秘密証書遺言とは?作成方法からメリット・デメリットを弁護士が解説

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秘密証書遺言とは?作成方法からメリット・デメリットを弁護士が解説

自分が亡くなった後に、遺産の行方を生前に決めておく方法として、遺言があります。

最近は、毎年10万件前後もの公正証書遺言が作成されており、それ以外にも約2万件近い自筆証書の検認が行われるなど、遺言の作成はかなり普及しています。

令和3年の遺言公正証書作成件数について-日本公証人連合会.png

(出典 公証役場ホームページ)

メジャーな公正証書遺言や自筆証書遺言ですが、実は遺言には大きく分けて3種類あります。公証役場で公証人と証人が立ち会いのもと作成する公正証書遺言、自筆で書く自筆証書遺言。そして、今回取り上げる秘密証書遺言です。

実際には、秘密証書遺言を選択する人は少ないといわれています。

本記事では、秘密証書遺言の作成方法やメリット・デメリットなどについて解説します。

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1 秘密証書遺言とは

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秘密証書遺言は、遺言の内容を開封時まで誰にも知られたくない場合に選ばれます

遺言書を自分で作り、封入したものを公証役場で手続きして作成できます。公証役場に残るのは、秘密証書遺言を作成した記録です(作成日時、作成者)。封に入れた遺言書は遺言者自身が持ち帰り、公証役場には残りません

遺言を作成したという事実が証明できるので、自筆証書遺言のように「遺言があるのかわからない」といった事態を避けられます。

ただし、秘密証書遺言は名称のとおり公証人も当日立ち会う証人も遺言の内容を知りません。

2 秘密証書遺言の作成方法

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作成方法は下記の3ステップです。

① 自分で作成した遺言書に署名・押印し、封に入れて印を押す

② 公証役場で手続きを行う日時の予約を行う

③ 当日に公証役場で手続きを行う

署名は自筆で、遺言書と封筒への印は同じ印鑑でなければなりません。遺言書の日付はなくても問題ありません。当日、公証役場へ持参するものは、

・作成した封入後の遺言書

・遺言書に押印した印鑑

・身分証明書

・作成費用の1,1000円

です。

当日の証人は2名必要です。証人は下記の事項に当てはまらない人でなければなりません。

・未成年

・推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系親族

・公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び証人

つまり、財産の相続を受ける人や関わる人たち、公証人に関わる人たち以外から証人を選ぶ必要があります。作成当日、遺言者は公証人と証人の前に遺言書の入った封筒を提出し、自分の遺言書であること、氏名・住所をいいます。その後、遺言者と証人が押印をして手続きは終了です。

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2-1 公証役場での手数料

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公証役場で秘密証書遺言を作成するには手数料として一律1,1000円がかかります。公正証書遺言の作成費用と比較すると金額は安いです。

2-2 方式に従ってなければ自筆証書遺言となる場合がある

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上記の手順を正しくふまなかった場合、秘密証書遺言でなく自筆証書遺言として効力をもつ場合があります。

たとえば、遺言書に押印した印鑑と封筒に押した印鑑が異なった場合、秘密証書遺言としては効力をもちませんが、自筆証書遺言としては効力をもつ可能性があります。ただし、パソコンで作成していたなど、自筆証書遺言の方式に従っていないケースは当然該当しません。

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2-3 公証人の前では通訳や自書で申述してもよい

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病気などで話すことが難しい場合、公証役場での手続きは通訳によって申出をしたり、自書したりすることも可能です。

3 秘密証書遺言のメリット

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秘密証書遺言のメリットを3つ紹介します。

3-1 遺言の内容を誰にも知られない

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秘密証書遺言を作成する最大のメリットは、名称のとおり遺言の中身を誰にも知られない点です。公証人も証書2人もどういった内容の遺言かはまったくわからないため、情報漏れの心配がありません。

3-2 自筆でなくてもよい

秘密証書遺言は自分で作成しますが、署名を除いては手書きでなくてもよいです。

ワープロやWordなどPCでの作成が可能です。代筆でもよく、信頼できる身近な人に書いてもらっても問題ありません。この点は公正証書遺言や自筆証書遺言と大きく異なります。

しかし、万が一秘密証書遺言としての効力をもたなかった場合も考えるなら、手書きで書いておくと自筆証書遺言として効力をもつ可能性があります。そのため、PCか手書きか迷った場合は手書きの方がよいでしょう。

3-3 改ざんリスクがない

自分で作成した遺言書を封入し、公証役場へもっていくため改ざんされるリスクはありません。

遺言執行までに相続人には遺言の存在そのものを伏せておくことも可能です。万が一、開封されてしまった場合、法律上その秘密証書遺言は無効になります。

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4 秘密証言遺言のデメリット

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秘密証書遺言は、公正証書遺言や自筆証書遺言と比較すると選ぶ人が非常に少ないのは事実です。どのようなデメリットがあるか4つ紹介します。

4-1 遺言に不備があった場合は無効になる可能性

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秘密証書遺言は、法的な要件不備があった場合は効力をもたない可能性があります。

公証役場にもっていったにもかかわらず、遺言の内容については誰のチェックも受けていません。遺言者も、書いている内容が法的に正しいかどうか判断するのは難しいでしょう。秘密証書遺言はあくまでも、「遺言を作成した」という事実だけを公証役場で記録に残すものです。

もし、秘密証書遺言が要件不備になってしまったら、せっかく遺言を作成したにもかかわらず、相続で争いが起きてしまうかもしれません。

【関連記事】公正証書遺言の作成に必要な書類は?費用やメリットをわかりやすく解説!

4-2 家庭裁判所の検認が必要

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遺族は秘密証書遺言を勝手に開封できません。公証人は遺言の内容についてチェックをしていないため、自筆証書遺言と同様に家庭裁判所での検認が必要です。検認の期間は約1か月が目安となるため、遺族はその期間待つ必要があります。遺言者が亡くなった際に、遺言が効力をもつまでに手間と時間がかかってしまいます。

【関連記事】自筆証書、秘密証書遺言は家庭裁判所で検認が必要!正しい開封のしかたと手順について

4-3 紛失の可能性

上述したように秘密証書遺言は遺言者が手続き後に自分で保管を行うため、保管状況によっては紛失リスクがあります。

保管した場所を忘れてしまった

保管場所を誰にも伝えていなかったため、遺族が遺言書を見つけ出せなかった

  • 盗難被害にあった
  • 火事等で遺言書そのものが消失した

など、せっかく作成した遺言書が誰の目にも届かない事態も考えられます。

4-4 費用がかかる

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秘密証書遺言の作成には、公証人への手数料と証人への報酬がかかります。手数料は上述のとおり、一律11,000円です。

自筆証書遺言で保管制度を利用した場合は3,900円なので、自筆証書遺言よりも費用はかかります。証人への報酬は、誰が証人になってくれたかで変わってきます。目安の金額としては1人あたり、5,000円〜10,000円です。

5 遺言書の種類に迷ったら弁護士に相談を

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遺言書には秘密証書遺言のほかに、公証役場で証人立ち会いのもと公証人に口述で書く内容を伝える公正証書遺言、自筆で作成する自筆証書遺言があります。

それぞれの遺言にはメリット・デメリットがあり、作成する遺言の方法をどれにしようか迷う方は多いです。そういった際は、専門家である弁護士に相談することで、もっともニーズを満たす遺言書を選べます。

秘密証書遺言については、リスクの大きい法的な要件不備を防ぐことも可能です。遺言書の作成をサポートしてもらえたり、相続対策もスムーズに行えたりします。

認知症を患っておられる場合の遺言書の作成や、遺言執行者の選定についても適切なアドバイスを受けることができます。

【関連記事】遺言者が認知症なら遺言書は無効?有効?弁護士が徹底解説!

【関連記事】遺言執行者を弁護士にするメリットは?役割や選任の方法について弁護士が解説

6 まとめ:秘密証書遺言はメリット、デメリットを理解して活用!

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秘密証書遺言は遺言の内容を誰にも知られず作成できる遺言書です。公証役場を通すことで「遺言を作成した」という記録が残るため、遺言者が亡くなった際に「遺言書の有無が不明である」といった事態は避けられます。

しかし実際には、秘密証書遺言のメリットよりもデメリットを重視し、公正証書遺言や自筆証書遺言を選択する人の方が多いです。

遺言作成の方法や相続について悩んでいる場合は、弁護士に相談することで適切なアドバイスやサポートを受けられますので気軽に相談してみましょう。

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