、警察に報告しなかった場合には、安全運転義務違反や危険防止措置義務違反を問われてしまう可能性があります。

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さらに、警察に報告しておかないと事故証明書を発行することができず、保険の手保険の手続きや、会社の休業申請ができないといったリスクも考えられます。

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1-3 保険金が支払われない可能性がある

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事故によって修理が必要になった場合や、後から痛みが出たような場合でも、保険金が支払われない可能性があります。

修理費用や治療費などは、本来であれば自賠責や任意保険による保険金によって補償が受けられます。しかし、警察に報告していない場合には交通事故証明書を発行することができませんので、保険会社に対して交通事故発生が証明できないのです。

自損事故で車両の損傷のみである場合はもちろん、損害が大きい場合にも保険を利用できなくなる可能性があります。そのため、物損事故が発生した場合には、必ず警察に届け出るようにしてください。

1-4 物損事故から人身事故への切り替えができない

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物損事故を警察に報告しなかった場合、仮に後から身体に痛みが発生したような場合でも、物損事故から人身事故に切り替えることができない可能性があります。

【関連記事】人身事故へ切り替えるべき6つの理由とは?切り替える手順を弁護士が解説

例えば、相手に怪我を負わせてしまった場合、警察の交通事故証明書がない限り、事故による怪我だと証明することができず、保険金の請求ができないのです。

警察への届け出は、事故直後でなくとも可能ですが、事故から時間が経つにつれて、事故の状況に不明点が生じやすくなります。しかし、事故発生から速やかに警察に届け出ていると、交通事故証明書の発行を受けることができ、事故による怪我であると証明することに役立ちます。

1-5 法的措置をとられる可能性がある

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物損事故によって破損や損傷を与えてしまったにもかかわらず、警察に報告しなかった場合には、相手側が損害賠償を求める訴訟を起こす可能性があります。

破損や損傷が生じた場合、修理や交換費用を保険請求で賄えますが、その際には交通事故証明書が必要になります。警察に報告せずに相手方と示談交渉した場合には、保険請求もできずにトラブルとなり、さらに法的措置をとられた場合には不利な立場になることもあります。

そのため、物損事故が発生した場合は、必ず警察に報告して適切に対応してもらうことが大切です。トラブルになるのを回避し、自分の権利を保護するのに役立ちます。

1-6 被害者側も処分を受けるリスクが

物損事故で警察を呼ばない場合、被害者側も刑事処分を受ける可能性があります。

道路交通法では、交通事故が発生した場合、加害者だけではなく被害者に対しても警察に報告する義務が規定されているためです。報告義務を怠った場合、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金が科される可能性があります。

軽微な事故で、加害者と話し合いで示談しているとしても、保険金が支払われないなど、トラブルになる可能性があります。

そのため、物損事故が発生した場合は、必ず警察に報告してください。

2 物損事故で知っておくべきポイント

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物損事故を起こした場合、それが軽微な事故であるとしても、警察を呼ぶことが義務づけられています。ただ、状況によっては、どのように対処すればいいのか、判断に悩むようなことがあるかもしれません。

また、警察だけではなく、救急車や保険会社などへの連絡が必要になるケースも考えられます。そこで、物損事故を起こした場合に知っておきたい情報を、いくつかのポイントにまとめましたのでご紹介いたします。

2-1 物損事故での警察への連絡の方法

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①110番に連絡

②事故の発生場所を伝える

③事故の状況を伝える

軽微な物損事故であっても、警察への届け出は義務になります。まずは速やかに110番に連絡します。

運転者が負傷して連絡できないような場合には、同乗者が連絡するようにしてください。後日連絡することも可能ですが、速やかに報告するようにしましょう。

警察に対しては、まず事故の発生場所を伝えます。土地勘のないような場所であれば、スマートフォンで位置情報を確認しながら説明すると良いでしょう。

さらに、事故の状況を伝えます。物損の状況や負傷者の有無などを説明し、物損事故においては何がどのように破損しているのか、具体的に伝えることが大切です。

負傷者がいる場合には、救急車への連絡も必要です。

2-2 物損事故は後日に届け出ることができる

物損事故を起こした場合には、速やかに警察に連絡することが望ましいですが、その場で警察への報告ができなかった場合には、後日に届け出ることができます。

ただし、後日連絡する際には、いくつかのリスクがあります。

事故から時間が経つにつれて、事故の痕跡がなくなってしまうことや、事故の詳細を覚えておくのが難しくなる可能性があります。

事故の当事者と連絡が取れなくなり、事故の状況を証明できないような事態も考えられます。

そのため、物損事故が発生した場合は、できる限り速やかに警察に連絡して、事故の状況を報告することが大切です。

2-3 後日警察から呼び出されることが

物損事故で警察を呼ばなかった場合、あるいは事故の状況によっては警察に届け出たにもかかわらず、警察から呼び出されるケースがあります。

呼び出されるケースとしては、次のようなものがあります。

  • 刑事責任が生じる事故で、警察の調査が必要となる場合
  • 行政処分が課される場合
  • 実況見分調書や供述調書を作成する場合

例えば、酒気帯びや信号無視などによる物損事故の場合には、負傷者がいないとしても、過失建造物損壊罪として刑事事件になる可能性があります。

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後日、怪我が明らかになるような場合にも同様です。

また、このような刑事事件に問われるような物損事故の場合には、免許停止や取り消しといった行政処分が課される可能性が考えられます。

さらに、その場で警察を呼んでいた場合でも、実況見分調書や供述調書を作成するために、呼び出される可能性もあります。

物損事故では通常、実況見分が行われることはありませんが、例外もあり、無視すると不利になることもありますので、応じるようにしましょう。

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2-4 物損事故の届けは速やかに

物損事故は、いつまでに警察に届けておかねばならないといった明確な決まりはありませんが、速やかに報告しておかねばなりません。

例えば、物損事故だと思っていても、後日に痛みが生じるなど怪我人が現れた場合に、事故との因果関係が曖昧になってしまう可能性があるからです。

物損事故を警察に届けることができる期限は、事故の発生から3年以内と定められています。それまでに報告しておかないと、交通事故証明書を受けることができなくなります。

2-5 交通事故証明書は届け出から1週間程度で受け取り可能

交通事故証明書とは、自動車安全運転センターが発行している、交通事故の事故を公的に証明するための書類です。保険を活用するために、保険会社などへ提出が必要となります。

事故証明が発行されるまでの期間は、一般的には、事故の発生から1週間から10日以内に発行されますが、場合によっては、さらに時間がかかることもあります。

警察は、物損事故の現場確認後、事故の概要を自動車安全運転センターに通知します。

この通知が届いていれば、即日で交通事故証明書を受け取ることができ、通知が届いていない場合には、後日郵送で受け取ることができるのです。

【関連記事】交通事故証明書の取得方法!取得場所や申請方法、日数など弁護士が解説!

2-6 警察を呼ばずに示談に応じないこと

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軽い物損事故の場合、加害者が警察を呼ばずに示談にしたがるケースがあります。その理由として、

  • 手間や費用をかけずに速やかに解決したい
  • 周りに物損事故を知られたくない
  • 運転免許の取り消しや運転免許停止などの処分を避けたい
  • 保険料の等級を下げたくない

といったものがあります。しかし、物損事故で警察を呼ばずに示談をすることは、上記でもご説明したさまざまなリスクが生じます。

軽い物損事故だからといって、警察を呼ばずにいると、思わぬ損害が生じることがありますから、必ず届け出るようにしましょう。

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3 まとめ:物損事故でも必ず警察へ連絡が必要です

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物損事故を起こした場合には、たとえ軽微な事故であるとしても、警察への連絡が義務付けられています。

警察を呼ばなかった場合には、さまざまなリスクが生じる可能性があるため、届け出を怠らないことが大切です。道路交通法の違反となるだけではなく、交通事故証明書が発行できないために保険を活用できず、大きな損害が発生してしまう可能性もあります。

警察への連絡は後日でも可能ですが、できる限り速やかに届出しておくことが大切です。

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