特別縁故者となる要件は?財産分与までの流れを弁護士が徹底解説!

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弁護士 大隅愛友

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特別縁故者となる要件は?財産分与までの流れを弁護士が徹底解説!

亡くなった方の相続人でなくても、同居していたり献身的に介護をしていたりした方は特別縁故者と認められて、財産分与をしてもらえる可能性があります

しかし、特別縁故者となるには民法に定められている要件を満たし、10か月以上の長期間にわたって手続きをしなければなりません。

本記事では、特別縁故者になるための要件や、財産分与を受け取るまでの流れについて解説します。

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1 特別縁故者とは

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特別縁故者制度とは、被相続人と特別な関係にあった人(特別縁故者)に対して、法定相続人でなくても財産分与できる制度です。相続が発生したが、下記のように相続人がいないといったケースが存在します。

  • 身寄り(相続人)がいない
  • 全員が相続放棄をした

ここでいう身寄り(相続人)がいないとは、養子代襲相続人もいないことが必要です。

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反対に、生きてはいるけど行方不明の方がいる場合には、相続人がいないこととは認められません。

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相続人がいる場合でも、全員が相続放棄をした場合、相続人がいないことになります。

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こういった状況では、特別縁故者制度を利用できる可能性があり、特別縁故者と認められた人は財産分与をしてもらえます(民法第958条の3)。

なお、相続人や特別縁故者がいない場合、財産は国庫に帰属されます(民法第959条)。

2 特別縁故者として財産分与を受ける要件

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特別縁故者として財産分与を受けるためには下記3つの条件をすべて満たす必要があります。

  • 被相続人の法定相続人がいない
  • 被相続人の相続財産がプラスであること
  • 自分が特別縁故者として認められている

相続財産には、預貯金や不動産などが含まれますが、被相続人の借金も含まれるため、トータルでプラスになるかマイナスになるかはわかりません。

また、特別縁故者として認められるためには、証拠を提出して家庭裁判所から審判を受ける必要があります。

3 特別縁故者と認められる要件

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特別縁故者として家庭裁判所に認められるためには、被相続人と生前に親密な関係があったことを証明する必要があります。民法第958条の2によると、特別縁故者として認められるのは下記のような要件に当てはまるケースです。

  • 被相続人と生計を同一にしていた者
  • 被相続人の療養看護をした者
  • その他被相続人と特別な縁故があった者

それぞれについて解説します。

3-1 被相続人と生計を同一にしていた者

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被相続人と生活を共にしていた場合がこの要件に該当します。

典型的な例としては、内縁の妻や夫などです。ただし、公序良俗に反するような場合は特別縁故者として認められないこともあります。また、同居をしていなくても、生活費を継続的に支援していたなどのケースも該当することがあります。

3-2 被相続人の療養看護をした者

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被相続人が病気になったときや介護が必要になったときに、相続人ではない者が献身的に生活面をサポートした場合がこの要件に該当します。

たとえば、義父が入院をした際に、入院のための手続きを手伝ったり、入院生活に必要なものを届けたりしたケースなどが当てはまります。

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3-3 その他被相続人と特別な縁故があった者

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被相続人と生計を同じくしたり、被相続人の療養看護に努めたりしたわけではないが、これらと同様の親密な関係性が被相続人との間にあったと認められ、特別縁故者となることもあります。

たとえば、生前に被相続人のもとを度々訪れて精神面や生活面を支えた人や、無効になった遺言書のなかで受遺者として名前があがった人は、このケースとして認められることがあるのです。

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また、被相続人が特別な思い入れをもって熱心に応援していたり援助をしたりした人や団体も、この要件に該当することがあります。法人や公共団体が特別縁故者となったケースも過去にはあります。

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4 特別縁故者として相続財産を受け取るまで

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特別縁故者として相続財産分与を受けるための流れは下記です。

  1. 相続人が存在しないことの確認
  2. 相続財産管理人選任の申立
  3. 債権・受遺者申出の公告
  4. 相続人捜索の公告
  5. 財産分与の申立

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特別縁故者として実際に財産分与をしてもらえるまでは、少なくとも10か月以上の長い期間を経なければなりません。それぞれの段階について解説します。

4-1 相続人が存在しないことの確認

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被相続人の戸籍などから相続人がいるかどうかを確認します。もし、相続人がいれば特別縁故者として財産分与をしてもらうことはできません。

4-2 相続財産清算人(旧 相続財産管理人)選任の申立て

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特別縁故者として財産分与を受けるには、相続財産清算人(旧 相続財産管理人)選任の申立をする必要があります。

相続財産管理人とは、相続人がいるかどうか不明なときに、被相続人の財産の管理を行う人です。一般的には弁護士や司法書士が選任されます。管理内容は、相続人に代わって債権者や受遺者に対して財産から清算を行い、残った財産を国庫に帰属させることです。

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相続財産管理人選任の申立を行う場所は、被相続人が最後に住んでいた住所を管轄する家庭裁判所です。この申立が通れば、相続財産管理人選任が公告され、2か月以内に相続人が現れなければ、債権者・受遺者申出の公告を行います。

ただし、相続財産管理人の選任には予納金が必要になることもあり、100万円程度かかることもあります。

4-3 債権・受遺者申出の公告

相続財産管理人は2か月の期間、債権者や受遺者申出の公告を行います。

債権者とは、被相続人にお金を貸していた人のことであり、受遺者は遺言書などによって財産を受け取れる人です。債権者や受遺者に対しては、相続財産管理人が清算を行います。当然ですが、財産よりも借金額が大きかった場合は、特別縁故者に対する財産分与はありません。公告期間2か月を過ぎると相続人捜索の公告が行われます。

4-4 相続人捜索の公告

相続人捜索の公告は6か月間行われ、この期間に相続人が現れなければ相続人の不在が確定します。この期間を過ぎれば、相続人や債権者が後から現れたとしても彼らは被相続人の財産に手をつけられません。

4-5 財産分与の申立

相続人がおらず、財産もプラスであることが確定した段階で特別縁故者として財産分与の申立を行えます。

申立は相続財産管理人の選任と同様に、被相続人が最後に住んでいた住所を管轄する家庭裁判所で行います。ただし、特別縁故者に対する財産分与の申立を行えるのは、6か月間の相続人捜索の期間終了後から3か月以内と定められています。

(必要書類)

  • 申立書
  • 申立人の住民票もしくは戸籍附票
  • 目録(相続財産の種類によって名目は変わる)

状況に応じて必要書類は追加されます。特別縁故者として申立をする場合は、自身が特別縁故者に該当する客観的な証拠を提出しなければなりません。

提出資料をもとに、家庭裁判所が特別縁故者に該当するかを審判します。特別縁故者と認められれば、財産の一部もしくは全部が与えられ、認められなければ財産は国庫に帰属します。

5 特別縁故者に対する財産分与の際の相続税

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特別縁故者として財産分与を受けることになったら、相続税の申告義務が発生します。

申告には期限が定められており、財産分与の審判から10か月以内に行わなければなりません。もし、期限を過ぎてしまうと、延滞税がかかり税金を余分に支払う必要があります。そのため、相続税申告の手続きはスムーズに行わなければなりません。

なお、受け取る金額が3千万円を超えた場合は、税額は通常の2割加算ルールが適用されます。

6 特別縁故者の手続きを弁護士に依頼するメリット

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これまで解説してきたように、特別縁故者として認められるには要件を満たしたうえで、煩雑で長い手続きを経る必要があります。さらに、手続きの途中で相続人が現れるなど、想定外のことが起きて財産分与がされないこともあります。

特別縁故者の申立については、弁護士に依頼することで下記のようなメリットがあります

6-1 特別縁故者として主張するサポートを受けられる

自分が特別縁故者として主張をするためには、客観的に該当性を証明する必要があることを解説しましたが、専門的な知識なく行うのは非常に難しいです。

どういった要件で特別縁故者に該当するのか、どういった証拠をもって主張をしていくのか、専門的知識のある弁護士からアドバイスを受けながら準備をすすめることで、特別縁故者として認められる可能性が高まります。

6-2 申立等の手続きをサポートしてもらえる

特別縁故者として申立をするには、上述したようにまずは相続財産管理人の選任申立からはじめるなど、複雑で難易度が高いです。また、財産分与の申立や相続税申告までには厳守しなければならない期限もあります。弁護士が書類作成のサポートを行うことで、手続きの負担が減りスピードも速まるので、安心して申立や申告の準備にあたれます。

6-3 特別縁故者以外の制度をアドバイスしてもらえる

相続人の不在が明らかだったとしても、家庭裁判所から特別縁故者と認められなかったといったケースは多々あります。また、相続人が現れてしまった時点で特別縁故者制度は利用できなくなります。そういった場合でも、別の制度を利用できることがあります。

たとえば、令和元年に制定された「特別寄与料」という制度は、被相続人の療養看護を無償で努めた人に対して貢献具合に応じた寄与料を受け取れる制度です。これは、相続人がいたとしても、請求を行えます。

他にも、生前であれば遺言書を書いてもらうといった方法もあるでしょう。このように、専門的知識のある弁護士であれば特別縁故者以外の制度も視野に入れ、状況にあったアドバイスが可能です。

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7 まとめ |特別縁故者の申し立ては弁護士へ相談

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特別縁故者制度は、相続が発生した際に相続人がおらず財産がプラスの状態で、特別縁故者として家庭裁判所から認められてはじめて利用できる財産分与の制度です。

しかし、特別縁故者として財産分与をしてもらうためには、相続財産管理人の選定をしたり、債権者や相続人を探すための公告を出したりなど、煩雑な手続きと長い月日がかかります。はじめてのこととなると手続きはわからないことだらけです。

特別縁故者として財産分与を主張していきたい際は弁護士に依頼することで、特別縁故者としての要件を客観的に証明するためのアドバイスをもらえたり、手続きをサポートしてもらえたりします。

また、特別縁故者以外の制度が使える可能性もあるので、お困りの際は一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。

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