相続放棄の費用|一度きりの手続きは安心の弁護士へ依頼しましょう
監修者ベストロイヤーズ法律事務所
弁護士 大隅愛友
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この記事でわかること
- 相続放棄にかかる費用
- 相続放棄の費用が高くなる3つのケース
- 相続放棄を専門家へ依頼するメリット
- 相続放棄の弁護士と司法書士の違い
- 相続放棄の注意点
相続ではプラスの財産(資産)だけでなく、借金などのマイナスの財産(負債)も引き継ぐことになります。資産よりも負債が多い場合は相続をせずに、相続放棄することが一般的です。
もっとも、相続放棄は家庭裁判所で行われる公的な手続きであり、各種の費用がかかります。
手続きを弁護士や司法書士に依頼した場合には依頼料もかかります。相続放棄に必要な費用をあらかじめ確認しておきましょう。
この記事では、相続放棄にかかる費用と、費用が高くなるケース、専門家に依頼するメリット、相続放棄する際の注意点について解説します。
1 相続放棄にかかる費用
相続放棄にかかる費用は、自分で手続きする場合と、専門家に依頼した場合で異なります。
1-1 相続放棄の手続きの費用
相続放棄の手続きでは、裁判所へ納める収入印紙や相続を放棄する人(申述人)および被相続人の戸籍謄本の取得などにお金がかかります。
以下では相続放棄に通常必要なものと、それぞれの費用の目安をまとめました。
申述書に貼る収入印紙 |
800円 |
申述人の戸籍謄本 |
450円 |
被相続人の戸籍謄本 |
450円 |
被相続人の除籍謄本・改製原戸籍謄本 |
750円 |
被相続人の戸籍附票または住民票除票 |
300円〜400円 |
郵便切手 |
500円〜1,000円 |
上記の手続き費用の中には、市区町村や家庭裁判所によって金額が異なるものもあります。また、相続の事情や状況によっては追加で資料の提出が必要になることがあります。
こうした事情を考慮すると、自分で相続放棄する際に最低限必要となる費用はおおむね3,000円~5,000円程度と考えておいた方がよいでしょう。
1-2 相続放棄を弁護士へ依頼する場合の費用
相続放棄を弁護士に依頼する場合にかかる、おおまかな費用の内訳は以下のとおりです。
相談料 |
無料~1万円/60分 |
申述書作成代理費用 |
5,000円~1万円 |
代理手数料 |
5万円~10万円 |
相談料に関しては「初回のみ30分無料」など条件付きで0円に設定しているところも多いですが、60分につき5,000円~1万円がおおよその相場です。
最も料金の差が出やすいのは、相続放棄の手続きを代理で行うことへの報酬にあたる「代理手数料」です。
相続人1人につき5万円~10万円が相場となっているため、その他の費用と合わせると最低でも5万円以上はかかるとみておいた方がよいでしょう。
1-3 相続放棄を司法書士へ依頼する場合の費用
相続放棄を司法書士に依頼した場合にかかる費用の内訳は、基本的に弁護士と変わりません。
それぞれの費用の目安は以下のとおりです。
相談料 |
0~5,000円/60分 |
申述書作成代理費用 |
3,000円~6,000円 |
代理手数料 |
3万円~5万円 |
弁護士に比べて相場が安いのは、司法書士には代理権がなく、相続放棄の手続きを代行できないためです。
そのぶん、費用の目安は3万円~と安価ですが、相続放棄の手続きそのものは自分で行わなければならない点に注意が必要です。
相続放棄における弁護士と司法書士の違いについて、詳しくは後述します。
2 相続放棄の費用が高くなるケース
相続放棄にかかる費用は、状況によっては通常よりも高くなる場合があります。
ここでは相続放棄の費用が高くなってしまう主なケースを3つご紹介します。
2-1 相続放棄の3か月の期間が過ぎているケース
相続放棄の申立は、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に行う必要があります。[注1]
3か月の期間が過ぎてしまった場合は、相続放棄の期間の伸長を申し立て、相続放棄の期間を伸ばしてもらわなければなりません。
相続放棄の期間の伸長申し立てには別途他の書類や手続きが必要になるため、3か月以内に手続きした場合よりも費用が高くなります。
[注1]裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_25/index.html
2-2 相続財産の調査も依頼するケース
相続を放棄するか否かを判断するためには、故人の遺した相続財産の調査を行う必要があります。
預貯金や有価証券、不動産、負債の有無などの相続財産を調査した上で相続放棄の手続きも依頼したいという場合は、別途調査費用が上乗せされるため、手続き費用が高くなります。
2-3 相続財産清算人(旧 相続財産管理人)選任の申立てが必要なケース
民法第940条では、相続を放棄した者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、その財産の管理を継続しなければならないと定めています。
そのため、相続を放棄した者は家庭裁判所に申し立てて、相続財産清算人(旧 相続財産の管理人)を選任してもらわなければなりません。
【関連記事】相続財産清算人(旧 相続財産管理人)の選任にはいくら必要?費用の内訳や節約方法を解説!
相続放棄と共に、相続財産管理人の選任に関わる手続きも依頼する場合は、別途費用が加算されます。
3 相続放棄を専門家へ依頼するメリット
相続放棄は自分で書類を揃えて手続きすることも可能ですが、専門家に依頼すると以下のようなメリットがあります。
3-1 必要書類の取集、申述書の作成もお任せ
相続放棄の手続きを行うには、申述書を作成し、必要書類を添えて提出しなければなりません。
必要書類は取り寄せできる場所が複数に亘るため、すべての書類を揃えるまでにはかなりの手間と時間がかかります。養子縁組等が行われている場合も複雑となります。
【関連記事】養子縁組の相続|メリット・デメリットを弁護士が徹底解説!
【関連記事】養子縁組も相続放棄の手続きが必要?兄弟姉妹相続における養子の立場と注意点
また、申述書の内容に不備があると申立てが通らないこともあります。
弁護士などの専門家に依頼すれば、必要書類の取集から申述書の作成まで一任できるので、手間や時間を大幅に削減できます。
3-2 3か月の期間経過後の相続放棄等も対応できる場合があります
相続放棄の手続きは原則として相続開始を知った段階から3か月以内と決まっています。
相続放棄の期間の伸長を申し立てれば、3か月を過ぎた後でも手続きを受理してもらえますが、「期間内に相続を承認するか放棄するかを判断する資料を得られなかった」など、期間伸長の正当な理由が必要になります。
専門家に依頼すれば、法律や過去の判例などをもとに、期間伸長の正当な理由を添えて手続きしてくれるので、3か月を過ぎた後でも相続放棄の手続きを受理してもらいやすくなります。
4 相続放棄の弁護士と司法書士の違い
相続放棄の手続きは弁護士または司法書士に依頼できますが、弁護士は司法書士にはない「代理権」を有しているのが大きな特徴です。
代理権とは、審判で定められた特定の法律を代理で行うことができる権利のことです。
代理権を有している弁護士は、申述書の作成のみならず、相続放棄にまつわる手続きのすべてを、申述人に代わって行うことが可能です。
一方、代理権を持たない司法書士は、申述書の代理作成までは対応可能ですが、相続放棄の手続きそのものを代行することはできません。
そのため、司法書士に相続放棄の申述書を代理作成してもらった後は、申述人自らが申立ての手続きを行う必要があります。
弁護士に依頼すれば、相続放棄の手続きすべてを一任できるため、申述人は委任状を作成するだけで済みます。
その後の申立て手続きは弁護士の名義で行われるため、申述人自身が書類に署名・押印する必要はなく、手間を大幅に省くことができます。
また、被相続人が負債を抱えていた場合は、債権者への対応が必要になります。
弁護士であれば債権者への対応も代行してくれるので、相続の放棄後にトラブルに巻き込まれる心配がありません。
相続放棄の手続きを確実かつスムーズに進めたいのなら、弁護士に依頼することをおすすめします。
5 相続放棄の注意点
相続放棄の手続きを行う際に注意したいポイントを5つご紹介します。
5-1 相続があることを知った時から3か月以内に申立て
相続放棄は、前述のとおり、相続があることを知った時から3か月以内に申し立てる必要があります。弁護士に依頼すれば3か月以上経っても申立てが受理される可能性がありますが、手間とコストがかかりますので、相続があることを知ったらなるべく速やかに手続きを開始しましょう。
5-2 相続放棄前の財産の処分は厳禁
相続放棄前に被相続人の財産を処分してしまうと、相続を承認したとみなされます。その後に相続放棄の申立てを行っても受理されない可能性が高くなりますので、相続放棄前に財産を処分するのはやめましょう。
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5-3 負債を放棄してプラスの財産だけ相続はできない
相続の対象となる遺産には、資産だけでなく負債も含まれます。そのため、負債を放棄してプラスの財産だけを相続することはできません。
相続する際は受け継ぐ資産と負債を確認し、承認するか放棄するかを決定する必要があります。
【関連記事】相続放棄をしても生命保険を受け取れる?保険金を受け取れない場合や税金の問題まで解説
5-4 相続放棄するとその子も相続できない
被相続人より先に相続人が亡くなっていた場合、被相続人の孫やひ孫、甥や姪などが相続財産を受け継ぐことになります。これを代襲相続といいます。
【関連記事】代襲相続とは?相続の範囲やできるできない、トラブルまで詳しく解説
ただし、これはあくまで相続人が亡くなっている場合の話で、相続放棄した場合はこの限りではありません。
たとえば祖父が亡くなり、父が財産放棄した場合、父はもともと相続人ではないとみなされます。当然、その子に対する代襲相続も発生しませんので要注意です。
5-5 相続放棄の取消は難しい
一度相続放棄の手続きが受理されると、後から撤回することはできません。
取消の申立てを行うことは可能ですが、実際には難しいので、相続放棄するかどうかは慎重に検討することが大切です。
6 まとめ|相続放棄は弁護士へお任せ
相続放棄の手続きには、各種費用が必要です。自分で手続きを行えば3,000円~5,000円程度で収まりますが、すべての書類を取り寄せるのは大変ですし、書類に不備があると申立てが通らないこともあります。
また、放棄した相続財産に負債があった場合は債権者への対応も必要になりますので、すべての手続きを一任できる弁護士に依頼することをおすすめします。
熟慮期間経過後の相続放棄も対応しています。債権者への連絡もお任せください。
相続でお悩みの方のために、積極的に法律・裁判情報の発信を行っています。
全国からご相談を頂いております。ご希望の方はお電話またはwebでの無料相談をお気軽にご利用ください。