公正証書遺言の作成に必要な書類は?費用やメリットをわかりやすく解説!

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公正証書遺言の作成に必要な書類は?費用やメリットをわかりやすく解説!

公正証書遺言は、相続の遺言作成の方法の中で重要な対策のひとつで、遺言者が自分ひとりで書く自筆証書遺言よりも遺言者の意思を実現できる方法とされています。

近年は毎年約10万件もの多数の遺言公正証書が作成されており、令和3年にも10万6028件が作成されています。

令和3年の遺言公正証書作成件数について-日本公証人連合会.png

(出典:日本公証人連合会ホームページ)

しかし、公正証書遺言を作成するには費用がかかり、必要書類も準備する必要があります。

そこで本記事では、相続に詳しい弁護士が、公正証書遺言の作成のメリットや必要書類などについて解説します。

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1 公正証書遺言とは

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1-1 公正証書遺言

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遺言公正証書とは、遺言者からの意思を口頭で聞き取った公証人が遺言者の代わりとなって作成した遺言書をいいます。遺言者自身が直接、記載・作成するものではありません。

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1-2 作成の場所

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公正証書遺言は、公証人のいる公証役場に赴いて作成するだけでなく、遺言者が希望する場所に公証人に出張していただいて作成することもできます。

病気や高齢等の事情によって、公証役場へ赴くことが難しい場合には、遺言者の自宅や病院、介護施設などで作成することも可能です。

なお、公証役場は、各県に複数ありますが、どの公証役場で作成しても効力は同じです。公証人のスケジュールによっては、最寄りの公証役場での作成がかなり先になってしまうことがありますので、その場合には、別の公証役場での作成を検討することになります。

1-3 作成の際には2名の証人が必要

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公正証書遺言の作成の際には、証人2名が立ち会いの上で作成されます。

公正証書遺言の作成の際には、もちろん公証人が遺言者の本人確認、意思確認を丁寧に行いますが、担当する公証人1名に加えて2名の証人が立ち会うことが求められています。立ち合いの証人2名も、遺言者の意思を確認する役割を有しています。

証人に関する注意点として、下記に該当する場合は証人にできません。

  • 配偶者
  • 未成年者
  • 推定相続人や受遺者(配偶者等を含む)
  • 公証人の関係者(配偶者、四親等以内の親族、書記、使用人等)
  • 遺言書の内容の理解が難しい、または署名ができない

公証役場から手数料を支払い、証人を紹介してもらうこともできます。

相続開始後に遺言者の遺言能力が争われそうな場合などには、法律分野の有資格者である弁護士や司法書士を証人にすることが多いです。また、作成に先立ち、認知症の検査等を受けて遺言能力の証拠を残すこともあります。

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1-4 公正証書遺言の特徴

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公正証書遺言は、法律の専門家で特別な資格を有している公証人が関与するものです。そのため、現在、遺言書の種類のなかでは最も確実な有効性を持つ遺言書であり、遺言者の意思が実現される可能性の高い方法です。

ただし、公正証書遺言の作成には自分の財産について開示しなければならず、作成必要書類を発行するための手数料や、公証人への報酬を支払う必要があります。

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2 公正証書遺言のメリット

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公正証書遺言は、自分で作成する自筆証書遺言より手間はかかります。しかし、遺言の要件不備については心配がいらず、原本が公証役場で保管してもらえるメリットがあります。

2-1 法的効力の心配がほとんどなくなる

公正証書遺言は、公証人という法律の専門家が作成するもので、公正証書遺言は法的な要件を満たしているため、自筆証書遺言でよくみられるような法的要件の不備については心配がありません。

遺言で最悪の結果は、相続開始後に、遺言が無効とされてしまうことです。遺言無能力偽造を理由として、無効となった遺言は、その効力が全くないばかりか、その遺言の存在によって、相続人間の不和・争いの原因となることが少なくありません。

自筆証書遺言は、書き方によっては遺言が無効になったり相続に支障がでたりするケースも散見されます。公正証書遺言なら、形式面で無効になることはなく、相続に支障がでる可能性も低いでしょう。

また、公正証書遺言は裁判所で検認を受ける必要がなく、遺言者が亡くなったら遺言書を開封してすぐに遺産分割を行えます。

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2-2 原本は公証役場で保管される

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自分で遺言書を作成した場合は、紛失したり改ざんされたりといったリスクがあります。遺言者が突然亡くなってしまった場合は、遺言書の場所が伝えられていないこともあり得ます。

一方、公正証書遺言の原本は公証役場にデータで保管されているため、安全に遺言書の保管が可能です。もし、自然災害などで公証役場が被害を受けたとしても、データで存在するため物理的になくなる心配はありません。

なお、原本のほかに、正本と謄本も作成されます。一般的には、正本は遺言者が持ち、謄本は相続人または証人が持ちます。

3 公正証書遺言に必要な書類

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公正証書遺言の作成にあたっては、事前に準備しておく書類が何点もあります。

誰に遺産を渡すのか、遺産に不動産を含むかどうかで必要になる書類がかわってくるので、しっかりと確認するようにしましょう。市町村役場や法務局で数百円の交付手数料で発行できるものがほとんどです。

3-1 遺言者の本人確認書類

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遺言者本人の確認書類としては、印鑑登録証明書や運転免許証などの顔写真入りの公的機関が発行したものです。

印鑑登録証明書は、住所のある市町村役場で取得でき、3か月以内に発行したものが有効となります。交付手数料は1通300円です。また、作成の当日には実印を持参する必要があります。

3-2 遺言者と相続人の続柄が記載される戸籍謄本

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本籍地のある市町村役場で取得できます。交付手数料は1通450円です。発行から3か月以内のものが有効です。

3-3 相続人以外に財産を遺贈する場合

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財産を相続人以外に遺贈する場合には、財産を受け取る人の住民票が必要です。こちらも発行から3か月以内のものでなければなりません。

また、財産を受け取る人が法人の場合は、資格証明書が必要です。資格証明書は法務局の窓口にて600円で発行できます。

3-4 遺産に不動産が含まれる場合

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遺産の中に不動産が含まれる場合は、不動産関連の書類が必要です。

①不動産の登記事項証明書

登記簿謄本などが該当します。不動産登記事項証明書は不動産を管轄している法務局で交付を受けられます。手数料は600円です。

②固定資産税評価証明書

固定資産税評価証明書は不動産のある市町村役場にて1通350円〜400円で発行できます。固定資産税評価証明書の代わりに納税通知書の課税明細書を用いることも可能です。

3-5 遺産に預貯金や有価証券がある場合

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遺産のなかに預貯金や有価証券が含まれる場合には、銀行名や証券会社名および支店名のわかる資料が必要です。また、現在の残高を証明できるものが必要です。一般的には金融機関の通帳などが該当します。

4 公正証書遺言の基本手数料

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公正証書遺言の作成にかかる公証人への手数料は法令によって決められています。相続される価格が高くなるほど、手数料も高くなります。また、相続人ごとに手数料が必要です。

表(https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow02/2-q13

たとえば、1億円の財産を妻に5000万円、長男に3000万円、次男に2000万円相続した場合の手数料は下記のようになります。

  • 妻:29,000円
  • 長男:23,000円
  • 次男:23,000円
  • 合計:75,000円

今回の例では、最終的な手数料は75,000円という計算になります。

5 公正証書遺言の作成を弁護士に依頼するメリット

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公正証書遺言の作成に不安がある場合は、弁護士にサポートを依頼できます。ここでは、弁護士に公正証書遺言の作成を依頼するメリットについて解説します。

5-1 弁護士が証人になってくれる

公正証書遺言作成のリスクのひとつは、証人による遺言の情報漏れです。

しかし、法律の専門家である弁護士に依頼をしておくことで、その点は安心できます。職務上の守秘義務が厳格に求められる弁護士であれば、確実に秘密が守られます。

5-2 手続きを任せられる

公正証書遺言の作成には複数の必要書類を集めたり、複雑な手続きが必要であったりとなかなか手間がかかります。また、遺言の文案について、事前に、公証人と打ち合わせを行い内容を詰める必要があることが少なくありません。

しかし、弁護士に依頼をすることでこういった手続きを任せられるので、遺言者本人の負担は小さいものとできます。

5-3 相続開始後の紛争防止を見据えた遺言書の作成ができる

相続に深い知識のある弁護士が遺言書の作成についてアドバイスを行うことで、相続の際に、遺留分や遺言執行等のトラブルが起きないような遺言書の作成が可能です。相続をきっかけに親族などの人間関係が悪化するといったリスクを最小限にしてもらえるでしょう。

相続に精通している弁護士または協力税理士がいる弁護士の場合、相続税に関する助言も合わせて受けることができます。

また、遺言書のなかで遺言執行者を弁護士にしておけば、遺言者が亡くなった際にスムーズに遺言を実現してくれます。弁護士が遺言執行人として相続に関ることで、相続に関わる人たちも安心できます。

【関連記事】遺言執行者を弁護士にするメリットは?役割や選任の方法について弁護士が解説

6 まとめ:遺言を残す場合には公正証書がお勧め

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公正証書遺言は作成のための手間と費用はかかりますが、遺言者の意思が実現されやすく保管についても安心です。

必要書類については、法務局や市町村役場で発行してもらえますが、出向けない場合もオンラインと郵送で対応してもらえる場合もあります。

公正証書遺言の作成をする場合は、弁護士に相談をすることでスムーズに必要書類を集められたりアドバイスをもらえたりします。また、証人や遺言執行人になってもらうことも可能なので、安心して相続の準備をすすめられるでしょう。

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