遺産分割調停の流れ~メリット・デメリットや答弁書の書き方について弁護士が解説

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弁護士 大隅愛友

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遺産分割調停の流れ~メリット・デメリットや答弁書の書き方について弁護士が解説

遺産分割調停は、遺産相続におけるトラブルを解決するための家庭裁判所の手続です。

手続の中でも『答弁書』の作成は、調停を進める上で非常に重要です。

しかし、答弁書を初めて作成する方や法律に詳しくない方にとっては、どのように書けば良いのか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事は、答弁書の書き方に悩む方々に向けて、遺産分割調停の基本的な流れから、家庭裁判所からの通知、必要な書類の準備、そして答弁書の具体的な書き方まで、弁護士の視点から答弁書の書き方を解説します。

1 遺産分割調停とは

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1-1 遺産分割調停の特徴

遺産分割調停とは、相続人全員が参加する遺産分割協議で合意に至らなかった場合に利用される手続きです。

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手続きは家庭裁判所が管轄し、調停委員という裁判所に選任された裁判所職員が間に入り、話し合いを進めることによって解決を目指します。

調停委員には弁護士、医師、大学教授、公認会計士などの有識者が選任されるため、専門的な知識を持った人々が調停をサポートします。

1-2 遺産分割調停のメリット

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遺産分割調停の最大のメリットは、公正かつ中立な立場の調停委員が間に入ることで、感情的な対立を避け、冷静な話し合いを進められる点にあります。

これにより、相続人間の関係がさらに悪化するのを防ぎ、合意に至らない遺産分割協議を解決に導くことが可能となります。

1-3 遺産分割調停のデメリット

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一方で、遺産分割調停にはいくつかのデメリットも存在します。

まず、調停の申し立て手続きには手間と時間がかかります。また、相続人全員が裁判所に出向く必要があり、全員の合意がなければ調停は不成立となります。

さらに、調停が成立するまでには数ヶ月以上かかることが一般的であり、申立人の主張が通らないこともあります。

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2 遺産分割調停の流れ

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2-1 遺産分割調停の申立て

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遺産分割調停は、遺産分割協議で全員が納得する合意が得られない場合に、家庭裁判所に申立てる必要があります。

申立ては、相手方のうち1人の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所に行います。

そして調停の当日は、申立てをした家庭裁判所へ相続人全員が出向く必要があります。

申立てにはいくつかの必要な書類があります。ただし、申立て先の家庭裁判所や状況によって必要な書類が異なる可能性がありますので、事前に確認が必要です。

  • 申立書
  • 事情説明書
  • 送達場所等の届出書
  • 進行に関する照会回答書
  • 戸籍・住民票など(被相続人の戸籍謄本や住民票の除票、相続人全員の戸籍謄本及び住民票など)

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  • 相続関係図

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  • 遺産目録及びその遺産を証する資料(不動産登記事項証明書や預金通帳の写しなど)
  • 費用(被相続人1人につき収入印紙1200円分、連絡用の郵便切手)

2-2 申立書について

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申立書は、家庭裁判所に遺産分割調停を申立てるための書類です。

申立書には以下の内容を記載する必要があります。

  • 申立人の記名・押印
  • 被相続人の住所・氏名
  • 申立ての趣旨
  • 申立ての理由
  • 当事者目録

申立書の提出にあたっては、上記でご説明した書類や費用なども一緒に提出する必要があります。

すべての書類は調停の進行を円滑に行うために必要となります。

2-3 家庭裁判所からの通知

家庭裁判所が調停期日を決定すると、その通知書が申立人と共に、相手方の相続人全員に郵送で通知されます。

通常、申立てから2週間程度で通知が届きます。期日通知書をはじめ、多くの書類が送付されることになります。

各相続人は通知に従って、以下の必要書類を第1回目の期日までに準備する必要があります。

  • 答弁書
  • 進行に関する照会回答書

期日通知書には調停の第1回目期日の日時をはじめとして、調停の事件番号、裁判所の担当部担当係の担当書記官の氏名・電話番号が記載されています。

それらを確認し、通知書はなくさないよう注意し、大切に保管しておく必要があります。

2-4 調停当日の流れ

遺産分割調停当日は、申立人をはじめとする当事者である相続人全員が集まり、家庭裁判所で調停が行われます。

裁判所によって多少の違いはありますが、通常約2時間程度行われます。まずは、担当裁判官と調停委員2名が調停に関する説明や注意事項を説明します。

調停は話合いの場ですが、相手方と直接話し合うわけではありません。

調停委員2名が申立人及び相手方から個別に話を聞き、言いたいことがあれば調停委員に伝える形を取ります。これにより、関係が悪化していても冷静に協議が進められます。

調停委員と話している間、他の参加者は待合室で待機します。申立人と相手方は別の待合室になります。調停委員から呼ばれたら部屋に入り、順次交代します。

このように進められることから、調停委員とのコミュニケーションが非常に重要です。

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そのため、調停委員からの質問に的確に答え、指示に従う姿勢が求められます。言い分をしっかりと伝えるためにも、この点を心掛けましょう。

調停は1か月〜2か月に1回程度のペースで開催されます。調停委員は担当裁判官と進行を協議しながら進めていきます。

第2回以降の調停では、調停委員が双方の意向・要望を調整しながら進めていくことになります。

2-5 調停後の手続き

遺産分割調停後には、合意に至った場合と至らなかった場合で、異なる手続きを取ることになります。

①調整が成立した場合

裁判官の立会いのもとで合意事項が確認され、「調停調書」が作成されます。

この調書は遺産分割協議書と同じ効力を持ち、相続不動産の相続人への名義変更や預貯金の払い戻しなどが単独で可能となります。

そのため、改めて遺産分割協議書を作成する必要はありません。

②調停で合意に至らなかった場合

調停が成立しなかった場合、調停に続いて「遺産分割審判」の手続きが開始されます。この審判では、裁判官が全ての事情を考慮して判断し、解決を目指して審判を行います。

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3 遺産分割調停に必要な『答弁書』『進行に関する照会回答書』の記載内容・書き方について

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3-1 『答弁書』の記載内容・書き方について

遺産分割調停の当日までには、いくつかの重要な準備が必要ですが、その中でも特に重要なのが「答弁書」の作成です。

答弁書は、遺産分割調停の申立てから2週間程度で届く通知に含まれる書類の一つで、各相続人は遺産分割調停の当日までに準備しておく必要があります。

答弁書は家庭裁判所によって書式が異なりますが、以下のような内容を記載することになります。

■相続人の範囲について

  • 遺産分割について:遺産分割を希望するかどうか
  • 相続人の状況と当事者目録について:通知によって送付された当事者目録と相続人が一致しているか
  • 相続人の中に認知症や精神障害などによって物事を判断することが困難な人が含まれているか
  • 相続人の中に行方不明の人はいるか

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■遺言、遺産分割の話し合い、遺産の範囲について

  • 遺言書の有無:遺言書の存在や種類(公正証書遺言や自筆証書遺言など)、誰が保管しているかなど
  • 遺産分割の話し合いについて:相続人間でまとまらなかった理由、遺産分割協議書の作成の有無など
  • 遺産の状況:遺産目録の記載通りか
  • 被相続人の負債:誰に対してどのような負債があるか

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■遺産の評価について

  • 遺産である不動産の評価について:評価をどのように考えるか、固定資産税評価額やほかの評価方法による評価額など

■各相続人の取得額について

  • 被相続人について:被相続人の死亡時の病名や療養期間、同居者の有無、職業など
  • 被相続人の生存中における生前贈与の状況(特別受益
  • 被相続人に対する介護などの特別な貢献(寄与分。特別の寄与

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■遺産の分割方法について

  • 希望する分割方法:現物の取得、金銭での取得など

■今回の申立てについて

  • 遺産分割協議の状況:これまでの遺産分割協議の進行状況について
  • 争いがある相続人について
  • 裁判所に知っておいてほしい事情など

答弁書は調停の基盤となる重要な書類であり、適切に記載することで調停がスムーズに進行する可能性が高まります。

3-2 『進行に関する照会回答書』の記載内容・書き方について

遺産分割調停の手続きを進める上で重要な書類の一つが『進行に関する照会回答書』です。

この書類は、調停の進行に関わる具体的な事情を記録するためのもので、申立人となる相続人は申立ての際に提出する必要があります。

申立ての相手方用の書類も存在し、調停に同席が難しい場合など裁判所に配慮を求めたい場合にも活用します。

進行に関する照会回答書の書式は家庭裁判所によって異なるため、各裁判所の指定する書式に従って記入することが重要です。以下のような内容を記載することになります。

  • 相続人の中に裁判所に出頭しないと思われる人がいるかどうか
  • 相続人の中に代理人弁護士が就いている人がいるかどうか
  • 相続人の中に裁判所で暴力を振るう恐れがある人がいるかどうか
  • 調停期日の希望について
  • 裁判所に配慮を求める内容について

4 遺産分割調停・答弁書の書き方に不安があれば弁護士に相談を

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遺産分割調停は、多くの法律的な手続きや専門知識を要するため、不安を感じる方は少なくありません。

遺産分割調停では、弁護士を代理人として選任することが可能です。

弁護士を代理人として選任すると、調停室に一緒に入室してもらい、その場でアドバイスを受けながら調停を進めることができます。

そのため、法律的な知識がない人でも安心して調停に臨むことができます。

当事者本人が調停期日に出席できない場合でも、弁護士に代わって調停期日に出席してもらうことが可能です。

急なトラブルや体調不良などで出席できなくなった場合や、どうしても調停に参加したくない場合においても、安心して任せることができます。

遺産分割手続は、複雑な法律問題を扱うため、弁護士への相談がおすすめです。

弁護士は遺産分割調停に関する法律的な知識や経験を持っており、適切なアドバイスを提供することが可能です。

5 まとめ

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遺産分割調停は、相続人間での合意が得られない場合に家庭裁判所に申立てを行う手続です。

この記事では、その流れと必要な書類、そして調停当日の注意点、答弁書などの書き方などについて詳しく解説しました。

遺産分割調停は複雑な法律問題を扱い、多くの書類や手続きが必要となります。そのため、調停の過程で不安を感じる場合には、早めに弁護士に相談することがおすすめです。

弁護士は法律的なアドバイスを提供するだけでなく、調停期日に代わりに出席することも可能です。

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