【弁護士監修】認知症による「資産凍結」を防ぐ方法 ― 家族信託という新しい選択肢 ―

監修者ベストロイヤーズ法律事務所

弁護士 大隅愛友

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「父が認知症になり、銀行口座が凍結されてしまった。介護費用を引き出すこともできない――」

このようなご相談が、近年急増しています。

認知症になると、本人の判断能力が低下するため、法律上「契約ができない状態」と評価されることがあります。その結果、家族であっても、預金の引き出しや不動産の売却など、財産を自由に動かすことができなくなってしまいます。

実際には、

  • 介護施設の費用が払えない
  • 実家の修繕や売却ができない
  • 相続対策が途中で止まる

といった深刻な問題が発生します。

これは決して特別なケースではなく、今後ほとんどの家庭に関係する現実的なリスクです。

 

■ なぜ「資産凍結」が起こるのか

認知症による資産凍結は、次のような流れで発生します。

▼図解:資産凍結のメカニズム

【図解】認知症で「資産が凍結される」までの流れ

元気な状態(本人がすべて管理)
認知症の発症
判断能力の低下
金融機関・不動産会社が取引を停止
家族でも預金・不動産が動かせない
資産凍結(介護費用・売却が停止)

■ 社会背景:誰にでも起こり得る問題

認知症は年々増加しており、将来的には非常に身近な問題となります。

▼認知症の推計(2024年厚労省発表)


年度   患者数  
2020年 約450万人 
2030年 約600万人

■ 解決策① 成年後見制度

従来、この問題に対応する制度として「成年後見制度」があります。

▼特徴

  • 家庭裁判所が関与
  • 後見人が財産を管理
  • 本人保護が最優先

▼メリット・デメリット

【メリット】 ・法的に安定している ・確実に本人保護ができる 【デメリット】 ・柔軟な運用が難しい ・不動産売却に裁判所の許可が必要 ・原則として途中でやめられない ・専門職後見人の場合、月額費用が継続

▼基本構造

委託者(親)=財産を持つ人 受託者(子)=管理する人 受益者(親)=利益を受ける人

 多くの場合、「親の財産を子が管理し、親のために使う」という形になります

■ 図解:家族信託の仕組み

元気なうちに「家族信託契約」を締結
信頼できる家族(子)が財産管理を担当
本人が認知症になっても契約が継続
預金・不動産の管理・売却が可能
介護費用・生活費をスムーズに確保できる

■ 家族信託のメリット

家族信託を活用することで、次のような問題を回避できます。

① 認知症後も資産が止まらない ② 不動産の売却・活用ができる ③ 介護費用の支払いがスムーズ ④ 相続対策と連動できる

■ 成年後見との違い

【比較】家族信託と成年後見制度の違い

項目
家族信託
成年後見
 
開始時期
元気なうち
発症後
柔軟性
高い
低い
不動産売却
自由に可能
裁判所許可
費用
初期費用のみ
継続費用あり

■ 具体的な活用事例

ケース①:実家の売却

認知症後 → 売却不可(契約できない) 家族信託あり → 子が売却可能 → 施設費用に充当

ケース②:賃貸不動産

認知症後 → 管理契約ができない 家族信託あり → 子が管理継続 → 収益維持

ケース③:生活費管理

認知症後 → 口座凍結で支払い不可 家族信託あり → 子が引き出し・支払い可能

■ 注意点(重要)

家族信託は非常に有効な制度ですが、注意点もあります。

・元気なうちにしか契約できない ・設計を誤るとトラブルになる ・税務・相続との連動が必要 ・専門家による設計が不可欠

 特に重要なのは 「契約設計」です。

■ よくある誤解

誤解①

「家族なら自由にお金を動かせる」

 法律上はできません

誤解②

「認知症になってからでも対策できる」

 原則として不可能です

■ Q&A

Q1. 費用はいくらくらい?

30万円〜100万円程度(内容による)です。 後見制度のような継続的な費用は通常ありません。

Q2. 家族に任せて大丈夫?

受託者には法律上の義務があり、監督人を設けることでチェックも可能です。

Q3. どんな人が検討すべき?

  • 不動産を持っている方
  • 将来の介護費用に不安がある方
  • 相続対策を考えている方

Q4. 遺言との違いは?

遺言:死亡後に効力 信託:生前から対応可能

 家族信託は「生前対策」です。

■ まとめ

・認知症になると資産は止まる ・家族でも動かせない ・事前対策しか解決できない

■ 最後に

認知症は、気づいたときには対策が間に合わないことが多い問題です。

「まだ大丈夫」と思っているうちに進行し、 

 いざという時に何もできなくなるケースが非常に多いのが実情です。

■ 無料相談のご案内

当事務所では、家族信託の設計について、

  • あなたのご家庭に必要かどうか
  • どのような設計が最適か
  • 費用や手続きの流れ

を具体的にご案内しております。

■ 最後の一言

家族信託は「元気な今」しかできない対策です。

将来の安心のために、早めの準備をおすすめします。

監修者

ベストロイヤーズ法律事務所

代表弁護士 大隅愛友

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