失踪宣告とは?行方不明者の相続・相続人が失踪者|必要手続きを解説

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失踪宣告とは?行方不明者の相続・相続人が失踪者|必要手続きを解説

生死のわからない失踪者をいつまでも行方不明としておくと、相続などの手続きができません。

そこで各種手続きに進むために活用できるのが、失踪者を亡くなったこととする失踪宣告」制度です。

似たものに「認定死亡」があげられますが、対象となるケースや認定機関が異なります。

▼この記事でお伝えすること

・「失踪宣言」とは?

・「認定死亡」との違いとは?

・失踪者が被相続人であるケースの対処法

・失踪者が相続人であるケースの対処法

・失踪宣言の手続き方法

この記事では、失踪宣言がどのような場面で活用できるのかから、ケースごとの対処法、失踪宣言をする際のステップまで、詳しく解説します。

1 不在者の生死がわからない!失踪宣告とは?

不在者の生死がわからない!失踪宣告とは?

失踪宣言」とは、行方不明者を死亡したものとしてみなすことです。

行方不明者が死亡したものとみなされると、相続が開始されるほか、行方不明者が婚姻していた場合には解消となるなど、利害関係人にとって失踪宣言が認められるためには、一定の条件を満たしていなくてはいけません。

条件とは主に、下記の通りです。

・行方不明者の生死が不明なこと

・生死が不明になってから一定期間が経過していること

行方不明者の死亡が明確ではない場合に死亡したものとみなすことはできない一方、生きていることも証明できない場合にするのが「失踪宣言」です。

失踪宣言には、下記の2種類が存在します。

普通失踪

特別失踪

それぞれの特徴を解説します。

1-1 普通失踪とは?

通常時の失踪は「普通失踪」と呼ばれ、失踪期間が7年間を満了すると「失踪宣言」が認められます。

行方不明者の生存が最後に確認された日を起算点とし、7年経過したときに死亡したものとみなされるのが原則です。

たとえば、2020年の1月ごろの目撃を最後に失踪した場合、2027年の1月ごろを死亡日としてみなされるため、相続などの手続きが開始されます。

1-2 特別失踪とは?

行方不明者の失踪理由が、戦争や事故、震災などの死亡原因となりうる危難に遭遇していた場合には、危難が去って1年間で失踪宣言が認められます。

なお、特別失踪の場合には普通失踪とは異なり、死亡日は失踪したとされる危難が去った日です。

たとえば、2020年の1月に飛行機が墜落し行方不明となった場合には、特別失踪が認められるのは2021年1月ごろである一方、死亡日は2020年1月とされます。

1-3  「失踪宣言」と「認定死亡」の違いとは?

「失踪宣言」と似ているものとして、「認定死亡」という制度があげられることがあります。

失踪宣言と認定死亡の対象となるケースや認定機関は異なり、まとめると下記となります。

▼失踪宣言(認定機関:家庭裁判所)

・理由を問わず生死不明な失踪状態のとき

・危難により死亡の可能性が高いとき

▼認定死亡(認定機関:官公庁)

・死亡したことがほぼ確実なとき

たとえば、震災や火災が起きて死体が見つからないものの、ほとんど確実に死亡しているとされるときに、戸籍上「死亡した」として扱うのが認定死亡です。

失踪宣言の手続きには時間と労力がかかります。

生きている可能性がほとんどないと考えられる原因がある場合には、官公庁へ連絡し認定死亡を受けるべきか相談してみましょう。

2 【失踪宣言】行方不明者の相続はどうする?

失踪宣告と行方不明者

失踪宣言が確定することで、行方不明者は「死亡したもの」とされます。

行方不明者が被相続人の場合には、一般的な相続と変わらない方法でおこなわれます。

ただし、失踪宣言が確定するのは失踪してから原則7年後となるため、7年の間に失踪者が相続人になるケースも珍しくありません。

誰がどう相続財産を受け取るかを協議する「遺産分割協議」をおこなうためには、相続人全員が参加する必要があります。

しかし相続人の中に行方不明者がいる場合、遺産分割協議をすることはできません。まずは行方不明者の住所を特定し、連絡を試みることから始める必要があるでしょう。

【関連記事】相続人が行方不明で連絡が取れない!相続が進まないときの対処法とは?

最終手段としては「不在者財産管理人選任の申立」を、家庭裁判所に申し立てなくてはいけません。

【関連記事】不在者財産管理人とは?音信不通の相続人がいるときの遺産分割協議を解説

選任された不在者財産管理人が不在者の代理として、遺産分割協議に参加するのが原則です。

2-1【失踪宣言】相続人に失踪者がいる場合の注意点

相続人の中に生存不明の失踪者がいる場合には、下記によって相続に必要な手続きが変わるため、少々複雑化します。

・失踪者の子供の有無

・法律上の死亡日

・相続の発生している順番

「失踪宣言」が確定するタイミングや、相続の発生順、失踪者の家族構成すべてを考慮した上で、必要な手続きを進める必要があります。

失踪者に養子縁組代襲相続が発生している場合には、それらの事情も考慮する必要があります。

【関連記事】養子縁組の相続|メリット・デメリットを弁護士が徹底解説!

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相続が親子の話し合いだけでまとまらない場合には、必要書類を含め協議が複雑化することが多いです。その場合、家庭裁判所の遺産分割調停遺産分割審判が必要になります。

【関連記事】遺産分割調停に必要な費用とは?相場・手続き方法を解説

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このような場合には、必要に応じて、弁護士などの専門家へ依頼を検討することをおすすめします。

3 失踪宣言の手続きの必要書類と費用を紹介

失踪宣告の手続きの必要書類と費用

失踪宣言の手続きに必要な書類と費用は、下記の通りです。

・申立書(裁判所指定)

・申立人の戸籍謄本(全部事項証明書):450円前後

・不在者の戸籍謄本(全部事項証明書):450円前後

・不在者の戸籍附票:450円前後

・失踪を証明する資料

・収入印紙:800円

・連絡用の郵便切手:5,000円前後

・官報広告料:5,000円前後(催告3,053円・失踪宣告1,763円)

郵便切手代の組み合わせは裁判所によって異なります。

また、場合によっては追加書類が求められることもあるので、各自裁判所に確認してください。

3-1 失踪宣言の申し立てができるのは誰?

生死が不明な場合に失踪宣言をすることができるため、失踪した本人は失踪宣言を申し立てすることはできません。

さらに、申し立てができるのは、法律上の「利害関係のある人」だけです。

▼利害関係者の例

・配偶者

・推定相続人

・財産管理人

・受遺者

つまり友人や債権者、検察官の場合には、失踪宣言の申し立てはできません。

基本的には、失踪者の親族が失踪宣言を申し立てるものだと思っておきましょう。

4 失踪宣言の手続き方法をステップで解説!

失踪宣告の手続き方法をステップで解説

失踪宣言は、失踪者の住所を管轄する家庭裁判所へ申し立てをします。

失踪宣言の申し立てをする場合の流れは、下記の通りです。

①家庭裁判所に申し立てる

②家庭裁判所による調査開始

③家庭裁判所が公示催告

④家庭裁判所による審判

⑤失踪届の提出

失踪宣言の手続きに必要なステップを、詳しく解説します。

4-1 家庭裁判所に申し立てる

利害関係者は、失踪者が最後に居住地としていた地域を管轄している家庭裁判所へ、失踪宣言を申し立てます。

必要書類を揃え、申立書には印紙を貼り付けて裁判所に提出しましょう。

裁判所から連絡があったら、官報公告料を納めます。

4-2 家庭裁判所による調査開始

失踪宣告の申立てを受けた家庭裁判所は、家族をはじめ親族に調査をおこないます。

失踪者が本当に生死不明なのかを確認するため、独自の調査をおこなっています。

4-3 家庭裁判所が公示催告

調査が終わると、官報や裁判所の掲示板に失踪宣言がされている旨を公示します。

行方不明者に対して生存している場合、あるいは行方不明者の生存を知っている場合には届出をするよう、普通失踪で3ヶ月以上・特別失踪で1ヶ月以上の勧告がされます。

4-4 家庭裁判所による審判

公示催告の後にも特別に届出がない場合には、失踪宣言の審判が行われます。

審判が終わり失踪宣言が認められると、裁判所から審判書謄本等が送られてきます。

4-5 失踪届の提出

審判で失踪宣言が認められても、失踪者の戸籍が自動的に変わるわけではありません。

10日以内に申立人の住所地のある市町村役場、あるいは行方不明者の本籍地に届出をする必要があります。

・審判書謄本

・確定証明書

・印鑑

上記を持参して、戸籍の変更届を提出します。

受理されると、失踪者が戸籍から除籍されます。

5 失踪宣言後に行方不明者が現れたらどうなる?

失踪宣告後に不明者が現れたらどうなる

失踪宣言後に行方不明者が現れた場合には、家庭裁判所に報告をすることで死亡取消が認められます。

なお、失踪宣言の手続きが完了している場合には、失踪者が生存していることを知らなかった場合に限り、失踪宣言後の行動に影響力を及ぼすことはできません。

たとえば失踪者の配偶者が再婚をしていたとき、失踪宣言の取り消しがあっても再婚は有効です。

しかし「相続」は、死亡した場合に発生するものであることから、生きている人に対して起きた相続手続きに効力はありません。詳しく解説します。

5-1 失踪宣言で受け取った相続財産はどうなる?

失踪宣言後に相続が発生していた場合、失踪宣言が取り消されることで「死亡していない」ことになり、相続は開始しなかったとみなされます

相続関係人が相続によって得た財産は、失踪していた人へ返還しなくてはいけません。

なお、返還義務があるのは「現存利益」ぶんだけ、言い換えると「現に利益を受けている限度において」返還すれば良いことになっています。

つまり、相続人が旅行などで消費したぶんや、浪費したぶんについては返還義務はないとされることも。

一方で、相続財産を生活費やローンに充てていた場合のほかに、相続財産を売って利益を出していた場合には、財産を返還する必要があります。

✔️第三者が関わる場合は?

ただし失踪宣言による第三者への売買があった相続財産は、相続人と第三者どちらも行方不明者の生存を知らなかった場合にかぎり、取引は有効です。

返還義務や取引の有効性については本人同士で解決できないことも多いため、弁護士などの専門家に相談することも検討してみてください。

6 【まとめ】失踪宣言のタイミングにより相続手段は異なる

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失踪宣言が確定することで、相続が開始されるとお伝えしました。

なお、相続人になるということは借金も相続してしまうことになるため、相続内容も確認してから相続手続きをすることをおすすめします。

配偶者が失踪し音沙汰がない場合など、資産をいつまでも放っておくことができないときには、失踪宣言などの方法で死亡として扱った方が良いケースもあるでしょう。

必要な調査をほどこして、どうしても失踪人の生死が確認できない場合には、失踪宣言の申し立てを検討してみてください。

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