私有地で事故を起こしてしまったら警察へ連絡は必要?対処法を徹底解説

監修者ベストロイヤーズ法律事務所

弁護士 大隅愛友

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私有地で事故を起こしてしまったら警察へ連絡は必要?対処法を徹底解説

交通事故というと、道路上で車どうしや人、物との接触により起こるものというイメージが強いかもしれません。

でも実際には、駐車場などの私有地で事故が起こるケースも多いです。

▼この記事の結論

私有地で事故が起きてもまずは警察へ連絡がおすすめ

・道路交通法が適用されない私有地でも法的責任は発生する

・負傷者がいる場合には救急車を呼ぶことが先決

結論、私有地など場所を問わず、事故が起きた場合には警察へ連絡することを強くおすすめします。

もし警察に「この場合は私有地なので、対応できません」と言われた場合には、個人で必要に応じて必要書類を用意し、保険会社へ連絡するのが良いです。

本当は警察に届出が必要だったにもかかわらず、勘違いをして届出をせず後で罪が発覚することを避けるためにも、ひとまず警察に届出をしておきましょう。

この記事では、私有地で事故が起きた場合に警察へ連絡をすべきかどうすべきかから、処罰はあるのか、保険会社への連絡をどうすべきかまで、詳しく解説します。

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1 私有地で事故を起こしてしまった!警察への連絡義務とは?

私有地で事故の損傷車両.jpg

交通事故が起きた場合、運転手や同乗者は警察へ連絡をしなくてはいけない義務があります。

私有地で起きた事故は「交通事故」には当てはまらず、警察への連絡義務がないというケースもあるため、警察に連絡すべきかの判断が難しいことが多いです。

たとえば、自宅の駐車場で自家用車を擦ってしまった場合には、警察への届出は不要でしょう。

しかし、他者が関わる場合や、道路と呼ぶ場所で起きた事故であれば、警察による実況見分が必要かもしれません。

なぜなら、加害者側が過失運転致死傷罪などの違反にあたる可能性があるからです。

そこで基本的には、どのような事故の場合にも警察へ連絡をすることをおすすめします。

「交通事故」の定義とは?

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道路交通法上、交通事故とは「道路上で起きたもの」と定められています。

道路の定義としては「不特定多数のものが行き交う場所」とされており、当てはまるものは道路交通法が適用される対象です。

たとえば個人所有の駐車場や月極駐車場の場合には、道路交通法が適用されず警察の対応が不要になることもあります。

【関連記事】自分の家で車をぶつけたら警察の連絡は必要?駐車場での自損事故やぶつけられたケースについて弁護士が解説

しかし、たとえばお店の所有する駐車場やショッピングモールなどの駐車場での事故であれば、交通事故として扱われることがほとんどです。

【関連記事】駐車場での事故はどう対処すればいい?警察に連絡は必須!過失割合も解説

交通事故であるかどうかの判断は難しいですが「私有地だから連絡はいらないと思った」という言い訳もむなしく、連絡をしなかったことが理由で処罰の対象となることがありますので注意が必要です。

2 私有地で事故が起きた!警察に連絡すべき理由とは?

私有地で事故を警察へ連絡.jpg

道路上ではない私有地での交通事故の場合、警察への届出は義務ではありませんが、連絡を入れておくのがおすすめだとお伝えしました。

相手方がいる場合や、モノを破損してしまった場合など、私有地での事故といっても様々なパターンがあるでしょう。

いずれの場合にも、念のため警察には連絡しておくことをおすすめします。

主な理由は、下記の通りです。

①万が一道路だった場合に問題になるから

②保険会社の適用になるかもしれないから

それぞれの理由について、詳しく解説します。

①万が一道路だった場合に問題になるから

現場が道路だった場合に問題.jpg

道路交通法第72条第1項により、交通事故を起こした場合には運転手や同乗者が警察に連絡をしなくてはいけない義務がある、と定めています。

事故を申告しない場合、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金が科される可能性があります。

さらに、道路交通法が適用されない場所であっても、自動車運転過失傷害罪や民事損害賠償、危険運転致死傷罪などの対象となることがあり、そのままにしておいて良いわけではありません。

加害者であれば賠償金の支払いが生じるなど、手続きは必要です。

どのようなケースでもひとまず、警察に連絡を入れることをおすすめします。

②保険適用になるかもしれないから

交通事故の保険適用.jpg

交通事故が起きた場合には警察に連絡し事情聴取を受けてから、自身の加入する保険会社に連絡をする流れが一般的です。

道路での交通事故であると判断された場合には、警察から「交通事故証明書」が発行されます。

保険会社には交通事故証明書を提出することで、保険の対象となるはずです。

保険適応となる場合、あとは保険会社に対応をまかせておけるため基本的には、当事者どうしが自らやらなくてはいけないことはありません。

加入している保険がカバーしているかどうかは確認する必要がありますが、まずは警察から交通事故証明書を受け取るようにしましょう。

【関連記事】交通事故証明書は後日でも受け取れる?申請方法や注意点について解説

3 私有地で事故!警察に「交通事故証明書」を渡されない場合は?

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道路交通法上で「道路外」と定められている私有地で事故があった場合には、警察から「交通事故証明書」を発行してもらえません。

とはいえ、保険会社の契約内容に含まれていれば、保険を適用させることは可能です。

交通事故証明書がない場合には「人身事故証明書入手不能理由書」を作成することで、任意保険会社へ連絡し、対応をあおぎます。

【関連記事】人身事故入手不能理由書とは?記載内容や注意点を弁護士が解説!

保険金の受け取りなどにかかわるため、契約内容を確認して必要書類を揃えましょう。

4 私有地で事故!罰則はどうなる?

私有地の事故の罰則は.jpg

道路外と定められた私有地で事故を起こした事故で人を怪我させてしまった場合、「道路外致死傷」にあたります。

道路交通法103条では、道路外致死傷があった場合には免許の停止や取消処分が可能である、と定められています。

また、道路外であっても刑事上での責任は課せられるため、自動車運転過失傷害罪や民事損害賠償、危険運転致死傷罪などにあたり賠償金の支払いが必要となることもあります。

隠そうとすることは罪を大きくするだけなので、すみやかに警察に届け出をしましょう。

5 私有地で事故!過失割合はどうなる?

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私有地であり公道上ではない場合、信号や道路標識、優先道路などの交通ルールを示すものがあるわけではありません。

過失割合を決めるのは極めて難しく、当事者どうしで話をするとトラブルに発展することも多いです。

【関連記事】交通事故では謝罪しない方がよいのか?判断基準や注意点を弁護士が解説

まずは警察に届出をし事情聴取を受け、状況を細かく説明する必要があります。

駐車場で2者が関わる事故の場合、原則としては5対5の過失割合であるとされますが、状況に応じて一定の加点・原点があるのは道路上での交通事故と変わりません。

【関連記事】(交通事故)慰謝料請求に重要な入通院日数の数え方と計算方法を弁護士が解説!

6 私有地での事故!管理者にも責任がある?

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私有地側の管理ミスや落ち度が確認される場合には、私有地の管理者にも責任が問われることがあります。

・駐車場内の設備に問題があった

・駐車場内の見通しが悪かった

・障害物が置いてあった

上記のような場合、管理者が賠償責任を負うことになるのが原則です。

たとえ「駐車場内での事故は責任を負いません」という注意書きがあった場合にも、管理者側の落ち度があれば賠償責任が問われることになります。

7 私有地で起こりやすい事故とは?

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私有地で起こりやすい事故には傾向があります。

具体的には、下記にあてはまることが多いです。

①接触事故

②当て逃げ

③機会立体駐車場での巻き込み事故

人が死傷した場合には、私有地であっても「人身事故」として扱われます。

この場合、警察への連絡がない場合には、法的責任を問われ重い刑罰の対象となることも。

それぞれの事故で多いパターンについて、詳しくご紹介します。

①接触事故

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駐車場内を歩いている人や自転車と車の接触事故は、とても起こりやすいです。

見通しが悪いため人の動きに気づきにくいほか、子供が物陰から飛び出してくるなど、予想に反する行動をする人も珍しくありません。

道路上ではないからと油断をせず、注意をしてゆっくりと走行する必要があるでしょう。

他の車とぶつかった場合はもちろん、人とぶつかった場合には人身事故なので、安易に状況をとらえることなく必要に応じて救急車を呼ぶほか、警察や保険会社に連絡をとってください。

【関連記事】軽い接触事故で警察を呼ばないと起こるリスクとは?呼ぶべき理由や違反内容を解説

【関連記事】(非接触事故)後日警察から連絡がある?損害賠償や対処方法を解説

②当て逃げ

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複数の車が並ぶ駐車場で多いのが、近くに停めてある車に当たってしまうケースです。

ドアを開けた際に隣の車に当たってしまうケースのほか、思いのほかバックをしすぎてしまったケース、アクセルとブレーキを踏み間違えてしまったケースなど理由はさまざまでしょう。

【関連記事】ドアパンチは後日でも必ず警察へ|トラブルと対処法を弁護士が解説

多くの場合に相手方のドライバーは不在のため、当て逃げをしてしまう事故のパターンです。

しかし、当て逃げは点数対象であり、場合によっては免許停止になる可能性もあります。

ショッピングモールなどであれば店内放送を利用してドライバーを呼んでもらうほか、相手のナンバープレートをひかえておくなどの対応をしましょう。

【関連記事】当て逃げはすぐに警察へ。法的な責任と賠償金を弁護士が解説!

③機械立体駐車場での巻き込み事故

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機械式立体駐車場では、誤って人が巻き込まれてしまう事故が多発しています。

特に子供が巻き込まれてしまうケースでは、命に関わる事故になることも。

機械立体駐車場は狭い空間で効率的に駐車できるように作られているため、都心部に多いです。

慣れていない駐車場を利用するときにはもちろん、慣れている場合にも状況確認をおこたらず、人が巻き込まれる可能性がないことを確認して利用しましょう。

【関連記事】死亡事故の賠償金はいくら|死亡賠償金の相場等

8 【まとめ】私有地で事故が起きた!警察に連絡するのがおすすめ

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私有地で事故が起きた場合、事故の大きさや場所、状況にかかわらず、ひとまず警察に届出をしておくことをおすすめします。

たとえ道路交通法が適用されない私有地であった場合にも、法的責任が問われるケースがあるため、届出義務がないかどうかをはっきりと判断するのは難しいです。

さらに、私有地の所有者に責任が問われることもあるほか、保険会社の適用になるケースもあるため、「私有地だから」となにもしないのは良くありません。

特に相手がいるケースでは個人的に示談に持ち込もうとする人もいますが、後から後遺症や追加費用が出てきても請求できないなど、不本意にことが進んでしまう可能性も。

私有地での事故があった場合にもまずは落ち着いて、警察に連絡をとり状況を説明してから、何をすべきかを判断しましょう。

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