【弁護士監修】デジタル遺品とは?スマホの中の財産が"凍結"する相続リスクと対策

監修者ベストロイヤーズ法律事務所

弁護士 大隅愛友

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―スマホの中の財産が“見えない資産凍結”を引き起こす時代とその対策―

「スマートフォンのロックが解除できず、大切な写真や情報が取り出せない」――。
近年、このような相談が急増しています。いわゆる「デジタル遺品」問題です。

総務省の「令和6年通信利用動向調査」によれば、スマートフォンの世帯保有率は9割を超え、ネットバンキング、ネット証券、電子マネー、暗号資産などが生活インフラとして定着しています。

その結果、相続の現場では従来の財産だけでなく、
“アクセスできないデジタル資産”という新たなリスクが問題となっています。

1.デジタル遺品とは何か

デジタル遺品とは、亡くなった方が生前に利用していたデジタル情報・資産・サービスの総称です。

特徴は「物理的に見えないため、発見されにくいこと」です。

■デジタル遺品の分類

  • デジタル資産(ネット銀行・証券・仮想通貨)
  • デジタル情報(写真・動画・SNS・メール)
  • デジタル契約(サブスク・クラウド)

2.なぜ問題が深刻化しているのか

デジタル遺品の問題は、次の3つの構造で発生します。

  • 強力なログイン認証(顔認証・暗号化)
  • 家族が存在を知らない(ペーパーレス化)
  • 情報が複数サービスに分散

その結果、「資産があるのに見つからない」という事態が起きます。

3.デジタル資産の本質的リスク=“アクセス不能”

デジタル資産の最大の問題は、「存在していても使えない」ことです。

スマホやクラウドのロックが解除できない場合、その中の情報や資産は実質的に凍結されます。

【図解】デジタル遺品で「資産が凍結される」までの流れ

生前:本人がスマホ・ネット資産を管理
死亡・または判断能力の喪失
スマホ・PCのロック解除不可
ネット銀行・証券・仮想通貨の存在が不明化
家族が資産情報にアクセスできない
デジタル資産の実質的な凍結・消失

■この図表が示す本質

この比較が示しているのは、

「元気なうちに準備しているかどうか」で結果が決まる

という点です。

デジタル遺品対策でも同じで、

  • 元気なうちに整理している → 管理できる
  • 何もしていない → アクセス不能

という差がそのまま現れます。

4.特に注意すべきデジタル資産

  • ネット銀行(存在に気づかれない)
  • ネット証券(高額資産の埋没)
  • 仮想通貨(秘密鍵喪失で消失)
  • 電子マネー(複数累積で高額化)

5.「開けなければ存在しない」という現実

スマートフォンやPCは高度に暗号化されており、

  • 一定回数ミスでロック強化
  • データ初期化の可能性
  • 物理解析でも復旧困難

その結果、

中に資産があっても取り出せない

という事態が現実に発生しています。

6.弁護士が推奨する生前対策

■① デジタル資産の棚卸し

銀行・証券・サブスク・SNSの一覧化

■② 遺言書とエンディングノートの役割分担

  • 遺言書=誰に渡すか
  • ノート=どこにあるか

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■③ 安全な管理方法

  • パスワード管理アプリ
  • 限定共有
  • 弁護士預託(死後事務委任)

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7.Q&A

Q1.スマホのロックは業者に頼めば必ず解除できますか?

A. できない可能性があります。最新端末では暗号化が非常に強く、物理的に基板を解析しても復旧できない場合があります。安易な試行は控え、まずは専門家へ相談してみましょう。

Q2.ネット銀行はパスワードがなくても相続できますか?

A. 可能です。銀行名さえ特定できれば、法定相続人が戸籍謄本等の書類を提出することで手続きできます。最大の問題は、遺族がその銀行の「存在を知らない」ことにあります

Q3.SNSアカウントはどうすべきですか?

A. 多くのSNSには「追悼アカウント」などの死後設定があります。放置するとアカウントが残り続け、なりすましや不正利用のリスクがあるため、生前に方針を決めておくことが望ましいです

Q4.デジタル遺品は相続税の対象になりますか?

A. はい。預金や仮想通貨など、金銭的価値があるものはすべて相続財産に含まれます。申告漏れは加算税の対象となるため、正確な調査が必要です。

Q5.エンディングノートに効力はありますか?

A.法的効力はありません。遺言書と併用が必要です。

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8.家族で確認!デジタル遺品チェックリスト

□ 利用しているネット銀行・証券の名称を書き出している

□ 有料サブスクリプションを一覧化している

□ SNSの死後設定(追悼設定など)を確認している

□ スマホ・PCの保管場所や「情報のありか」を家族に伝えている

□ 重要データのバックアップ先(クラウド等)を共有している

9.まとめ:デジタル遺品対策は家族への「見えない思いやり」

デジタル遺品問題は、単なるITのトラブルではありません。

それは、「見えない財産」「開けない情報」「気づかれない資産」という3つのリスクを抱えた、現代型の相続問題です

放置すれば、本来相続できるはずの資産が「発見されないまま消える」という事態が起こり得ます。情報を整理し、家族が迷わないための地図を残しておくこと。それは、最も確実で負担の少ない、あなたから家族への「最後の配慮」と言えるでしょう

当事務所では、デジタル遺品を含めた次世代の相続対策について、遺言作成やエンディングノートの作成と合わせて法的な観点から最適なアドバイスを提供しております。

不安なことがあれば、いつでもご相談ください。

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