遺産分割調停に必要な費用とは?相場・手続き方法を解説

監修者ベストロイヤーズ法律事務所

弁護士 大隅愛友

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遺産分割調停に必要な費用とは?相場・手続き方法を解説

遺産分割のためにおこなう「遺産分割協議」で話の決着がつかないとき、代わりの手段となるのが家庭裁判所での「遺産分割調停」です。

当事者どうしで話がまとまらないのであれば、遺産分割調停に頼ることも検討するべきでしょう。

では遺産分割調停をする場合に必要な費用は、どれほどになるのでしょうか?

結論、遺産分割調停の申立て自体にかかる費用は2万円前後ですが、弁護士など専門家へ依頼をする場合には+数十万円〜となることが多いです。

今回は、遺産分割調停にかかる費用や期間、手続きの手順を詳しくお伝えします。

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1 遺産分割調停の費用の内訳

遺産分割調停の費用の内訳.jpg

遺産分割調停をする場合にかかる費用項目は、主に下記の6点です。

内訳と費用、原則的に支払うべき人を表にまとめます。

遺産分割調停の費用内訳

費用

支払う人

①調停申立費用

1,200円

調停を申し立てた人

②郵便切手費用

数千円〜1万円

調停を申し立てた人

③必要書類の収集費用

数千円〜1万円

調停を申し立てた人

④不動産鑑定費用

20〜60万円

依頼人(ただし、最終的には当事者全員で按分が多い)

⑤交通費

実費

相続人それぞれ

⑥弁護士依頼費用

50万円~数百万円

依頼人

支払う人に関しては原則であり、他の人が支払いをしても問題はありません。

遺産分割調停の必要費用を内訳ごとに解説します。

1-1 遺産分割調停の内訳:調停申立費用

遺産分割調停を起こすためには、手数料(印紙代)として1,200円を納める必要があります。

手数料の支払いかたは「収入印紙」と決められており、現金ではありません。収入印紙は法務局やコンビニ、郵便局、市区町村役場で購入可能です。

収入印紙を購入したら、調停申立書の印紙貼付欄にはりつけて納付します。

1-2 遺産分割調停の内訳:郵便切手費用

調停申立時には、郵便切手(予納郵券)も一緒に納める必要があります。

郵便切手は、裁判所が当事者である申立人や相手方に郵便物を送付するときに使われるものです。

必要と予想されるだけの郵便切手をあらかじめ提出することで、予納しなくてはいけません。郵便切手にかかる費用は、当事者人数や家庭裁判所によって異なるため、事前に裁判所に問い合わせをしておきます。だいたい数千円になることが多く、予算としては1万円以内と考えておけば足りることが多いです。

調停終了にあたり郵便切手が余った場合には返却され、反対に不足した場合には追加で納付しなくてはいけなくなります。

1-3 遺産分割調停の内訳:必要書類の収集費用

遺産分割調停の申立時には、必要とされる書類が複数あります。

取得が必要な書類の種類と費用は、下記のとおりです。

書類

取得費用

対象となるケース・取り寄せ先

亡くなった方の戸籍謄本・除籍・改製原戸籍(出生から死亡まで)

▼戸籍謄本
450円(通)

▼除籍・改製原戸籍謄本
750円(通)

全てのケース・市役所

相続人全員の戸籍謄本

450円(通)

全てのケース・市役所

相続人全員の住民票

200〜400円(通)

全てのケース・市役所

残高証明

300〜1,000円(通)

遺産に預貯金がある場合・銀行

不動産登記事項証明書

480〜600円(通)

遺産に不動産がある場合・法務局

固定資産税評価証明書

200〜400円(通)

遺産に不動産がある場場合・市役所

上記を窓口ではなく郵送で受け取る場合には、別途郵送料もかかります。必要となる書類はケースによっても異なるので、各自裁判所のホームページなどで確認をしてください。

必要書類の数は、相続人の数が多い場合や、亡くなった方の転籍回数が多いと増えるため、費用もかさむ傾向があります。

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とはいえほとんどの場合に1万円内におさまるはずです。

1-4 遺産分割調停の内訳:不動産鑑定費用

遺産に不動産が含まれ評価額でトラブルになっている場合には、不動産鑑定士に依頼をして不動産鑑定費用を払うことになるでしょう。

不動産鑑定士の依頼費用は50万円〜100万円が相場で、不動産の状況によって費用が変わります。

なお、不動産の評価額について当事者間で合意すれば、かならずしも不動産鑑定士に不動産鑑定を依頼する必要はありません。

しかし、当事者の一方が高額、もう一方が定額で評価を求める場合などには、不動産鑑定士への鑑定を依頼することで解決をすることが多いです。

依頼方法は大きく3通りで、下記のとおりです。

・当事者の双方の合同で依頼をする
・一方が単独依頼をする
・裁判所に依頼をする

裁判所が鑑定をすすめることで、鑑定士を通すことになるケースもあります。

両者が納得できない場合には裁判所が選任する不動産鑑定士に依頼することになります。

1-5 遺産分割調停の内訳:交通費

裁判所までの交通費は、裁判所が遠いほどかさみます。

遺産分割調停の申し立ては基本的に、相手方の相続人の住所地にある家庭裁判所へおこなうものです。

つまり、相手方が自分と離れた場所に住んでいるほど、話し合いのために自分が遠方に出向くための交通費がかかります。

遺産分割調停は多くの場合に3回以下の話し合いとなりますが、場合によってはそれ以上の回数になることも。

調停のたびに長旅になってしまうと、費用は膨らんでしまいます。

なお、相手方が合意をしてくれる場合には、お互いの中間地点にある家庭裁判所で調停を申し立てることも可能です。

1-6 遺産分割調停の内訳:弁護士費用

遺産分割調停は、個人で完結させることもできます。

しかし、弁護士に依頼をすることで調停の準備から代弁まで任せることができるため、強い味方となるでしょう。

弁護士の依頼費用は弁護士事務所によって設定されており、多くの場合に下記のような項目で必要費用がわかれています。

弁護士費用

報酬額

支払いの時期

主な費用設定

着手金

22〜110万円

契約時

事務所ごとに固定、あるいは対象となる遺産の額によって調節されることあり

報酬金

依頼主が取得した遺産の4.4〜22%

終結時

申立の終結時に取得することになった遺産額のうち、事務所指定の割合になることが多い

相談料

1万1000円前後(1時間あたり)

正式な依頼前の相談時

正式な依頼をする前の相談料であり、初回無料のこともある

上記に加え、実費として印紙代など、調停にあたり必要最低限の費用も弁護士に支払います。

弁護士費用は大きくなるため、すぐに支払いができない場合には分割払いに対応してくれる弁護士事務所を探してみてください。

また、見積もりを明確に出してくれる事務所を選ぶことで、後から高額の請求に驚くことがなくなります。

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2 遺産分割調停に弁護士は必要?メリット・デメリットを解説

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遺産分割調停は弁護士に依頼せず、すべて当事者だけで終結させることも可能です。では、弁護士に依頼をするメリットとデメリットは何でしょうか?

▼遺産分割調停を弁護士に依頼するメリット
①手続き代行で調停申立てが楽になる
②主張の代弁を任せられる
③相手との言い合いを避けられる

つまり、遺産分割調停を弁護士に依頼することで、手続きにあたる時間と精神的なストレスが軽減されます。

一方で遺産分割調停を弁護士に依頼するデメリットは、お金がかかることです。

すべて自分でおこなえば丸々節約できる弁護士依頼にあたる費用は、残念ながら少額ではありません。

しかし、当事者同士で話が進まずストレスを抱えたり、時効を迎え遺産を断念することになるよりは、弁護士に依頼をして時間と精神的負担の軽減を検討すべきケースもあるでしょう。

下記では、遺産分割調停を弁護士に依頼するメリットを少し具体的にご紹介します。

2-1 手続き代行で調停申立てが楽になる・調停手続きのサポートを受けられる

遺産分割調停の申し立てをするには、必要書類を集める準備から始めなくてはいけません。

たとえば亡くなったかたの戸籍謄本や相続人全員の住民票を集める作業や、申立書に印紙を貼って郵送するなどの作業を、日頃からおこなっている人は珍しいはず。

慣れない作業をするためにかかる、時間の負担は大きいでしょう。相続人が行方不明の場合、相続調人の調査や戸籍の取集も大変な手間となります。

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遺産分割調停に必要な書類は、弁護士が代理で集め、手続きすることが可能です。弁護士に依頼をすることで、仕事の合間をぬって手続きを進める労力を節約できます。

また、調停での振る舞いやポイントを弁護士からアドバイスを受けることができます。

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2-2 主張の代弁を任せられる

調停で行う主張は、感情に訴えかけるだけでなく第三者が聞いても納得できる論理性が求められます。

さらに法律上で問題がない範囲で、自分の理想に近づよう話を進めなくてはいけません。

弁護士に代弁を任せることで、冷静に正しく、法的根拠を持った主張をすることが可能です。特に、寄与分特別受益などの特別な制度の利用を主張する場合には、弁護士へ依頼することが望ましいです。

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2-3 相手との言い合いを避けられる

相手方と言い合いになり、話が複雑化してしまったというケースであれば、顔をあわせるたびに大きなストレスを抱えているはずです。

弁護士に代弁を任せることで、無駄な話し合いを避けつつ、自分に有利な主張をしてもらいやすくなります

話し合いのプロである弁護士による正しい主張があることで、相手方や調停委員を納得させることができるでしょう。

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特に、当事者間では話にならないような場合や、理不尽な主張を堂々とする相手方に気が滅入りそうになった当事者にとって、弁護士は大きな味方となるはずです。

また、話し合いで決着がつかなかった(調停不調)の場合、引き続き、審判手続きでも対応してもらえます。

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3 まとめ:遺産分割調停の費用は遺産やプロへの依頼内容で異なる

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遺産分割調停の費用は、遺産の内容やプロへの依頼有無によって大きく異なります。

無料の法律相談を利用して、調停の見通しや費用について助言を受けてみましょう。

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