弁護士による特別縁故者の相談

1 特別縁故者についてよくある悩み

相続人でなくても、被相続人と特別な関係にあった人は特別縁故者として財産分与してもらえることがあります。

しかし、特別縁故者は認められるための厳しい要件があり、財産分与してもらえるまでは長期の手続きが必要です。そのため、下記のような悩みも多いです。

  • 特別縁故者になれるのはどのような場合か。
  • 特別縁故者になりたいけど、どのような手続きが必要か。
  • 特別縁故者になれそうにないが、財産分与してもらえる方法はないのか。

2 特別縁故者とは

特別縁故者制度は、被相続人と特別な関係にあった人(=特別縁故者)が相続人でなくても相続財産を受け取れる制度です。

この制度は、相続発生時に養子や代襲相続人も含めて相続人が存在しない、または全員が相続放棄した際にはじめて利用できる制度です。

「特別縁故者である」と家庭裁判所から認められるには、被相続人との間に親密な関係があったことを証明しなければなりません。

  • 被相続人と生計を同一にしていた者
  • 被相続人の療養看護をした者
  • その他被相続人と特別な縁故があった者

上記が、特別縁故者と認められる要件です(民法第958条の2)。この他にも、被相続人が特別に思いを寄せ、熱心に応援していた団体や法人も特別縁故者として認められた過去の例もあります。

【関連記事】特別縁故者となる要件は?財産分与までの流れを弁護士が徹底解説!

3 特別縁故者への財産分与までの流れ・注意点・ポイント

3-1 財産分与までの流れ

特別縁故者として相続財産を受け取るには、最低10か月以上の期間がかかります。

流れとしては下記です。

  1. 相続人がいないことを確認
  2. 相続財産清算人の選任の申立
  3. 相続財産清算人選任の公告:2か月
  4. 債権者・受遺者申出の公告:2か月
  5. 相続人捜索の公告:6か月
  6. 財産分与の申立

相続財産清算人の申立および財産分与の申立は、被相続人が最後に住んでいた住所を管轄する家庭裁判所で行います。

相続財産清算人は弁護士や司法書士が選ばれやすいです。財産分与の申立によって、家庭裁判所が特別縁故者と認めた場合、財産分与を受けられます。

3-2財産分与までの注意点

特別縁故者として財産分与の申立を行うまでには、上記の流れのなかでさまざまな条件がそろわなければなりません。

戸籍の確認時や相続財産管理人選任の公告期間に、相続人の存在が明らかになった場合、特別縁故者制度は利用できません。また、債権者・受遺者への清算を行っても、なお財産がプラスの状態であることも条件です。

さらに、財産分与の申立は相続人捜索終了後から3か月以内に行う必要があります。

無事に財産分与がされた際は、審判から10か月以内に相続税の申告が必要です。

特別縁故者は被相続人の一親等以外であるため、受け取る額が3000万円以上の場合、税額2割加算のルールが適用になります。

3-3 特別縁故者として認められるためのポイント

複数の手続きとさまざまな条件をそろえ、財産分与の申立までたどり着いたとしても、特別縁故者として認めてもらえるかどうかが大変重要です。

ポイントは、自分が特別縁故者であることを客観的に主張できる証拠を提示できるかです。

たとえば、「被相続人の療養看護をした者」と認めてもらうには、介護費や医療費を負担した領収書や、訪問した際の写真などを提示していく必要があります。

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4 弁護士に依頼するメリット

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特別縁故者として財産分与の主張をしていきたい場合、弁護士に相談することで下記のようなメリットがあります。

  • 客観的な証拠を集めてくれ、特別縁故者として認められるための主張を強めてくれる。結果として、特別縁故者として認められやすくなる。
  • 特別縁故者として認められにくいケースでも、特別縁故者以外の制度を提案してもらえる。「特別寄与料」や「遺言書」などが候補となる。
  • 相続財産清算人の選任や財産分与の申立などの手続きをサポートしてもらえるので、忙しいなかでも期限までに手続きをスムーズにすすめられる。そのため、手続きにかかる負担が大幅に軽減する。

5 費用

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5-1 相続財産管理人の選任費用

収入印紙代:800円

官報公告費用:4000円程度

郵便切手代:数千円(裁判所によって異なります)

予納金:10万円~100万円

※相続財産清算人の予納金には100万円程度かかることがあります。

【関連記事】特別縁故者に対する財産分与|手続きの流れや費用を弁護士が解説!

5-2 財産分与の申立費用

収入印紙:800円

返送用郵便切手:数千円

申立人の住民票または戸籍附票:300円 / 1通

6 特別縁故者についてよくある質問

6-1 いとこは特別縁故者になれるのか?

いとこは法定相続人ではありませんが、特別縁故者にあたるケースはあります。

過去の判例でもいとこが特別縁故者に認められたケースは複数存在します。ただし、特別縁故者と認められるかどうかについて、親族であることが有利にはたらくことはありません。

6-2 相続放棄をした場合は特別縁故者になれるか?

相続放棄をすると最初から相続人とみなされないため、要件・条件が整えば特別縁故者として認められることがあります。相続放棄は一度行うと、取消ができません。この場合

、特別縁故者として名乗り出て、主張が通れば財産分与してもらえますが、税額は高くなる可能性があります。

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