遺言者が認知症なら遺言書は無効?有効?弁護士が徹底解説!

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弁護士 大隅愛友

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遺言者が認知症なら遺言書は無効?有効?弁護士が徹底解説!

日本では、高齢者の5人に1人は認知症を患うといわれています。認知症の人遺言書を書いた場合、その有効性についてときに問題になることがあります。認知症の場合は遺言書が無効になる可能性があることを知ると、

  • 認知症の自分は遺言書を書けるのか?
  • これから認知症の人に遺言書を書いて欲しいのに・・・

と疑問や不安をもたれることもあるでしょう。

本記事では、遺言者が認知症であった場合、その遺言は有効になるのか無効になるのか、認知症の人が遺言書を書くときにおさえるべきポイントについて解説します。

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1 認知症の人が書いた遺言書は有効か?

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遺言書を書いた人物が認知症であった場合、その遺言書が有効になるか無効になるかは遺言書を書いた時点での遺言者の遺言能力の有無で判断されます。

基本的には、直ちに無効になることはありませんが、場合によっては、調停や訴訟などに発展することもあるでしょう。

遺言書が有効になるか無効になるかの具体的な判断は、遺言作成時点で遺言者に遺言の内容を理解し、遺言書を作成できる能力(遺言能力)があったかどうかがポイントになります。

1-1 有効になるケース

遺言書の日付などから遺言者が認知症になる前に遺言書が書かれていた場合、その遺言書は有効です。

また、遺言書を書いた時点で認知症になっていたとしても、遺言する内容について、自分の考えや思いを表せる「遺言能力」があると認められればその遺言書は有効です。

遺言能力は、主に下記の4点を検討して総合的に判断されます。

  • 遺言の内容
  • 遺言作成時の状況
  • 遺言者の認知症の具合
  • 遺言を作成した経緯

遺言書の内容について見ると、「全財産を妻に渡す」など簡潔な内容であれば、認知症であったとしても遺言者本人が自分の意思で書いた可能性が高く、有効と認められやすいです。

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一方で、「~銀行の貯金は妻に、~銀行の貯金は長男に・・・」など内容が複雑になればなるほど、「誰かに誘導されて書いたのではないか?」と疑いの目が厳しくなり無効になることもあります。他にも、遺言を作成した経緯について見ると、生前から「家は長男に渡す!」と度々口にしていて、かつ遺言書にも「不動産は長男に渡す」と記述しているのであれば、整合性があり有効と判断されやすくなります。 

①長谷川式認知スケール

遺言作成時の状況や認知症の具合を客観的に測る指標としてよく用いられるのが、長谷川式認知スケールです。

30点満点のかんたんなテストであり、20点以下は認知症の疑いがあり、10点以下は意思能力(遺言能力)がないと判断される可能性が高いです。あくまで目安にしかなりませんが、遺言作成時の遺言者の状況を把握する有力な手掛かりとなります。

【関連記事】長谷川式認知スケールの遺言能力の鑑定とは?遺言書の有効性を見極める方法

②医療記録・介護記録・看護記録 等

長谷川式認知スケール以外にも、遺言作成時の状況や認知症の具合を証明するものとして、当時の医療記録(カルテやCT・MRI画像)や介護記録、看護記録などがあげられます。

このような具体的に状況を記す書類によって、遺言能力があったことを証明できることもあります。また、当時親族と同居していた場合は、親族の証言も参考になります(ただし、証言する親族が遺言によって利益的になる場合はその限りでない)。

1-2 無効になるケース

認知症になってから遺言書を書いたケースでは、最低限必要であった遺言能力が認められず、無効になることがあります。

よくあるのは、遺言書の内容を認めたくない相続人が、遺言能力を理由に遺言書の無効を主張するようなケースです。もちろん、認知症になった後、誰かに無理やり書かされたような遺言書と判断されれば無効になります。

もし、遺言が無効になった場合、相続人同士による遺産分割協議や調停によって遺産分割をしていくのが一般的です。法定相続分によって分けたり、故人に対して献身的に介護をした相続人が寄付分を受け取ったりします。

【関連記事】遺産分割調停の流れ~メリット・デメリットについて弁護士が解説

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<遺言無効確認訴訟>

遺言書の内容に納得できない場合には、「遺言無効確認訴訟」を起こすことで遺言書の無効を訴求できます。遺言無効確認訴訟は、

  • 認知症の程度
  • いつ遺言書が書かれたのか
  • 筆跡(自筆証書遺言の場合)

などが争点となり、地方裁判所で行われます。

2 認知症の人も遺言書は書ける

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上述したように、認知症になったとしても「遺言能力」があれば有効な遺言書を作成できます。遺言者の遺言能力に不安がある場合は下記の4の方法で対処することが効果的です。

2-1 医師に遺言能力を証明してもらう

遺言書を作成する前に医師の診察を受け、認知症の程度や心身の状態について診断書の形で残しておくことが有効な対策です。また、医師のもとで長谷川式認知スケールテストなどを受けておくことなども方法のひとつです。

2-2 公正証書遺言にする

認知症の方が遺言書を作成する場合は公正証書遺言にしましょう。

遺言書にはいくつか種類があり、代表的なものとしては自筆で書く自筆証書遺言や、公証役場で公証人立ち会いのもと作成する公正証書遺言などがあります。公正証書遺言であれば、法律上遺言書が無効にならないように、事前に遺言者の遺言能力についてチェックが必要です。よって、後から遺言書が無効であるといった判断がされにくくなります。

【関連記事】公正証書遺言の作成に必要な書類は?費用やメリットを分かりやすく解説!

2-3 弁護士に遺言作成のサポート依頼をする

法律の専門家である弁護士に遺言作成に関与してもらうことも有用です。弁護士に依頼することで、遺言能力の判断や遺言内容のアドバイスなど多面的に法律面からサポートを受けることができます。

また、弁護士に遺言執行者を依頼することもできます。

【関連記事】遺言執行者を弁護士に依頼するメリットは?役割や選任の方法について弁護士が解説

2-4 遺言内容はシンプルにする

上述したように、遺言内容はシンプルな文言にしておくのが無難です。たとえば、「持ち家を〇〇に渡す」「預貯金はすべて妻に渡す」といったかんたんな内容にしておくことで、遺言者が遺言能力をもって書いたものとして認められやすくなります。

2-5 遺言書の作成は早めに行う

遺言書はなるべく早めに書くのがおすすめです。認知症は時間とともに症状が悪化していきます。そのため、できるだけ早い時期に書いた遺言書の方が、遺言能力が認められやすいです。

もし、その後新たに遺言書を作成した場合は、日付が新しい方の遺言書が優先されます。しかし、後になればその分、認知症の具合を理由に遺言書が無効と判断される可能性も高まっていきます。

3 成年後見人がいる場合でも遺言書は書ける

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認知症がすすみ、正常な判断能力が不十分な場合、その人に代わって法律行為を行う成年後見人がいることもあります。

成年後見人がいる場合でも、遺言能力が一時的にでも回復すれば、医師2名以上に立ち会ってもらうことで遺言を残すことが可能です。

このとき、医師は遺言者に遺言能力があったことを遺言書に書き加え、署名・捺印します。ただし、成年後見人本人、成年後見人の配偶者や子・孫などにとって利益的となる遺言は認められません。

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4 遺言を弁護士に依頼するメリット

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認知症の方が遺言書を作成する場合、将来その遺言書が有効になるかどうかを不安に思う方は多いです。

弁護士など専門家に依頼することで、状況にあったアドバイスや遺言書作成のサポートをしてもらえ、将来作成した遺言書が無効になるといったトラブルを防止できます。

たとえば、遺言者の認知症の程度に応じて、有効と認められやすい遺言内容の提案をしてもらえます。もし、遺言書を書いて欲しい身近な人が認知症になった場合は、弁護士など専門家に相談することはおすすめできる手段のひとつです。

5 まとめ

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認知症の人が作成した遺言書は、有効と認められることもあれば、無効になることもあります。

どうしても認知症の方に遺言書を書いて欲しい場合や、自分が認知症と診断されてしまった場合は、遺言書作成時点で遺言能力があったことを証明できるように準備をしておくことが大切です。

弁護士に依頼をすることで、認知症があっても有効になりやすい遺言書の作成サポートをしてもらえます。不安な場合はぜひ専門家に相談するのがおすすめです。

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