当て逃げはすぐに警察へ。法的な責任と賠償金を弁護士が解説!

監修者ベストロイヤーズ法律事務所

弁護士 大隅愛友

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当て逃げはすぐに警察へ。法的な責任と賠償金を弁護士が解説!

当て逃げとは、車の運転中に別の車や物と接触事故を起こしたにもかかわらず、何もせずそのまま立ち去る行為をいいます。 

事故を起こした際には、すぐに車を停止させて怪我人の確認や警察への報告が必要です。

当て逃げは「自分が事故を起こしたことに気づかずに立ち去った」場合も適用されるため、気づかないうちに罪を犯している可能性もあります。 

今回は、当て逃げの定義や課せられる3つの責任、当て逃げをしてしまった場合にとるべき行動をご紹介します。 

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1 当て逃げの定義

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ここでは「当て逃げと判断されるケース」や「警察に報告した際の違反点数」についてご紹介します。

1-1 当て逃げと判断されるケース

当て逃げとは、物損事故を起こしたにもかかわらず、その場から立ち去ることを指します。 物損事故とは、車や自転車などの物が壊れてしまった場合の事故で、人との接触事故は含まれません。 

ただし、飼い主がいる犬や猫などのペットは、法律上「物」として扱われます。 つまり、他人のペットに車で接触して立ち去った場合は、物損事故と判断されるということです。 

当て逃げでよくある事例は、以下のとおりです。 

・駐車場内の車同士の接触

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・道路脇に設置されたガードレールへの接触 

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・電柱への接触

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特に、ガードレールや電柱などへの接触事故は「車同士ではないため交通事故ではない」と、安易に判断する人もいるのではないでしょうか。 そのまま立ち去った場合「当て逃げ」とみなされます。 

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1-2 当て逃げをしたきの違反点数 

当て逃げは、交通違反と同じく違反点数が課せられます。 

当て逃げをした際の違反点数は、下記のとおりです。 

違反項目 

違反点数 

物損事故の場合の危険防止等措置義務違反 

5点 

安全運転義務違反 

2点 

合計で7点もの違反点数が加算され、30日間の免許停止となります。 

ちなみに、物損事故を起こした際は、警察に報告していれば基本的に違反点数は加算されません。 

警察への報告の有無次第で「免許停止というペナルティを受ける」ため、当て逃げのリスクは高いといえるでしょう。 当て逃げとは、物損事故を起こしたにもかかわらず、その場から立ち去ることを指します。 

2 当て逃げによって課せられる3つの責任 

当て逃げによって課せられる3つの責任

当て逃げは、安全運転義務や危険防止等の措置義務を違反した行為です。 

報告事務を怠ったことで、3つの責任を問われます。 

・民事責任 

・刑事責任 

・行政責任 

ここからは、当て逃げによって問われる3つの責任内容について詳しく解説します。 

2-1 法に従って罰を受ける『刑事責任』

刑事責任とは、個人が国に対して負う責任を指し、法律に従って責任内容を問われます。 

主な処罰内容は、以下の3つ。 

・罰金刑 

・懲役刑 

・禁固刑 

当て逃げによって問われる刑事責任は、以下のとおりです。 

危険防止措置義務違反 

1年以下の懲役または10万円以下の罰金 

報告義務違反 

3か月以下の懲役または5万円以下の罰金 

当て逃げで問われる2つの違反内容は、交通違反のように違反切符や反則金での対応ができません。 

なぜなら、当て逃げによる報告義務違反は「重大な交通事故を引き起こす危険を2つ犯しており」軽微な違反対象を逸脱しているため。 

交通事故を起こして逃げるという行為は、窃盗や詐欺、暴行や傷害などの「犯罪行為と同じ処罰を受ける」点を理解しておきましょう。 

2-2 壊したものに対して行う『民事責任』 

民事責任とは、民法が定める損害賠償責任を指します。 事故の内容によって損害賠償責任の対象が異なりますが、主な損害賠償責任の内容は以下のとおりです。

物損:車両の修理費、所持品の買替費用

その他:代車料

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物損事故における損害賠償金は、対物賠償保険などの任意保険に加入していれば保険(車両保険)での対応が可能です。 

しかし、当て逃げをした場合、警察の情報提供に基づく「交通事故証明書が発行されていない」ため保険会社への請求ができません。 

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当て逃げしたことに気づいた場合は、早急に警察へ届け出ましょう。 

2-3 運転免許の停止や取り消しなどの『行政責任』

行政責任とは、事故の内容に応じて免許の停止や、取消といった国や地方自治体からの処分を受けることをいいます。 

当て逃げによる行政責任は、下記のとおりです。 

違反項目 

違反点数 

物損事故の場合の危険防止等措置義務違反 

5点 

安全運転義務違反 

2点 

過去に行政処分を受けた経歴がない場合、合計7点の違反点数となり、30日間の免許停止になります。 

しかし、下記の条件に当てはまる場合は、7点の加点で免許取消となるので注意しましょう。 

過去に違反の累積で免許停止を受けたことがある 

免許停止の経験が2回以上ある 

免許停止や免許取消になれば、運転ができないだけでなく、再度免許を取得する手間が発生します。 

3 当て逃げが見つかる2つのケース

当て逃げが見つかるケース

「当て逃げはバレない」という判断は危険です。 

ここでは、当て逃げが見つかる2つのケースをご紹介します。 

・ドライブレコーダーや防犯カメラの映像 

・被害者や周囲の人物の告発 

順を追って説明します。 

3-1 ドライブレコーダーや防犯カメラの映像

当て逃げに気づいた被害者がドライブレコーダーのデータを確認すれば、事故の瞬間を把握できます。 

ドライブレコーダーで十分な証拠が出なくても、周辺の防犯カメラのデータを組み合わせれば、容易に特定が可能です。ドライブレコーダーの映像は、裁判でも有効に働きます。 

3-2 被害者や周囲の人物の告発

カメラの情報以外にも、事故を見つけた被害者や周囲の人物が車のナンバーを覚えている場合もあります。 

スマートフォンのカメラで撮った写真も、証拠として有効です。 被害者が車のナンバーや車種・ボディカラーの情報を警察に届け出た場合、加害者の特定が可能になります。 

4 当て逃げの時効は3年

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当て逃げによる損害賠償の時効は、3年と定められています。 

注意すべきポイントは、この3年の期間の開始時点は「被害者が当て逃げに気づいた、もしくは加害者を知ったときから」です。完全に損害賠償請求権が消滅するのは、事故発生から20年が経ってからです。

「当て逃げから5年経ってから、警察の連絡によって検挙される」という可能性もあることを十分理解しておきましょう。 

5 当て逃げに気づいた場合にすべき3つの行動 

当て逃げに気づいた場合にすべき3つの行動

当て逃げしたことに気づかずその場を立ち去り、後日、当て逃げの事実に気づいてしまった場合、何をすべきでしょうか。 

ここでは、当て逃げに気づいた場合の正しい行動をご紹介します。 

・弁護士へ相談する 

・警察へ報告する 

・被害者と示談交渉をする 

順を追って説明します。 

5-1 ①弁護士へ相談する 

当て逃げによる処罰内容には、罰金のほかに懲役といった逮捕の対象にもなります。 

警察へ自首をする前に、今後の行動の流れやアドバイスをもらうために弁護士へ相談しましょう。 

弁護士に相談しておけば、被害者との示談交渉や警察への自首もスムーズに進むはずです。

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5-2 ②警察へ報告する 

当て逃げは、被害者が被害届を提出して警察によって検挙される場合と、自首によって解決する場合があります。 

警察によって検挙されれば、事件性の高い事故として処理され、厳しい処罰の対象になるリスクがあります。 

一方で被害者からの被害届が出ておらず、物損事故として処理されている場合は、警察による検挙と比べて穏便に処理される可能性もあります。 

気づいた時点で警察に自首することが、罰則を軽減するよい方法といえるでしょう。 

5-3 ③被害者と示談交渉をする 

警察への報告が済んだ後は、被害者と示談交渉を行います。 

事前に弁護士に相談しておけば弁護士をとおして交渉でき、スムーズに手続きが進められます。 

示談交渉の内容は、民事責任における弁償代相当の示談金の支払いと和解です。 

被害者が警察に被害届を提出し ている場合、示談の和解によって被害届が取り消されるケースもあります。 

あらかじめ弁護士と相談していれば、適切な示談金額の理解や和解するための適切な方法のアドバイスを受けてから、示談に臨めるでしょう。 

6 まとめ:当て逃げに気づいたら速やかに警察へ連絡!

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今回は、加害者の立場になった当て逃げのリスクや処罰内容、当て逃げに気づいた際にとるべき行動をご紹介しました。 

当て逃げは最悪の場合、懲役や免許取り下げなどの高いリスクがある違反行為です。 

「バレないだろう」と放っておけば、警察から逮捕される可能性もありえます。 

気づいた時点で、弁護士への相談や警察への自首を行いましょう。 後から当て逃げに気づき、今後のとるべき行動に困った人はまずは弁護士に相談してみてください。

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