相続放棄と車の処分|売却・廃車・名義変更の手続きと注意点

監修者ベストロイヤーズ法律事務所
弁護士 大隅愛友
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弁護士 大隅愛友
熟慮期間経過後の相続放棄も対応しています。債権者への連絡もお任せください。
相続でお悩みの方のために、積極的に法律・裁判情報の発信を行っています。
相続放棄は千葉県在住の方、または千葉県で発生した相続のみ相談を受け付けております。ご希望の方はお電話またはwebでの無料相談をお気軽にご利用ください。

この記事でわかること
- 相続放棄後の車の扱い方
- 売却・廃車・名義変更の手続き
- 注意点とトラブル回避策
相続放棄をしたいけれど、車はどうすればよいのだろう。
相続放棄を検討する際によくあるお悩みです。
亡くなった人が所有していた車は自由に処分ができません。そのままにしていると駐車料金など管理にお金がかかってしまいます。
故人の車をうかつに処分すると単純承認と判断されて、相続放棄が無効になるかもしれません。そのため、相続放棄をする場合、故人の車をどのようにすればよいか困っている方は多いです。
今回は、相続放棄する方がどのように故人の自動車を扱えばよいかを相続に詳しい弁護士が解説します。
現在、千葉県内の相続放棄のみ相談受付しております
他エリアはただいま鋭意準備中です。
何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
1 相続放棄をしたら故人の車は処分できないのが原則

相続放棄は故人の負債も含めて財産を一切相続しないことです。
故人が所有していた車も相続財産に含まれるため、相続放棄をした人は車を相続できません。相続人として勝手に売却・廃棄することもできません。
車の管理や処分は、原則として、その車を適法に相続した人や相続財産清算人など、権限のある人が行います。共同相続の場合は、他の相続人の権利にも配慮する必要があります。
相続放棄前に車を売却・廃棄すると、相続財産の処分として法定単純承認に当たり、相続放棄が認められなくなることがあります(民法921条1号)。放棄後も、相続財産を隠したり私的に消費したりした場合などには、同条3号による法定単純承認が問題となります。また、無断処分によって権利者に損害を与えれば、損害賠償責任を負うことがあります。
1-1 相続人全員が相続放棄をした場合
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配偶者や後順位の相続人を含め、相続人全員が相続放棄をした場合、放棄した人が相続人として故人の車を処分することはできません。子全員が放棄しても、親や兄弟姉妹などが相続人になる場合があるため、相続人の範囲を確認する必要があります。
車の処分が必要な場合は、利害関係人などが、故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立てる方法があります。選任された清算人が、必要に応じて家庭裁判所の許可を得て車を処分します。
相続財産清算人の選任には、申立手数料や郵便料、官報公告料がかかります。また、相続財産から管理費用や報酬を賄えない可能性がある場合は、申立人に予納金の納付が求められることがあります。予納金の要否や金額は事案によって異なり、数十万円〜100万円程度となる場合もあります。関係者で費用を分担する場合は、事前に協議しておきましょう。
【関連記事】相続財産清算人(旧 相続財産管理人)の選任にはいくら必要?費用の内訳や節約方法を解説!
相続財産清算人が選任されていなくても、相続放棄をした人に車の処分権限が生じるわけではありません。放棄前の売却・廃棄は民法921条1号の財産処分に、放棄後の隠匿や私的な消費などは同条3号に該当するおそれがあります。
2 相続放棄する場合の自動車処分について
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車の所有関係や契約内容によっては、所有者への返還などを検討できる場合があります。ただし、故人の所有物でない車でも、自由に処分してよいわけではありません。ここからは、相続放棄を検討している場合と、放棄後の対応について、ケース別に解説します。
2-1 車にローンがある場合
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所有権留保付きのローンで、販売会社や信販会社が車の所有権を有している場合は、契約内容と返還を求める相手の権限を確認し、車の引渡し方法を調整します。引渡しに伴う書類や精算の有無も確認し、自分が残債を引き受ける内容の書類には安易に署名しないようにしましょう。
ディーラーローンでも、所有者や所有権留保の内容は契約によって異なります。販売会社や信販会社に所有権が留保されている場合でも、故人の契約上の権利義務や返還時の精算金が問題になるため、「相続とは無関係」とは判断できません。
銀行などのマイカーローンを利用し、故人が車を所有していた場合は、その車は相続財産となります。ローンが残っていても勝手な処分や債権者への引渡しは避け、相続放棄を予定している旨を借入先に伝えて対応を確認しましょう。
2-2 ローン残債がなく車の所有者が故人の場合
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ローン残債がなく、故人が所有していた車は相続財産です。処分の可否は、資産価値だけでなく、処分の内容や目的、相続放棄の前後、処分権限の有無などを踏まえて判断する必要があります。
①車に資産価値がないと思われる場合も慎重に判断する
客観的に経済的価値のない物の廃棄は、法定単純承認に当たらないと評価される場合があります。ただし、査定額が0円であることだけで、車両の廃棄や解体を行ってよいとは判断できません。処分前に、車両の価値や権利関係、具体的な処分内容を弁護士に確認しましょう。
新車登録から5年以上経過していても、車に資産価値が残っていることがあります。税務上の耐用年数と実際の売却価値は別であり、経過年数だけでは判断できません。また、ある業者の査定額が0円でも、他の業者での買取価格や部品・資源としての価値が残る場合があります。
相続放棄が有効に成立した場合、故人の未納・滞納自動車税を相続によって支払う義務はありません。納税通知書が届いた場合は、課税した自治体に相続放棄をした旨を伝え、必要書類を確認しましょう。
②資産価値がある場合は勝手に処分不可
資産価値がある車を相続放棄前に自己判断で売却・廃棄すると、相続財産の処分として法定単純承認に当たるおそれがあります。相続放棄後も、相続人として処分する権限はありません。
車を保管している間も、駐車料金や自動車税などが問題になることがあります。ただし、相続放棄をした人が、これらを当然に自己負担するわけではありません。自動車税は原則として4月1日現在の所有者等に課税されますが、相続放棄が有効に成立した場合、故人の納税義務を相続によって承継しません。故人の預貯金から支払うことも自己判断で行わず、税金は課税した自治体に、駐車料金は契約内容を確認したうえで対応を相談しましょう。
また、相続放棄をした時点で車を現に占有している人は、相続人または相続財産清算人に引き渡すまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その車を保存する義務があります(民法940条1項)。相続放棄をした人全員に、一律の管理義務が残るわけではありません。
保存義務を負う人が必要な保存を怠り、損害を生じさせた場合には、損害賠償責任を負うことがあります。ただし、保管費用や価値の低下を避ける目的であっても、車を自己判断で売却してよいわけではありません。放棄前の売却は法定単純承認に当たるおそれがあり、売却代金を保管しておけば問題がないとはいえません。処分が必要な場合は、弁護士に相談し、相続人や相続財産清算人など処分権限のある人による対応を検討しましょう。
3 相続放棄を決めたらすべきこと
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相続放棄を検討している場合は、故人の車の所有関係と資産価値を確認しましょう。ただし、調査中でも相続放棄の期限は進みます。相続放棄は、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。調査が間に合わない場合は、期限内に熟慮期間の伸長を申し立てることを検討してください。
3-1 車の所有者を確認する
まず、車の所有者を確認しましょう。
車検証の所有者情報に加え、売買契約やローンの契約内容、完済の有無を確認しましょう。電子車検証では、所有者情報は券面に表示されないため、「自動車検査証記録事項」や車検証閲覧アプリで確認します。販売会社等の名義が残っていても、完済済みで所有権解除の手続きが未了の場合があります。名義だけで相続財産に当たるかを決めず、返還先とその権限も確認してください。

従来の紙の車検証見本(出典:国土交通省)。電子車検証では、所有者情報の確認方法が異なります。
3-2 車の資産価値を把握する
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車の資産価値は、今後の対応を検討するうえで重要な判断材料です。
中古車買取業者や日本自動車査定協会などで車を査定してもらい、資産価値を確認しましょう。買取価格がつかない場合も、査定結果を書面で残しておくことが大切です。
日本自動車査定協会のホームページ:http://www.jaai.or.jp/
価値がつくか判断が難しい場合は、複数社から査定を受けましょう。ただし、査定書は価値を判断する資料であり、取得すれば相続放棄への影響なく処分できることを保証するものではありません。
4 相続放棄をする際の注意点
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相続放棄をする場合、故人の車に関していくつか注意点があります。とくに、法定単純承認に当たる行為を避けることが重要です。
4-1 軽自動車やバイクも相続対象になる
故人が所有していた場合、普通自動車だけでなく、軽自動車やバイクも相続財産に含まれます。
軽自動車やバイクも、相続放棄を予定している人が自己判断で名義変更や売却・廃棄を行うことは避けましょう。法定単純承認に当たるかは、手続きの名称だけでなく、権利を取得する趣旨や処分の内容などによって判断されます。放棄後も、相続人として処分する権限はありません。
4-2 相続放棄をした人は故人の未納自動車税を引き継がない
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相続放棄が有効に成立した場合、故人の未納・滞納自動車税を相続によって支払う義務はありません(民法939条・地方税法9条)。また、未納税の支払いが、すべての売却・廃車手続きで一律に必要となるわけではありません。
納税通知書が届いた場合は、課税した自治体に相続放棄をした旨を伝え、受理通知書や受理証明書など必要書類を確認してください。故人の預貯金から税金を支払う行為は、法定単純承認が問題になることがあるため、自己判断で行わないようにしましょう。
4-3 故人の車は乗らない
相続放棄を予定している場合は、故人の車を通勤や買い物などに私的に使用することは避けましょう。使用の目的・期間・態様によっては、法定単純承認が問題になります。ただし、危険を避けるための必要最小限の移動など、保存のための行為まで直ちに単純承認になるわけではありません。移動が必要な場合も、車を動かす権限や保険の補償範囲、事故のリスクを確認してください。
4-4 自動車保険の解約について
自動車保険は、契約者が亡くなったからといって、必ず解約するものではありません。任意保険か自賠責保険か、車の保管・使用状況、約款などによって対応が異なります。相続放棄を予定している場合は、その旨を保険会社に伝え、手続きができる人と必要書類を確認しましょう。
保険契約の解約や返戻金の受領・使用は、その内容によって法定単純承認が問題になることがあります。特に、故人に帰属する解約返戻金を自分のために使うことは避け、保険会社への死亡の連絡と、契約上の権利を処分する手続きは区別して対応しましょう。
5 相続放棄と車の処分に関するよくある質問
原則として、相続放棄を予定している人が故人所有の車を自己判断で売却・廃車することは避ける必要があります。放棄前に資産価値のある車を売却・廃棄すると、相続財産の処分として法定単純承認(民法921条1号)が問題になります。売却代金を保管していても、単純承認を回避できるとは限りません。価値が低いと思われる車も、所有関係や契約内容、査定結果を確認し、処分前に弁護士へ相談しましょう。放棄後も相続人として処分する権限はなく、隠匿や私的な消費などは同条3号による法定単純承認が問題となります。
「新車登録から5年以上」など、経過年数だけで安全に廃車できる一律の基準はありません。税務上の耐用年数と実際の売却価値は別であり、古い車でも車種や状態によって市場価値が残る場合があります。査定額が0円でも、他の業者での買取価格や部品・資源としての価値が残ることがあります。査定結果を書面で残し、その資料だけで処分可能と判断せず、具体的な対応を確認しましょう。
車検証の所有者情報と契約内容を確認し、販売会社や信販会社、借入先に対応を確認してください。電子車検証の所有者情報は、「自動車検査証記録事項」や車検証閲覧アプリで確認します。販売会社等に所有権が留保されている場合は、返還先の権限や精算の有無を確認し、引渡し方法を調整します。故人が所有していた車は相続財産となるため、自己判断での処分や引渡しは避けましょう。いずれの場合も、相続放棄を予定している旨を伝え、自分が残債を引き受ける書類には安易に署名しないことが大切です。
配偶者や後順位の相続人を含めて相続する人がいなくなった場合、必要に応じて家庭裁判所が選任する相続財産清算人による処分を検討します。選任された清算人が、必要に応じて家庭裁判所の許可を得て車を処分します。選任申立てには収入印紙800円のほか、郵便料や官報公告料が必要です。また、遺産から管理費用や報酬を賄えない可能性がある場合には、申立人に予納金の納付が求められることがあります。予納金に全国一律の固定額はありません。
故人が所有していた軽自動車や原動機付自転車を含むバイクも、自己判断で処分することは避けてください。普通自動車と同様に相続財産に含まれ、放棄前の名義変更や売却・廃棄は、その目的や内容によって法定単純承認が問題になります。放棄後も相続人として処分する権限はありません。また、民法940条1項による保存義務は、放棄時にその車両を現に占有している人が、相続人または相続財産清算人に引き渡すまで負います。
6 まとめ:相続放棄をする場合、勝手に自動車を処分してはいけません
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相続放棄を検討している場合、故人の車を自己判断で売却・廃棄すると、法定単純承認に当たり、相続放棄が認められなくなることがあります。放棄後も、相続人として車を処分する権限はなく、隠匿や私的な消費などは法定単純承認の問題となります。所有関係や契約内容を確認し、相続人や相続財産清算人など、権限のある人による対応を検討しましょう。
判断に迷った際は、弁護士など相続に関する専門家に相談しながら進めましょう。
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現在、千葉県内の相続放棄のみ相談受付しております
他エリアはただいま鋭意準備中です。
何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
![]()
熟慮期間経過後の相続放棄も対応しています。債権者への連絡もお任せください。
相続でお悩みの方のために、積極的に法律・裁判情報の発信を行っています。
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