遺品整理業者とのトラブルを避けよう!予防策からもめた場合の対処法まで解説

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遺品整理業者とのトラブルを避けよう!予防策からもめた場合の対処法まで解説

遺品整理業者を利用する際に気になるのは、「トラブルに巻き込まれたらどうしよう」ということではないでしょうか。

遺品整理業者と依頼者との間で生じるトラブルは増加傾向にあり、国民生活センターでは遺品整理業者の利用について注意を促しています

大量の遺品を整理してくれる遺品整理業者は、ありがたい存在。けれどもその一方で選び方を間違えると、トラブルに巻き込まれる可能性もあるため注意が必要です。

本記事では、遺品整理業者と依頼者の間で発生するトラブルの内容や理由とともに、トラブルを避ける方法についてご紹介します。

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1 遺品整理業者とは

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遺品整理業者とは、依頼主に代わって遺品整理をする業者のことです。

遺品整理業者が提供しているサービスにはばらつきがありますが、主なものとして

・遺品の仕分け

・貴重品や相続の手続きに必要なもの(不動産権利証など)の探索

・不用品の撤去

・不用品の処分

などが挙げられます。

また、遺品業者の中には

・遺品の供養

・遺品の買取

・ハウスクリーニング

・リフォーム

というふうに、遺品整理以外のサービスを提供しているところもあります。

【関連記事】特殊清掃のトラブル|防ぐために業者選びのコツを弁護士が詳しく解説

遺品整理業者に依頼することで、遺族は遺品整理の負担から解放されます。さらに、遺産相続の手続きに必要なものなど、残しておくべきものと処分すべきものを専門的な視点から仕分けしてもらえるなどのメリットが得られます。

2 遺品整理業者とのトラブルが発生しやすい理由

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国民生活センターに寄せられる相談件数は、2013年に73件だったのが、2018年には105件に増加しました。

・参照:『こんなはずじゃなかった!遺品整理サービスでの契約トラブル-料金や作業内容に関するトラブルが発生しています-

これは、遺品整理業者を利用する人が増えたこともありますが、遺品整理業界の現状も大きく影響しています。

遺品整理業界は、現在発展途上にあり未成熟の業界です。総務省が令和2年3月に発表した遺品整理業者に関するレポートをもとに、遺品整理業者の特徴を以下にまとめました。

・「遺品整理業」には明確な定義がない

・調査対象となった遺品整理業者の約75%が、平成21年以降に事業を開始した

・iタウンページに「遺品整理」なるカテゴリーが登場したのは、10年ほど前

・各業者によって提供しているサービスや取得している許可(一般廃棄物収集運搬業許可など)にはばらつきがある

・料金設定にばらつきがあり相場の見当をつけるのが困難

・見積書や契約書に決まった形式がない。契約書を作成しない業者もいる

・参照:『遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査結果報告書

このように、遺品整理業界は過去約15年間で急成長し、それに法律やルールの整備が追いついていないのが現状です。そのため規制がゆるく、遺品整理業者が自由にサービス内容や料金を決めることも難しくありません。真面目に仕事をしている遺品整理業者もいますが、中には楽をしてお金を稼ごうとする業者もいます。こうした環境が、トラブルを招く要因と考えられるのです。

3 遺品整理業者を巡るトラブル例

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遺品整理業者と依頼者との間では、どのようなトラブルが発生するのでしょうか。

主なトラブル例は、以下のとおりです。

・追加請求/高額請求

・作業遅延

・遺品の不当買取

・遺品の不当処分

・ネコババ

3-1 追加請求/高額請求

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遺品整理業者が、見積もり後に追加料金を請求したり、見積もりよりも高額な料金を払うよう求めたりすることがあります。請求に対して依頼主が納得できれば問題ないのですが、

・見積もりもりより何倍も高い

・あれこれ理由をつけられて追加料金がどんどん増えていく

というふうに、依頼主がとまどうような請求をするケースがほとんどです。

さらに、

・キャンセルを告げると、支払った手付金の返金を拒否された

・契約を断ろうとすると、高額なキャンセル料を請求された

・遺品の整理だけでなく、リフォームをするよう強くすすめられた

という業者の行動も、問題となっています。

3-2 作業遅延

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遺品整理業者の中には、手付金を支払ったにもかかわらず、作業を始めない業者がいます。

催促しても何かと理由をつけて先延ばしされるため、依頼者は、「本当に整理してくれるのかどうか」と不安を感じるでしょう。スケジュールが決まっている場合は、期日までに作業が終わるかどうか分からないことに対して、ハラハラするかもしれません。

作業を始めないというだけでも問題ですが、しびれを切らしてキャンセルを申し出た時に拒否されたり、高額のキャンセル料を請求されたりするなど、大きなトラブルに発展する可能性があります。

3-3 遺品の不当買取

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遺品買取とは、遺品整理業者が価値ある遺品を買い取ってくれることをいいます。

遺品買取を巡るトラブルには、

・本当は価値があるのに、それを依頼者に知らせずに二束三文で引取り、買取専門店などに転売する

・依頼者の承諾を得ず勝手に回収してオークションサイトなどに出品する

などがあります。

不当な値段での買取りで手放してしまった遺品を取り返したり、差額を業者に請求したりすることは現実的には難しいため、トラブルに巻き込まれないのが一番です。

3-4 遺品の不当処分

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故人が日ごろ身につけていた品物などを、遺品整理業者が勝手に処分してしまうことがあります。

また、遺品整理業者が不用品として回収したものを不法投棄することも、遺品の処分をめぐる問題といえるでしょう。遺品整理業者が不法投棄をした場合、依頼主は法で罰せられる可能性があるなど、大きなトラブルのもととなっています。

3-5 ネコババ

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ここでいう「ネコババ」とは、遺品整理業者に貴重品などを盗まれたというトラブルのことです。

価値のある遺品には、

・タンス貯金や現金

・宝石などの貴金属

・クレジットカード

・高価なカメラ

などがあります。

免許証やパスポートなど悪用されるリスクのある身分証明書も、貴重品に含まれます。

その遺品整理業者自体は良心的でも、従業員が勝手にネコババすることもあります。

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4 遺品整理業者とのトラブルを避ける方法

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遺品整理業者とのトラブルを避けるには、遺品整理の相場を知り、落ち着いて行動することが大切です。主なトラブル回避法についてご紹介します。

4-1 複数の会社から見積もりを取り寄せる

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遺品整理業者を選ぶ場合は、複数の会社から見積もりを取り寄せましょう。

複数の中から良いところを選ぶのもそうですが、遺品整理にかかる費用の相場を把握することも目的の一つです。

4-2 作業に関連したことを確認する

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遺品整理業者とのトラブルで多いのは、高額な作業料やキャンセル料を後から請求されることです。見積もりを出してもらった時点で、追加料金発生の有無や、キャンセル料について、確認しましょう。

また、作業遅延というトラブルを避けるため、作業開始日と終了予定日を確認することも大切です。

4-3 貴重品は自分たちで整理する

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貴重品をネコババされたり、大切なものを勝手に処分されたりといったトラブルを避けるには、遺品整理業者が入る前に、自分たちで貴重品を別の場所に保管しておくことが大切です。

時間がなくてそれが難しい場合は、遺品整理業者に残しておいてほしいものなど要望を伝えておきます。

また、手放す予定の遺品で価値があると考えられるものについては、事前にインターネットなどで調べておきましょう。不当な値段で買い取られることを防ぐことにつながります。

4-4 やりとりを克明に記録する

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遺品整理業者とのやりとりは、できるだけ記録しましょう。後で「言った」「言わない」といったトラブルを避けるためです。

記録として残しておくべきものには、

・遺品整理業者から出してもらった見積もり

・eメール

・LINE上のメッセージ

・電話での会話

などが該当します。

「見積もりの時は、追加料金は一切かからないと言ったのに、作業が始まってから追加で高額な料金を請求された」というトラブルも少なくありません。高額なキャンセル料を支払うなど新たなトラブルを避けるためにも、記録を残すことは大切です。

4-5 よく考えてから契約する

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遺品整理業者の中には、「今契約すると安くなる」というふうに、その場で契約をすすめるところがあります。慌てて契約をすると、

・他社と比較をせずに決めてしまう

・追加料金の有無など大事なことを確認せずに決めてしまう

ことになり、後悔するリスクが高まります。

返事を急かされたらいったん保留し、家族など周囲に相談してから決断するようにしましょう。

5 遺品整理業者の選び方

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遺品整理業者とのトラブルを避けるには、良心的な遺品整理業者を選ぶことも大切です。選び方のコツをご紹介します。

5-1 遺品整理に必要な資格や許可を取得している業者を選ぶ

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遺品整理業者は、基本的に誰でもなれます。けれども、遺品整理業者を選ぶ際は、遺品整理士が在籍しているかどうかを選ぶ基準にしましょう。

遺品整理士は、遺品整理を適切に行える人に対して与えられる資格です。遺品整理士の資格を持っている人は、正しい知識で遺品を適切に整理できるだけでなく、遺族の心に寄り添った遺品整理ができる可能性が高いといえるでしょう。

その他にも、持っているかどうか確認した方がよい許可には、以下のものがあります。

・古物商許可:不要品の買取に必要な資格

・一般廃棄物収集運搬業許可:不用品の回収に必要な許可

特に遺品の買取から不用品の処分まで依頼することを検討している場合は、これらの許可を持っているかどうかを確認することが賢明です。

5-2 現場調査をしてから見積もりを出してくれる業者を選ぶ

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良心的な遺品整理業者は、見積もりと実際の料金のギャップを避けるために、必ず現場を調査してから見積もりを出します。

遺品整理業者の中には、電話で見積もりを出そうとするところもありますが、トラブルとなりやすいので避けるのが無難です。

5-3 詳細な見積もりを出してくれるかどうかを確認する

見積もりを出してもらったら、合計金額だけでなく内訳もしっかりと確認します。

内訳は、詳細であればあるほどトラブルのリスクが低くなります。一つでも不明な項目があったら、業者に確認しましょう。「遺品整理一式」など、大ざっぱな項目のみ記載されている場合は、その業者を選ぶのをやめるか、作業内容について具体的に説明してもらうかします。

5-4 こちらの質問に対して誠実に答えてくれる業者を選ぶ

質問に対する答え方で、良い遺品整理業者かどうかを見分けることが可能です。悪徳業者は明確な答えを避けたり、話をはぐらかそうとしたりします。一方良心的な業者は、依頼主の不安を取り除こうと分かりやすい言葉で説明してくれます。

5-5 問い合わせて対応をみる

電話問い合わせ.jpg気になる業者が見つかったら、実際に問い合わせてみましょう。作業に来る当事者だけでなく、受付などその会社の接客態度を知るきっかけになります。

人当たりがよく誠実で「ここなら安心して任せられそうだ」というところを選ぶようにしましょう。

6 遺品整理業者とのトラブルに巻き込まれてしまったら

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遺品整理を依頼した業者との間にトラブルが発生してしまった場合、どうしたらいいのでしょうか。方法としては、

・国民生活センターに相談する

・クーリングオフを行う

・こじれた場合は警察または弁護士に相談する

の3つがあります。

6-1 国民生活センターに相談する

国民生活センター(独立行政法人国民センター)は、消費者問題の解決を目的とする、消費者庁管轄の機関です。「遺品整理業者とのトラブルにどうやって対処したらいいか誰かに相談したい」という場合は、国民生活センターに相談してみましょう。同センターでは、寄せられた相談事例をもとに、対処法などをアドバイスしています。

連絡先:

・消費者ホットライン:188

・国民生活センター:03-3446-1623

詳細は、こちらを参考にしてください。

・『全国の消費生活センター等

6-2 クーリングオフを行う

クーリングオフとは、消費者が契約をキャンセルできる制度のことです。契約してから8日以内であれば、申込みを撤回できます。

クーリングオフのやり方は、代金の返金を求める書面を作成し、それを業者に送ります(クレジットカード決済の場合は、クレジットカード会社にも通知します)。その際、郵送したことを証明するため、内容証明郵便を利用しましょう。

クーリングオフが成立すると契約は白紙となり、後日契約先から全額返金されます。

6-3 こじれた場合は警察または弁護士に相談する

遺品整理業者からほぼ脅しのような態度を取られている、または、居座って帰らないなど、身の危険を感じる場合は、迷わず110番しましょう。

それほど緊急ではないが、警察に相談したいという場合は、警察相談ダイヤルが無難です。

連絡先:

・警察署:110

・警察相談ダイヤル:#9110

もし、「業者がクーリングオフに応じてくれない」という場合は、弁護士に相談しましょう。クーリングオフに応じてくれない遺品整理業者に対しては、

・警察に被害届を出すことを視野に入れている

・刑事告訴も辞さない

という旨を主張する文書を送ることが効果的です。弁護士に依頼することで、より主張性の高い文書を作成してもらえることが期待できます。

7 まとめ:遺品整理業者とのトラブルは事前に防止しましょう!

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本記事では、遺品整理業者をめぐるトラブルに関する情報をお伝えしました。

トラブルを避けるには

・悪徳業者を選ばない

・トラブルに合わないよう予防策を講じる

・トラブルに合った場合の対処法を知る

ことが大切です。

良い遺品整理業者を選び、契約前に作業について業者と細かく打ち合わせすることで、トラブル発生のリスクを最小限にする可能性が高まります。

もし、遺品整理業者とのトラブルが裁判に発展する可能性がある場合は、迷わず弁護士に相談しましょう。こうした行動内容をあらかじめ決めておくことが、トラブルによる被害を最小限に抑えるコツです。

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