相続人が行方不明で相続が進まないときの手続きと弁護士による解決方法

監修者ベストロイヤーズ法律事務所

弁護士 大隅愛友

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相続人が行方不明で連絡取れない!相続が進まないときの対処法とは?

この記事でわかること

  • 行方不明相続人で手続きが止まる理由
  • 家庭裁判所での主な解決方法
  • 弁護士へ相談するメリット

相続を進めたいのに、相続人の中に行方不明者や音信不通の人物がいる場合、相続が進まずに困ってしまうはずです。

もし遺言書が残されていれば、その通りに動けば良いとされます。一方で遺言書が残されていない場合には、相続手続きとして「遺産分割協議」をおこなわなくてはいけません。

ただし、遺産分割協議には相続人全員の参加が必要であり、1人でも欠けていると手続きは無効になります。

原則としては、相続人全員と連絡をとり相続を進める必要があることから、行方不明者は見つけ出し、どうにか連絡をとらなくてはいけません。

しかし、どうしても連絡が取れないという場合には状況に応じて、「不在者財産管理人」、「失踪宣言」、「遺産分割調停」などの申し立てをすることで、どうにか進めていくことになるでしょう。

この記事では、行方不明者の探し方や、非協力的で音信不通の相続人がいる場合の対処法を詳しくお伝えします。

1 相続人が行方不明!まずすべきこととは?

相続人が行方不明のときまずすべきことは.jpg

相続人との連絡が必要かどうかは、遺言書の有無でも異なります。そこで、被相続人の相続が始まることがわかったら、まず最初にすべきことは「遺言書」を探すことです。

まずは、遺言書の有無を確認する手段からお伝えしていきます。

1-1 遺言書の有無を確認する方法とは?

遺言書の確認|公証役場.jpg

一般的に遺言書の作成は、弁護士や税理士などのプロが関与することが少なくありませんので、もし被相続人が生前にお世話になっていた専門家がわかる場合には聞いてみましょう。

部屋や事務所などに自筆の遺書が残っていた場合には開封せず、家庭裁判所へ検認に持っていく必要があります。

【関連記事】自筆の遺言は開封前に検認が必要!必要書類や注意点・手書きの流れを手順で解説

【関連記事】遺品整理業者とのトラブルを避けよう!予防策からもめた場合の対処法まで解説

もし身の回りから見つからなければ最寄りの公証役場へ足を運び、遺言書を残しているか確認してください。

ここからは、遺言書がある場合・ない場合それぞれについて、相続人への連絡が必要・不要な理由を詳しく解説します。

1-2 遺言書があった!相続人全員に連絡が必要?

まず、有効な遺言書がある場合で、遺言書通りに相続を分割すればよい場合には、連絡が取れない相続人がいてもそのまま相続が進められる可能性があります。

なお、遺言書がある場合でも、その内容に不満があり、遺言書と異なる内容で相続したい場合には、「遺産分割協議書」を作成しなくてはいけません。

遺産分割協議書の作成には原則、法定相続人全員の同意が必要となるため、次に説明するように、連絡が取れない相続人にもリアクションをしてもらう必要があります。

1-3 遺言書がない!相続人全員に連絡は必要?

遺言書が存在しない場合や、検認をして遺言書ではないことがわかった場合、あるいは遺言書が遺言者の認知症や偽造で無効であるという結果になった場合には、法定相続人が遺産相続の方法を決めます。

【関連記事】遺言書が偽造されたらどうすればいい?疑った際の法的手続きから防止策まで弁護士が解説

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そして遺産相続の方法を決めるためには、「遺産分割協議」をしなくてはいけないことが法律で決められています。

遺産分割協議には法定相続人の全員が参加しなくてはならず、連絡が取れる相続人だけでする遺産分割協議は無効です。

なお、下記のようなものの名義変更や払い戻しなど、相続財産に関わる手続きは、遺産分割協議が完了するまで認められません。

・不動産
・株
・自動車
・預貯金

もし連絡が取れない法定相続人がいる場合には、行方不明である場合にも探し出し、遺産分割協議に参加してもらう必要があります。

2 相続人が行方不明?音信不通?連絡が取れないときの対処法

連絡が取れない時の方法.jpg

相続人と連絡が取れない理由はさまざまで、なんらかの意図があって無視をし続ける場合と、存在の有無自体が不明な場合があります。

・不仲である
・疎遠である

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・生死不明である

親族同士でもともと不仲である場合のほかに、再婚や隠し子、嫁姑問題で連絡を無視されてしまうこともあるでしょう。

連絡が取れない根本的な理由がなんであれ、下記のどちらに当てはまるかで対処法は異なります。

①行方不明で連絡先がわからない
②連絡先はわかるけど音信不通

誰も行方不明者の情報を持っておらず、連絡手段がまったくないというときもあるでしょう。

一方で、連絡先は知っており何度も連絡をとっているのに返信がなく、音信不通というパターンで困っている人もいるはずです。

ここからは、それぞれのケースごとの対処法を、詳しく解説していきます。

3 相続人が行方不明!連絡先がわからないときの対処法とは?

住民票・戸籍の附票を確認.jpg

相続人の連絡先がわからず、連絡しようにも手段がない場合、まずすべきことは「住所の調査」です。

住所の調査をする方法は主に、該当人物の住所履歴が記載されている「住民票」や「戸籍の附票」を取得することです。

戸籍附票を取得する方法については、この記事で詳しく後述します。

連絡先がわからない相手の住所を戸籍附票の取得により探した結果、住所がわかれば直接連絡をしましょう。

しかし、戸籍の附票を見ても住所がわからないケースもあります。下記2つのケースどちらかに該当することが多く、それぞれの対処法は記載のとおりです。

①住民票上で行方不明:家庭裁判所で「不在者財産管理人」を選任してもらう

戸籍等を調べても所在を確認できない場合や、調査結果から次の手続きを判断できない場合は、これまでに取得した資料をもとにご相談ください。

【関連記事】不在者財産管理人とは?音信不通の相続人がいるときの遺産分割協議を解説

②7年間行方不明状態が続いている:家庭裁判所に「失踪宣告」を申し立てる

【関連記事】失踪宣告とは?行方不明者の相続・相続人が失踪者|必要手続きを解説

戸籍の附票に記載されている住所に居住実態がなく、他に居場所の手がかりがない場合は、家庭裁判所に『不在者財産管理人』の選任を申し立てる方法があります。なお、不在者財産管理人が本人に代わって遺産分割協議を行うには、家庭裁判所の『権限外行為許可』を得る必要があります。

不在者財産管理人とは、遺産分割協議をおこなうにあたり財産保存の代理をする人のことであり、親族あるいは弁護士などが選任されることが多いです。

一方で、7年以上のあいだ行方不明が続いていることがわかった場合は、家庭裁判所に「失踪宣告」を申し立てることで、行方不明者を死亡したものとしてみなしてもらいます。

3-1 住所の調査方法を解説!行方不明の相続人の探し方

住所の調査方法を解説!行方不明の相続人の探し方.jpg

行方不明になっている法定相続人の探すときには、下記の手順で手続きをすることになります。

①個人の戸籍から行方不明者の本籍を見つける
②行方不明者の本籍地の市町村役場へ戸籍の附票を請求する
③戸籍の附票から住民票記載の住所情報を確認する

行方不明の相続人の住所を探すためには、まず故人の戸籍あるいは自分(同じ戸籍に入っている場合)の戸籍をたどる必要があります。

行方不明者が法定相続人であれば、故人の戸籍に行方不明者の本籍情報が載っているはずです。

本籍地がわかったら、本籍のある市町村役場へ戸籍の附票を請求します。

戸籍の附票に記載されている住民票情報から、行方不明者の住所を確認しましょう。なお、戸籍の附票を請求申請できるのは原則、本人・直系血族・配偶者のみです。

あるいは、戸籍取得の代行業務ができる弁護士・司法書士・行政書士のいずれかに依頼をすることができます。法定相続人が自分で手続きできない場合には、プロへの依頼を活用しましょう。

 

 

 

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4 連絡先はわかるけど音信不通!対処法とは?

連絡先は分かるけど音信不通の相続人への対応.jpg

相手が行方不明なわけではなく、非協力的で連絡が取れないだけという場合には、さまざまな手段で返事をあおぎましょう。

たとえば、下記のような手段を検討してみてください。

・メール
・電話
・手紙
・FAX
・SNS
・訪問

居場所がわからない場合には、上記でお伝えした手段で住所を探し出し、訪問することが効果的になるかもしれません。

ポイントは、音信不通であり続けることのデメリットを伝えることです。

たとえば下記のような点は、連絡が取れない相続人にも大きなデメリットになりえます。

・相続税面で不利益がうまれる
・受け取れるはずの預貯金の払い戻しができない
・相続財産の無断利用や譲渡の可能性がある
・被相続人の借金も相続してしまう

もしかすると、返事をするのが面倒で後回しにした結果、忘れているだけという可能性があります。

具体的にいつまでに返事が必要なのかを改めて伝えることで、焦って連絡をくれるかもしれません。

4-1 返事をしたくないなら「相続放棄」をしてもらうことも

相続放棄.jpg

財産や借金を相続をする気がない場合には、「相続放棄」という手段があることも伝えましょう。

今後も他の法定相続人と関わりを持ちたくないのであれば、相続放棄をすることで相続自体がなかったことになるため、その後は縁を切れるというメリットがあります。

ただし、相続放棄ができるのは相続があることを知ってから3か月以内です。

【関連記事】相続放棄の期間経過後は弁護士へ相談|特別な事情の上申書がポイント

連絡が取れない相続人が相続放棄を期限内にしなかった場合には、法定相続人としての対処が必要であることを伝えましょう。

4-2 どうしても相続人と連絡が取れない!最終手段とは?

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相続人に連絡をしているにも関わらず返事がこない状態での場合、速やかに「遺産分割調停」を申し立てます。

遺産分割調停を申し立てることで家庭裁判所が相続人の代わりに、連絡が取れない相続人の住所へ呼び出し状を送ってくれます。

この場合、相続人のうち誰かが、相手方の住所地にある家庭裁判所へ遺産分割調停の申し立てをおこなうのが一般的です。

遺産分割調停に必要なものは、主に下記があげられます。

・申立書
・相続関係のわかる戸籍謄本
・申立手数料(1,200円)

【関連記事】遺産分割調停に必要な費用とは?相場・手続き方法を解説

呼び出し状を受けても相続人が裁判所へ訪れない場合や、調停での話し合いが成立しなかった場合には「遺産分割審判」へと移行し、裁判官に遺産分割方法を決めてもらうよう求めていきます。

もっとも、裁判官は当事者に肩入れしてくれるわけではないため、希望する遺産分割となるように、積極的に働きかけていく必要があります。

審判手続きは、特に専門的な手続きのため、弁護士へ依頼することをお勧めします。

【関連記事】遺産分割審判とは?調停との違いや注意点を弁護士が解説!

5 行方不明・音信不通の相続人に関するよくある質問

行方不明の相続人を除いて遺産分割協議を進めることはできますか?

遺産分割協議には共同相続人全員の参加が必要であり、行方不明者を除外した協議は法律上無効となります。1人でも欠けた状態では、不動産の相続登記や原則的な預貯金解約・名義変更などの分割手続きを完了できません。ただし、有効な遺言書によって全遺産の分け方が指定されている場合は、遺産分割協議そのものを要しないことがあります。まずは遺言書の有無を確認し、協議が必要な場合は不在者財産管理人の選任など裁判所を介した適法な手続きを進める必要があります。

所在が分からない相続人について、不在者財産管理人を選任すれば遺産分割できますか?

管理人の選任処分だけでは足りず、遺産分割協議を行うには家庭裁判所の「権限外行為許可」が別途必要です。不在者財産管理人は本来、財産を保存・管理する代理人であるため、処分行為にあたる遺産分割には個別の裁判所許可が不可欠となります。前提として、戸籍の附票や現地確認等で居場所が判明しない客観的な調査結果が揃っていなければ選任自体が認められません。また、本人の法定相続分を不当に侵害する分割案には裁判所の許可が下りない点にも留意が必要です。

失踪宣告には何年間の生死不明が必要ですか?

普通失踪の場合、相続人の生死が7年間明らかでないことが法令上の基準です。この期間は民法第30条第1項に定められた法定期間であり、不在者の生存が確認できた最後の連絡等の時点から起算されます。家庭裁判所の失踪宣告により、7年の満了時に死亡したものとみなされ、その人自身の相続も発生します。居場所が分からないだけで生存が判明している場合は対象外となり、不在者財産管理人の手続きを選択することになります。警察への行方不明者届出や親族間の調査記録を揃えて家庭裁判所に申し立てます。

連絡を取りたくない相続人が相続放棄をする期限はいつですか?

自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内が家庭裁判所への申述期限です。この期間は民法第915条第1項に定める熟慮期間であり、被相続人の死亡と自身が相続人となった事実を認識した日から起算されます。期限内に申述しなかった場合は単純承認したものとみなされ、遺産分割協議への参加義務や負債の承継義務が残ります。ただし、相続財産の調査に時間を要するなど正当な理由がある場合は、3か月の期間内に家庭裁判所へ「熟慮期間伸長の申立て」を行うことで延長が認められる余地があります。

返事をしない相続人について、遺産分割調停の申立手数料はいくらですか?

申立手数料は被相続人1人につき収入印紙1,200円で、別途裁判所へ納める連絡用の郵便料が必要です。この手数料は家事事件手続法に規定された実費であり、相手方となる相続人の人数にかかわらず一律です。調停は原則として相手方のうち1人の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。裁判所からの呼出しにも一切応じず調停が不成立となった場合は自動的に審判手続きへ移行し、裁判官が遺産分割の方法を決定します。申立てにあたっては、相続関係を証明する戸籍謄本類一式を添付します。

6 まとめ:相続人が行方不明!連絡取れないなら弁護士へ相談

相続人が行方不明の場合|弁護士・大隅愛友の解説.png

法定相続人が行方不明の場合、まずは住所を探すことから始める必要があります。

  • 住所が判明したが相手が応じない場合:家庭裁判所へ遺産分割調停を申し立てる

  • 調査を尽くしても所在が不明な場合:不在者財産管理人の選任(および権限外行為許可)を経て進める

  • 7年以上にわたり生死が不明な場合:失踪宣告の申立てを検討する

相続人全員と連絡が取れないからといって相続を放置してしまうと、たとえば下記のような問題が発生する可能性があります。

・不動産の活用ができず固定資産税ばかりかかってしまう
・他の相続人により法廷相続分に相当する部分を勝手に売却/譲渡されてしまう
・相続財産である預貯金を払い戻しできない
・相続税に関する控除や特例を受けられず不利益が生まれる
・空き家になっている不動産が犯罪の巣になってしまう

相続人がなぜ連絡してくれないのか、気持ちの部分についても考慮しつつ、穏便、速やかに相続を進めていきましょう。

監修者

ベストロイヤーズ法律事務所

代表弁護士 大隅愛友

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