【交通事故】痛くないのに通院・検査してよいの?不正請求を疑われない注意点
監修者ベストロイヤーズ法律事務所
弁護士 大隅愛友
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慰謝料の増額、後遺障害認定のサポートを中心に、死亡事故から後遺障害、休業損害の請求に取り組んでいます。
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交通事故に遭ったとき「痛くないのに通院・検査しに行ってもよいのか…?」といった悩みをもつ方は少なくありません。
しかし、治療費請求や後遺障害認定、慰謝料金額に重要になってくるのが病院への通院です。
そのため、事故後はたとえ痛みがなくても通院する重要性を理解していないと、後から辛い思いをしてしまうかもしれません。
もちろん、保険会社から不正を疑われないために、通院をする際には気をつけておくべきこともあります。本記事では、交通事故後どういった点に注意して通院するべきなのかを解説します。
1 交通事故後に痛くないのに通院する重要性
交通事故後は、症状の有無に関わらず速やかに受診することが大切です。その理由を紹介していきます。
1-1 治療費・慰謝料を受け取るため
交通事故後に通院、検査をしていないと、人身事故ではなく物損事故として処理される可能性があります。
物損事故か人身事故かで請求できる賠償金額は大きく変わってきます。人身事故として治療費や休業損害などを適正額で受け取るためには、事故によって通院した事実が大切です。
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1-2 重大な症状に気づけるため
事故をした直後は、痛みを感じなくても数日経って痛みがでたり、言動や記憶がおかしくなるなど高次脳機能障害の症状が見られたりすることもあります。
「軽い事故だったし大丈夫だろう。」「いちいち病院に行くのは面倒だな。」などと、自己判断をせずにMRIやCTなど画像検査を含めて医師にしっかりと診てもらいましょう。
脳出血や神経損傷などは痛みがすぐにでないこともあり、外見だけでは判断もできません。生死に関わるような重大な損傷を放っておくと大変なことになります。
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1-3 後遺障害認定が受けやすくなるため
症状が完治しない場合は後遺障害の認定を得ることでさらに慰謝料を請求できます。
後遺障害認定を申請する際は、自覚症状よりも医師の診断書が重要です。また、認定されるには受傷直後の検査画像(MRIやCT)が必要になります。医師の診断書をもとに認定するかどうかの判断がされるので、事故後すぐに医師に診てもらっておく必要があります。
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2 交通事故後に通院する際の注意点
通院をする際にはいくつか注意点があります。適切な通院でなければ、適正額の治療費や慰謝料を受け取れないことになる可能性もあります。
2-1 事故後はすぐに通院を開始する
事故後はたとえ痛みがなくてもすぐに病院受診を行い、通院を開始しましょう。
交通事故でよくある「むち打ち」などは、事故直後よりも少し時間が経過してから症状がでてくることもあります。日にちが経ってから通院を開始すると、「事故とは因果関係がない通院」として保険会社から治療費を支払ってもらえない可能性もあります。自己判断せずに、当日か遅くても翌日には病院に行きましょう。
2-2 完治するまで通院する
通院頻度は明確に定められていませんが、完治するまではしっかりと通院するようにしましょう。毎日通院する必要はありませんが、月1回程度の通院だと保険会社から「治療の必要はない。」と判断されるかもしれません。
保険会社は、医師の意見を確認しながら治療費を支払っていきます。医師にはしっかりと症状を伝える等、よくコミュニケーションをとっておきましょう。通院頻度は医師と相談しながら判断しますが、週2~3回程度がよいでしょう。
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2-3 整骨院での治療は整形外科医師の同意を得てから
交通事故後に通院するのは基本的に整形外科です(もしくは脳神経外科)。
近所に整形外科が少ないなどといった理由で、整骨院に通う方もいますが、整骨院に通院する場合は注意が必要です。
治療費請求の裁判になった際、整骨院での治療は本来受けるべき治療として認められない場合があります。整骨院への通院は、通院頻度が多くなりやすく、過剰診療など問題になることも少なくありません。
そのため、整骨院で治療を受けたい場合は整形外科の医師に伝えて、同意を得てから通院するようにしましょう。
3 痛くないのに通院して問題になるケース
下記のようなケースでは、保険会社から保険金の不正請求として疑われ、トラブルになることもあります。
3-1 「むち打ち」など偽って通院している
故意に治療費や慰謝料をもらおうと、何も症状がないのに「むち打ち」などを偽って通院する人がいます。
嘘が発覚した場合、最悪のケースでは、保険金詐欺となります。保険会社は保険金詐欺に対しては非常に対応が厳しいです。詐欺罪で刑事告訴をされたり、支払った治療費の返金を要求されたりする可能性もあるため、嘘の申告はしないようにしましょう。
3-2 必要以上に治療して治療費を請求している
保険会社が支払う治療費は、ケガに対して必要額かつ相当な範囲内です。
しかし、整骨院などに毎日通い、本来は不要な施術をして治療費を請求する人もいます。このようなケースでは、保険会社が治療費の支払いを拒否するリスクがあります。通院の頻度や、施術については整形外科などの医師と相談しながら判断をしましょう。
4 保険会社から不正請求を疑われたら?
相手の保険会社から「事故の状況からもう治療は必要ないはず。」などといって、治療費の不正請求を疑われると、治療費の支払いを打ち切られることがあります。こういった場合、どのように対応すべきか解説します。
4-1 医師に判断に従う
完治や症状固定(これ以上症状の改善が見込めない場合)で治療の継続が不要と判断するのは、相手の保険会社ではなく医師です。
そのため、医師の判断のもと通院している場合は正当な通院として保険会社に治療費を請求できます。保険会社からの要求に応じる義務はありません。通院期間が短くなってしまうと、慰謝料など損害賠償請求額も少なくなる可能性もあるので、保険会社に従って治療を辞めるのはおすすめできません。
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4-2 弁護士に相談をする
保険会社とトラブルになると精神的な負担が大きいです。
治療費の打ち切りなど、相手保険会社に不信感をもったら早めに弁護士に相談するとよいでしょう。弁護士が代わりになって保険会社とやりとりを行ったり、示談金交渉をしてくれたりと精神的負担になる部分をサポートしてくれます。そのため、安心して治療に専念することが可能です。
5 弁護士に依頼するメリット
上述したように弁護士に相談することで、保険会社との交渉を任せられます。自己判断で保険会社とやりとりするよりも専門的知識のある弁護士が対応することで、不利な状況に追い込まれることを防ぎます。
また、慰謝料など損害賠償請求も弁護士基準での請求が可能です。弁護士基準は、裁判基準ともいわれ、自賠責基準や任意保険基準よりも通常高額な基準とされています。裁判基準以外の基準で損害賠償が支払われてしまうと、損をしてしまうかもしれません。
弁護士をつけておくことで、保険会社から足元を見られた金額での賠償を防ぎ、適切な額を請求できます。また、示談がうまくいかずに裁判になった際も心強い味方になってくれるので、適切な額の賠償金を得られる可能性が高まります。
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6 まとめ
交通事故後はたとえ痛くなくても診察するようにしましょう。
日数が経ってから受診をしたり、そもそも受診していなかったりすると、受け取れるべき治療費や損害賠償金を受け取れず、結果的に損をしてしまいます。
通院頻度や、整骨院などへの受診については、医師に相談しながら判断を行い、保険会社からの圧力で治療を勝手に辞めないようにしましょう。
弁護士へ相談することで保険会社との交渉を任せられたり、適切な損害賠償金の請求ができたりします。悩んだら弁護士へ相談することをおすすめします。
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