相続放棄の期間経過後は弁護士へ相談|特別な事情の上申書がポイント

監修者ベストロイヤーズ法律事務所

弁護士 大隅愛友

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相続放棄の期間経過後は弁護士へ相談|特別な事情の上申書がポイント

この記事でわかること

  • 期間経過後の相続放棄とは?
  • 期間経過後の相続放棄は認められないのが原則
  • 期間経過後に例外的に相続放棄を認めた判例
  • 3か月経過後の相続放棄の起算点は立場や事情によって異なります
  • 期間経過後の相続放棄は弁護士へ相談・依頼することがお勧め

相続放棄の手続きは民法の規定により、一定の期限が設けられています。

期限を過ぎると原則として相続放棄を受理してもらえなくなりますが、特別な事情があれば期限が過ぎた後も手続きを認めてもらえる場合があります。

相続放棄の手続きに期限があることを知らなかった、あるいは何らかの事情で間に合わなかった場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

今回は、相続放棄の期間経過後に対する基礎知識と過去の判例、期間経過後に相続放棄が認められる特別な事情、弁護士に依頼するメリットについて解説します。

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1 相続放棄の期間経過後とは

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まずは相続放棄の期間経過に関する基礎知識について説明します。制度の中身や根拠条文、なぜこのような制度が設けられているのかを解説します。

1-1 相続放棄の熟慮期間とは

民法第915条の1項では、相続人は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、単純もしくは限定の承認または放棄をしなければならないと定めています。[注1]

この3カ月の期間を熟慮期間といい、文字通り、財産を相続するか放棄するかをよく考える期間となっています。

[注1]e-Gov法令検索「民法」

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

1-2 相続放棄の期間はいつから計算するのか

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相続放棄の熟慮期間の開始日は、前述の通り「自己のために相続の開始があったことを知った時」です。

しかし、ここで言う「知った時」の解釈は、大きく分けて2つあります。

まず1つ目は、相続開始の原因となる被相続人が死亡した事実を知った時です。

被相続人が親や祖父母だった場合、被相続人が亡くなったことを知るのは死亡当日であるケースが多いため、被相続人が死亡した日=熟慮期間の始期となる場合がほとんどです。

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2つ目は、自身が法律上の相続人であることを知った時です。

たとえば実の父が死亡したが、その子は養父母のもとで育てられていて、死亡当時は養父の実子であると思い込んでいた場合、後に実の父がいたことを知ったタイミングが熟慮期間の始期となります。

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また、別のパターンとして、もとの相続人が相続放棄し、自分が相続人になったことを知った時も挙げられます。

配偶者以外の相続人には優先順位があり、まず第1順位が子、第2順位が親、第3順位が兄弟姉妹となります。

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第1順位の子が相続放棄し、かつ孫などもいない場合は第2順位である親に相続権が引き継がれますが、その引き継ぎのタイミングを新たな相続人本人が知った段階が熟慮期間の始期となります。

1-3 相続放棄の熟慮期間を経過すると原則として相続放棄が認められない

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熟慮期間の始期から3か月が経過してしまうと、故人の財産を無条件で全て相続する「単純承認」となります。

単純承認扱いになると、借金や債務といった負の財産も含むすべてを相続することになってしまいます。

熟慮期間3カ月は民法で定められたルールであり、期限を過ぎると原則として相続放棄が認められなくなりますので要注意です。

2 3カ月の熟慮期間経過後に相続放棄を認めた判例

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熟慮期間経過後は原則として相続放棄は認められないと説明しましたが、過去には例外として相続放棄を認めた判例もあります。

その最たる例として挙げられるのが、昭和59年4月27日最高裁判決(判例タイムズ528号81頁、判例時報1116号29頁 )です。

このケースでは、被相続人が相続人について、相続財産が全くないと信じており、熟慮期間中に相続放棄の手続きを行いませんでした。

しかし、実際には被相続人に連帯保証債務があり、相続人が債務を履行しなければならない事態に陥りました。

裁判では、相続人が被相続人と長らく没交渉であり、相続人に連帯保証債務があることを知る術がなかったとみなされ、熟慮期間が過ぎた後でも相続放棄を認める判決を言い渡しました。

この判例の焦点は、相続人が被相続人の財産の全部または一部の存在を認識できる状態にあったかどうかです。

自分が相続人であることを理解していても、相続するか放棄するかの基準となる被相続人の遺産について知る機会がなければ、熟慮期間を経過した後でも相続放棄が認められる場合があります。

3 3か月の期間経過後に相続放棄が認められる特別な事情

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3か月の熟慮期間経過後に相続放棄が認められるには、以下3つすべての要件を満たす必要があります。

  • 被相続人に相続財産が全くないと信じたこと
  • 相続人に対し相続財産の有無を調査することが著しく困難な事情があること
  • 被相続人に対し相続財産が全く存在しないと信じたことについて相当な理由があること

前項でご紹介した判例では、相続人は被相続人と長らく没交渉にあり、財産状況を含む近況を知る術がありませんでした。

さらに、相続人が連帯保証債務を締結したのは、被相続人と没交渉になってから約10年と長い月日が経過した後でした。

相続人が死亡する前、被相続人は何度か相続人の見舞いに行きましたが、その間、本人から試算や負債についての説明を受けたことがなく、連帯保証債務を負っており、かつその債務の履行を求める判決が言い渡されていることも教えられませんでした。

以上の事情を鑑みた結果、上記に挙げる1~3の条件にすべて該当するとみなされ、熟慮期間経過後の相続放棄が認められたわけです。

単純に、被相続人に相続財産が全くないと思い込み、財産の調査も行わなかったというだけでは、熟慮期間経過後に相続放棄が認められるに足る特別な事情があったとはみなされませんので注意が必要です。

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4 特別な事情がある場合の相続放棄の熟慮期間の起算点

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特別な事情があると認められた場合の相続放棄の熟慮期間の起算点は、被相続人が相続人の財産の全部または一部を認識したタイミングとなります。

たとえば前項で紹介した例では、相続人が負ってた連帯保証債務について、被相続人が通知を受けた時です。

この時点で相続人が被相続人の死亡=自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月が過ぎていたとしても、まだ熟慮期間は始まっていないとみなされるため、相続放棄が認められる可能性があります。

5 期間経過後の相続放棄は弁護士へ相談

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相続にまつわる諸手続きは、被相続人本人が行うことも可能です。

しかし、専門知識を持つ弁護士に依頼した方が、以下のようなメリットを期待できます。

5-1 熟慮期間経過後の相談へも対応可能(特別な事情の上申書の作成)

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熟慮期間中の相続放棄であれば、裁判所のホームページで公開されている書式記載例にならい、相続放棄の申述書や標準的な申立添付書類(被相続人の住民票除票など)を添えて家庭裁判所に提出するだけで手続きは完了します。

しかし、熟慮期間経過後に関しては、特別な事情があったことを説明する上申書を作成・提出しなければなりません。

上申書に決まった書式はありませんが、例外的に熟慮期間経過後の相続放棄を容認するような説得力のある事情でなければ、申し立ては却下されてしまいます。

一度申し立てが却下された場合、再度手続きしてやり直すことはできませんので、上申書は慎重に作成する必要があります。

過去の判例を熟知している弁護士なら、熟慮期間経過後の相談にも対応しており、特別な事情を説明する上申書の作成も依頼することが可能です。

5-2 相続、法律問題について全般的なアドバイスを受けられる

相続にはさまざまなルールがあり、法律を熟知していないと知らない間に損をしたり、思わぬトラブルに発展したりする可能性があります。

弁護士は法律のプロですので、相続について定めた民法を始めとするさまざまな法をもとに、適切なアドバイスを提供することができます。

「資産と債務両方を兼ね備えた遺産を相続する予定だが、このまま相続すべきかどうか迷っている」といった悩みにも適切な助言をもらえるため、相続について不安や問題を抱えている場合の頼もしい味方になります。

5-3 書類の作成、提出を含めて相続放棄手続を全て任せられる

相続放棄の手続きでは、各種書類をあらかじめ準備する必要があります。

熟慮期間は3か月と短いため、故人の葬儀や各所への対応などに追われていると、書類の作成・提出にまで手が回らなくなりがちです。

弁護士に依頼すれば、書類の作成や提出を含めた相続放棄の手続きを全て一任できるので、被相続人の負担を大幅に減らすことができます。

5-4 被相続人同士でやり取りをしなくて済みます

被相続人が複数いる場合、相続について話し合う機会を設けなければなりませんが、遺産分割でもめるケースも少なくありません。

弁護士に依頼すれば、本人に代わって弁護士が他の被相続人とやり取りしてくれるので、被相続人同士でもめるリスクが少なくなります。

仮に被相続人同士のトラブルで裁判に発展した場合でも、弁護士に任せれば各種手続きや必要な準備をすべて任せることができます。

5-5 債権者対応も可能

相続放棄の手続きを行えば、借金を支払う義務を負わずに済みます。

しかし、相続放棄の手続きにはある程度の時間がかかるため、その間に債権者から督促を受ける場合があります。

弁護士に依頼すれば、債権者からの督促にも対応してくれるため、被相続人の心身への負担を軽減できます。

6 まとめ:3か月経過後の相続放棄は特別な事情が必要です

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相続放棄は、被相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に行う必要があります。

3か月の熟慮期間を過ぎてしまうと、原則として相続放棄が認められず、単純承認として故人の遺産のすべてを相続することになってしまいます。

故人が負債や債務を負っていた場合、その支払い義務も課せられることになりますので、相続放棄する場合は熟慮期間中に手続きを済ませることが大切です。

なお、故人の財産の状況を知る術がなかったなどの特別な事情がある場合は、例外として熟慮期間経過後でも相続放棄が認められる場合があります。

ただし、特別な事情があるとみなされるには、相応の理由を説明しなければなりません。

相続放棄は、一度申し立てが棄却されるとやり直しが利きませんので、特別な事情による熟慮期間後の相続放棄申し立てを検討する場合は、法律や過去の判例を熟知した弁護士に依頼することをおすすめします。

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